河原にはたくさんの石がある。そしてどれも似たような石ばかりだ。だから一生懸命探せば、完全に同じ形の石が一組くらいあるかもしれない。あると思う。いや、ある!探しに行こう。
これって天然の神経衰弱だ。
(斎藤 充博)
トランプがなくても神経衰弱ができます
ルールは簡単だ。トランプでやる神経衰弱のように、河原の石で「まったく同じ一組」を探してみよう、というのが今回の目的である。
道具も要らない。外で出来る。一人でも出来る。気楽な遊びだ。
ただし、読者の方はもう気づかれているだろうか…この遊びで神経衰弱と一番違う所は、 「全く同じ一組の石」が本当にあるかどうか解らない、というところだ。この問題に関しては「あるはずだ!」という僕の信念でカバーしてゆくしかない。
言わずとも知れた盛夏の折。
日陰を選んで作業をしているのだが、それでも暑い。30分経たないうちに黒いポロシャツに白っぽい粉がふいてきた。頑張っている証である。このくらいたくさん証が出てくれば僕の信念にも期待できるというもの。きっと見つかるはず。
河原の周りはみんな裸だ
ふと、周りを見渡してみたら近所の中学生男子が身体にサンオイルを塗って身体を焼いている。
みんな何やら気持良さそうだ。いったい何が悪い、と言わんばかりに裸で夏を堪能している。河原って自由だなー、と思った。
進まない作業
夏の河原はちょっとした楽園(裸)みたいな状況になっていることがわかった。しかし、周囲の状況とは裏腹に、僕のやっている神経衰弱の方はさっぱり進まない。
ここで一つ、アイディアが出てきた。河原の石の形は完全にランダムではない。上流には荒々しい石が多いし、下流の石は丸っこい。
なので、出来るだけ個性の無い、丸っこい石を探した方が良いんじゃないかと思う。だんだん似通ったものが集ってくるんじゃないのか。
これでもかなり近い石を探して集めているつもりだ。なのにさっぱり石同士が近寄ってくる様子がない。
総体としてはどれも似たようなものである、石。なのにいざ同じ物を探そうとするとこれがさっぱり見つからない。世界で一つだけの石…とかつぶやいてみたところで話は全然進まないのであった。