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ひらめきの月曜日
 
週一日しかやってない店めぐりで一週間


 

いつ頃からだろうか、スーパーにしろデパートにしろ、年中無休で営業というのが珍しくなくなった。

私が子供の頃は、どんな店でも週に一日くらいの定休日が当然だった。最近は小さな店でも年中無休を掲げている店がずいぶん増えたと思う。便利なことだとは思う。 しかし探してみると、そんな風潮とは逆に、週に一日しかやっていない店というのもある。逆の意味で極端だ。それってどういうことなんだろう。 きっとそうした店には、他にはない個性や特色があるのではないか。そういうわけで、各曜日ごとに週一営業する店めぐりに挑戦してみたい。

小野法師丸



おしゃれ&油断のサンデー

週に一日しかやっていない店をひとつずつ、一週間かけて回ってみようという今回の企画。一般的なカレンダーでの週のはじまりに習って、日曜日から行ってみよう。


こじんまりしてかわいい
おっさんにはまぶしいオーラ

まずやってきたのは、渋谷区にある「Sunday Bake Shop」というお店。店の名前にも日曜日だけ営業しているという特徴が込められているようだ。

ちょっとした路地を入ったところにあるお店。ミントグリーンの壁と、古びたように見える入口サッシの塗装がおしゃれだ。


細い路地にある

にぎやかな商店街を一本入った路地というロケーション。向かいにあるのはモツ焼屋。あまりにおしゃれ過ぎると、勝手に卑屈になってしまいがちな私にはうれしい。店内に入ってみよう。

素直においしそう
手作りテイストもいい感じ

小さな店だが、カウンターにはブラウニーやスコーン、ケーキがいろいろと並んでいる。下の棚にはショートブレッドやジャム 、シロップなどが。それぞれに商品を説明する手書きプレートが添えてあって、ひとつひとつ読むだけでも楽しい。

そんな中でも気になったのがこれだ。


商品名そのものも気になるのだが

「リュバーブとりんごとグリオットチェリーのケーキ」だ。名前を読んで、こちらの理解力を試されているかのようにも思えた。リンゴは大丈夫。グリオットチェリーは、まあチェリーというところまではわかる。問題は「リュバーブ」だ。

自分の記憶をたどって考える。これ、ルバーブのことだろ。まあそれでもルバーブが何なのかはあまり自信がないが、きっとルバーブの本格的な言い方だろう。

そんな風によろよろと読み解いたところで、気になったのはオレンジ色の付箋だ。


このふせんで一気に親近感
トータルでうまい!

普段は1カット380円で売っているらしいこのケーキなのだが、訪れた日は切り方を間違えてしまったらしく、300円での販売。

かわいい。おしゃれ過ぎてちょっと近寄りがたい女の子だったのに、話してみると意外と気さくでおちゃめ。男子中学生が気になる女子に勝手に抱くような妄想が湧いてくる。


私が座ると海水浴テイスト

店の横には簡単なテーブルとイスが並べてあって、買ったものを食べることができる。パラソルの下に座って遠目で見ると、急に夏の1ページだ。

食べてみる。リュバーブとリンゴとグリオットチェリーが、味のハーモニーを奏でて、口の中でスパークする。端的に言えば、全体的にうまい。ぼんやりとした感想で恐縮だが、おいしいことは間違いない。

お店の方にどうして日曜しかやっていないのかを聞いてみたところ、「一人で作っているので、そうしないとお店がまわらなくて…」とのこと。確かに手作り感があふれる、やさしい雰囲気のお店でした。

 

濃厚&丸ごとのマンデー

続いては月曜日。多くの人が休日である日曜日だけあえて店を開くというのはまだわかるのだが、平日である月〜金にもそれぞれ週一で開店する店はあるのだろうか。


店構えはクラシック
月曜日のラーメンで、ゲツメン

やってきたのは武蔵野市、吉祥寺駅から少々歩いたところにある「ゲツメン」というお店だ。看板にも「月曜ラーメン」と書いてあるが、それを省略しての「ゲツメン」なのだろう。

週に一回しかやっていないラーメン屋さん。確かにそうではあるのだが、月曜以外にここに来ると店が閉まっているというわけではない。


なるほどこういうシステム
月曜なのでメインの店名看板には布がかけてあった

曜日と時間帯で屋号と出すラーメンが変わる店なのだ。月曜以外は昼夜で別々の店名、そして月曜日だけ限定で「ゲツメン」という店になるらしい。

他の日の夜は「ラーメン四郎」という名前の店であるようだが、当日はその看板には布をかけて隠してあった。月曜日はあくまで「ゲツメン」という店で営業しているということだろう。


うまそうなにおいが漂う店内
基本のラーメンはこれだけ

店内に入ってメニューを見てみる。夏季ということもあってか、冷し中華にあたる「冷しラーメンサラダ」もあったが、基本的にラーメンは「濃厚鶏塩ラーメン」のみ。今回はこちらを注文してみよう。

迫力あります

やってきたのはこんな一杯。まず、鶏のモモ肉が一本丸ごと入っているのがかなりのインパクト。他に見えるのはキクラゲ、中央の赤と緑 。そして別の小鉢にカットしたレモンを入れて出してくれた。

見ているだけでは全貌がまだ謎に包まれたこのラーメン。食べてみよう。


骨付き肉も簡単に骨なし化
この緑が意外

食べにくそうにも思えた丸ごとモモ肉は、とてもやわらかく煮込まれていて、箸でつまむだけでほろほろと骨からはがれる。手で肉を持つことなく、箸だけできれいに全部食べられた。

そして肉と麺にからんでくるスープは、名前の通りかなり濃厚。とろっとなめらかな舌触りとあわせて、これでもかと出ているコクが感じられる。

まん中の葉はパクチー。添えられているレモンと合わせると、アジアンテイストをかもし出す。

お店の方が他のお客さんと話しているのが聞こえてきた。もともと月曜は定休日だったそうなのだが、他の味のラーメンも出してみたくてこのようなスタイルにしたとのこと。純粋なおいしさに加えて、週一回というレアリティもなんだか気持ちを刺激する。100円の替え玉も食べ、満足して店を出ました。


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