カタクチイワシ、80点

あんまり適当なことも出来ないな、ということで、最初に描いたのはこちら。形が単純な「カタクチイワシ」。

ところで、このカタクチイワシのポイントはこの「カタクチイワシ」の文字だ。

正直、幸太くんの絵を見た時に「イラストではがんばって描いてもどっこいどっこいだな」と思った。それでは、大人として幸太くんにどのようにして勝利するか？それには「文字」を攻めるのが手っ取り早いと思ったのだ。

幸太くんはまだ小学１年生。彼はひらがなもカタカナもマスターしているようだが、まさか僕の書いた文字の方がまだ上手いだろう。そういう部分で差をつけてやれば良い。

別に勝ち負けの話とか誰もしていないんだけれども、勝っておかなければいけない、と思う。でも今になってよく考えたら、そんな風に策を弄している時点で、半分負けを認めているようなものかもしれない。

しかし、それではどうすればいいんだ。様式にのっとって描くとイラストが稚拙なのがバレてなんか恥ずかしい。このゴミのようなプライドから来る葛藤から、僕と幸太くんの関係は、徐々にきしんで行くのであった。

役所の受付か

次に描いたのは「スルメイカ」。かなりがんばって描いたのだが、これも幸太くんの評価は思わしくない。

そうか、そうだよな。今まで幸太くんの描いてきた絵を見ると、生き物の文字は「カタカナ」で統一されている。

だからここも「スルメイカ」と描くべきだった…って、いいじゃん、上手く描けたんだし！

逆にこのような「たてにみてね」という注釈は評価してもらえた。

このスルメイカの絵は縦書きになっている。今までずっと紙を横にして描いていたので、様式から外れる。注釈が必要かな（幸太くん的に）、と思って書いたものだ。

しかし、どうだろう。こんな部分ばかり評価されても全然面白くないのだ。お兄さんね、スルメイカこんなにがんばって描き込んだんだよ！

工藤さんにすっかりなつく幸太くん

そんな僕の不満のオーラが伝わったかどうなのか。幸太くんはカメラマンとしてやって来た編集部の工藤さんにばかりなついている。

幸太くんがなついている様は、かわいらしくて見ているだけで楽しい。工藤さんがうらやましくなる。

しかし、これだけは解って欲しい。イラストを描いて手伝っているのは僕だ。そこだけ頼むよ。