ガムの包み紙は、単に包むだけじゃない。
食べ終わったガムを、自分の身体の中に丸めてゴミ箱に持ち運ぶという役割もあるのだ。他のキャンディーなのどの包み紙には見られない、ガムの包み紙ならではの仕事である。
どのガムの包み紙が一番包容力があるのか。面積を計って比べてみました。
(斎藤 充博)
キシリトール(ロッテ)
キシリトールの包み紙は、少しざらざらしている。このざらざらが摩擦になり、食べ終わったガムが包みやすい。面積は18.4平方センチメートル。実際に吐き出してみたら小さかった。慎重にやらないとガムが包み紙からハミ出る。
クロレッツ(キャドバリージャパン)
クロレッツの包み紙の面積は17.94平方センチメートル。さっき、ちょっと小さいと思っていたキシリトールよりも更に小さい。
しかし実際に吐き出してみると、意外と包みやすかった。包み紙に適度な手応えがあって(ちょうど針金を手元で曲げて遊んでいるような)、グネグネとガムを包み込んでやりたくなる。
単なる面積だけの勝負ではないのか。意外と奥が深い。
キシリッシュ(明治製菓)
キシリッシュの包み紙は大きい。ここまででダントツの23.52平方センチメートル。ガムを包み紙から解く時に注意深く見てみたら、部分的に二重になっていた。
これだけ大きいとすごく包みやすい。そしてそれよりも、「二重に包んで包み紙の面積を確保する」という工夫がとてもカッコいい。これからキシリッシュを食べる時には、丁寧にガムを包み紙から外そうと思います。
アクオ(ロッテ)
アクオは「MFLアクオカプセル」というものが配合してあって、これが味を長続きさせる秘訣らしい。たしかに噛み続けると、ガムの奥からなにやらそういう感じのものが弾ける。かわいらしいパッケージのデザインとは裏腹に、だいぶミント味はきつめだ。強い刺激を求める方におすすめしたいガムである。
包み紙はさっき食べたロッテの「キシリトール」と全く同じだった。
スイーツガム(明治)
「ストロベリーバニラ」という珍しい味のガム。2重構造になっていて、内側はソフトキャンディーになっている。酸っぱさと甘さが強くて、確かに「ストロベリーバニラ」っぽい。とにかく不思議な味のがガムだ。
ちょっとイロモノっぽいがガムだが、面積は19.5平方センチメートルと大健闘していて好ましい。こうした包み紙の大きさがこの不思議な味のガムを下支えしているのだ。僕はそう思った。
マイキューブ(ロッテ)
マイキューブには「ふせん」型の捨紙が付いていた。ところがこの「ふせん」、捨紙として使うのにはちょっとイマイチだ。小さい上に、唾液が紙の線維からしみだしてしまう。
ただ、ふせんなのでいざという時のメモには使える。
スーパーソーダガム(クラシエフーズ)
大物が出て来たな、と思った。このスーパーソーダガム、ガム自体も大きければ、包み紙もかなりでかい。面積は堂々の41.89平方センチメートル!マグロの一本釣りに成功した松方弘樹のような気分だ。
ガムには、シュワシュワと泡立つ成分が入っていた。なんとなく、波打ち際に出来る細かい泡みたいじゃないか。僕は、でかいものを見ると海を連想するんだな、と思った。
フルーティオ(ロッテ)
こちらもガム自体が大きめ。それに比例して、ガムの包み紙も24.91平方センチメートルと優秀な記録を残している。
当たり前の話だが、ガムが大きけりゃ、包み紙もでかい。「ガムの体積」と「包み紙の面積」を関連づけてグラフにあらわしたら、この記事はあと100倍くらい面白くなって、はてなブックマークが1万くらいついていたと確信している。しかし、「ガムの体積」を計る方法がわからない。
せめて重さを調べてみたかったのだが、これも計れなかった。
フィッツ(ロッテ)
柔らかさがウリ、という不思議なガム。普通のガムの食感のつもりで噛みはじめたアゴが、その柔らかさにつんのめった。いたずらで座りかけのイスを思いっきり引かれたような感覚だ。
このガム、包み紙からのはがし方もユニークだ。ケースの☆印を指で押さえて、ガムをケースから抜く。そうすると、包み紙が半分ちぎれて、ケースの中に残るような仕組みになっている。
なので、「ガムを捨てるための紙」としてはどうしても小さくなってしまう。本当はもっと面積的な実力があるのだが、それはケースの中においてきているのだ。なんだ、ハードボイルドじゃないか。カッコいい。
面積は15.91平方センチメートルと、小さめ。しかしケースの中に8.14平方センチメートル分の余力を残していることを忘れてはならない。
ウォーターリングキスミント(グリコ)
この包み紙もかなりでかい。ガムを吐き出すときに、僕の口元が全部隠れるくらいのでかさがある。 また、ペラペラながらも丈夫な材質で出来ているので、食べ終わったガムを包みやすかった。模様として描かれている「Kiss Mint」の文字もオシャレ。そして端っこがギザギザでクール。
総合的にはかなり高レベルな包み紙と言えるだろう。
ハイチュウ
ちなみにガムじゃないのはどうなんだろう、ということでハイチュウの包み紙を計る。
なんと、こちら、縦5センチ、横5.1センチ。あと一歩の所で正方形にならない大変惜しい図形だったのだ!なんだこの1ミリは!
とても悔しいのだが、この感情をどこにぶつけたら良いのかわからない。そして僕が感情移入している対象、冷静に見るとゴミだ。
ホールズ(キャドバリージャパン)
ついでなのでもう一つ、ノンガム部門からホールズを出場させてみた。ところが、このホールズの包み紙、透明だし、くしゃくしゃだし、全くもって計りにくいとしか言いようがない。
面積は29.64センチメートル。手間がかかったが、まずまずでかい。やんちゃな実力者だ。 「今はこんな環境ですが、もしも機会があれば噛み終わったガムを二つくらいまとめて包んみたいですね」 ホールズの包み紙が、そんな野心を僕にだけ漏らしてくれたような気がした。
チャンピオンは「スーパーソーダガム」
今回のエントリではクラシエフーズの「スーパーソーダガム」が他を大きく突き放しての一位であった。ちなみにガム自体も、一番僕の好みの味がしておいしかった。まったく包み紙・ガム共に良いガムだ。非常にスッキリした結果になった。
さて、ここまで「大きい包み紙が素晴らしい」ということばかり書いてきた。なんだか小さい包み紙に申し訳ない気もしてくる。小さい包み紙をフォローする四コマを描いてみましたので、最後にどうぞ。