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ひらめきの月曜日
 
夏の終わりの手作り蚊取り線香


これが蚊取り線香の原料。除虫菊の粉。

 9月も終わりに近づいて、やっと朝晩涼しくなり始めました。

  どうやら今年の夏は、猛暑と少雨で成虫になるまで生きられなかった為、蚊の発生が少なかったそうです。その代わり、涼しくなってきた今頃からまた発生しはじめているのだとか。

 となると、もう暫くは蚊取り線香のお世話にならないといけない。今回は蚊取り線香を自作してみました。

馬場吉成



昔は除虫菊から作られていた

蚊取り線香といえば、誰もが緑色した渦巻状の物を思い出すはずです。虫除けと言ったら、スプレーとか電気で動く奴しか知らないなんて言う人は、直ちに最寄りのドラックストアなどで確認してきてください。今でも沢山使われています。

蚊取り線香は、除虫菊(シロバナムシヨケギク)という花を乾燥させて作った粉から作られます。いや、作られていました。除虫菊には殺虫成分としてピレトリンというものが含まれています。現在はピレトリンを化学的に合成して作ったピレスロイドというものを植物性の粉末に混合、着色して作っています。

その辺の細かい点は「金鳥の夏、日本の夏」でお馴染みの大日本除虫菊株式会社のホームページとかを見ると詳しく出ているのでそちらをご覧ください。

大日本除虫菊株式会社 工場見学

除虫菊はもうほとんど栽培されていません

では、蚊取り線香を作って行きましょう。まず蚊取り線香を手づくりする為の材料を入手します。

ピレスロイドを入手するというのは色々危険な香りがするので止めまして、昔ながらに除虫菊から作りたいと思います。ということで入手したのが一番最初の写真の除虫菊パウダー。

業務用、1kg入り天然除虫菊パウダー。蚊以外にも色々な虫に効きます。水生生物にも毒性有り。哺乳類には問題ないようです。

現在日本国内では除虫菊をほとんど栽培していないようで、除虫菊を乾燥させて作ろうにも入手困難。ということで、不快害虫防除剤として販売されていた除虫菊粉末を購入しました。


椨粉やしな粉が既に程よく混ざったブレンド椨。これがあれば簡単にお香が作れます。

そして、蚊取り線香といいますから、除虫菊の粉末をお香にします。その為に必要なのが椨粉(たぶこ)、しな粉、炭粉などのお香の基材。これらの粉末を混ぜ合わせたものに、香木の粉やハーブの粉末、アロマオイルなどを混ぜて水で練って固めた物がお香になります。

材料はこれだけです。あとは混ぜて練って固めれば完成。割と簡単。


椨粉と除虫菊パウダーを混合。配分は適当。大体1対1ぐらいで混ぜてみました。
攪拌が終わったら、混ぜながら徐々に水を足していきます。
混合した粉をよく攪拌します。入れた粉が多すぎて乳鉢からこぼれそうなのは気にしない。
水で練ると椨粉が徐々に粘ってきます。程よい硬さになるまで水を入れて練る。

椨粉はタブノキの樹皮や葉を粉末状にしたもの。水を入れて混ぜると粘り気が出るので色々な形に成形することが出来ます。


練ったものを型に入れる。クッキングシートを使うと剥がれやすいので便利です。

粘りが出たものを剥離しやすい紙などで作った型に入れて乾燥させれば手作り蚊取り線香完成です。


ただの土の塊に見えますが蚊取り線香です。

出来上がった手作り蚊取り線香は緑色ではなく茶色です。あの緑色は、昔蚊取り線香代わりに燃やしていたヨモギの葉をイメージして着色したもの。夏に使われることが多いので涼感を出す意味もあるそうです。

見た目は土のようで、渦も巻いていないですが、とにかく蚊取り線香完成です。燃やしてみましょう。


確かに蚊取り線香臭。写真には上手く写らないですが煙多すぎ。

火をつけるとまぎれもなく蚊取り線香の香りがします。そして、形の関係か、圧縮が少なかったためか、やたらに燃えて煙が出ます。

その効果を試してみましょう。


すっかり夜風が秋だねえ・・・
蚊取り線香臭いな・・・

雨があがって少し湿り気のある夜。窓を開けて飲んでみました。酒を飲んで体温が上がると蚊に刺されやすくなるらしいので。

1時間ほど飲んでいたところ、刺された箇所は1つも無い・・・と、思います。特に痒くならなかったから。蚊そのものを見かけなかったので、蚊がいなかった可能性もありますが、ひとまず効果があったとします。あったのか?

こんな形の蚊取り線香も製作

ということで、何となく効果のあったような手作り蚊取り線香。最初は円錐型のお香の形で作ってみましたが、こんな形も作ってみました。


蚊取り線香「夏」。

手作り蚊取り線香は自由に形作ることが出来るので、文字を作ることも出来ます。クッキングシートの上にスプーンで少しずつ流して作ってみました。

夏の終わりに夏蚊取りを燃やして夏を惜しんでみます。

では、夏点火!


燃え上がった夏だったよ。

熱く燃え続ける夏だった

そして、燃え尽きた・・・真っ白にな・・・


今年は暑い夏でした


本当は渦巻き型の蚊取り線香を作りたかったのですが、型を作るのが大変だったので夏型蚊取り線香を作ってみました。渦巻き型と違って四方に燃え広がるので煙は多いし、燃え尽きるのも早い。火事と勘違いされないかヒヤヒヤしながらの燃焼実験でした。今も家の中が蚊取り線香臭いです。

今年の夏は非常に暑かったですね。「暑かったけど短かったよね、夏」とはいかず、「いつまで暑いの、夏」でした。さて、秋も色々燃えていきますかね。

除虫菊の粉で作った蚊取り線香は市販されています。香りも煙も穏やかでいいです。


 
 

 

 
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