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ひらめきの月曜日
 
エレベーターで世界初を目指す

そびえる二つの峰

エレベーター登山界で不沈と呼ばれる山がある。それが都庁だ。

単独無酸素登頂。

登頂、とうちょう、登庁。

ということで、響きで選んだ節もある。


半分冗談で選んだわけだが、ふもとから眺めるとその存在感は圧倒的。

登山ルートはこちら。
入山の前にセキュリティチェックがあります。

荷物チェックをパスした者から順に入山許可がおりる(展望台は無料です)。

ランドマークタワーのときに学んだのだが、鼻キャップは最初からつけておいた方が怪しまれないです。いざ乗りこむ段になってあわてて鼻に何か詰めだすっていうのはいかにも不自然なので注意したい。


というわけでセキュリティチェックの時点ですでに埋めておいた。こんな怪しくても難なくパスできました。


都庁は上部がツインタワーとなっていて、北と南にそれぞれ展望室がある。やはりこれは両方落としてはじめて踏破といいたいところだ。


入山手前で人が途切れるのを待つ。

まず挑むは北岳の山頂。階にして45階。ガイドさんいわく約55秒で到着するのだとか。うむ、階数的にはランドマークタワーに及ばないものの、時間的にはこれまでで最長である。


途中には止まらない仕組みだ。これは安心感がある。
どれだけ待っても一人で乗れなかった。

36階。あとちょっとだ。
…。

最後に僕の見た風景。はい、失敗しました。

失敗しても山頂にいる不思議。

登頂失敗

完敗だった。

無料ということに対する甘えもあったのかもしれない。36階あたりだろうか、タイムにして45秒をまわった頃から血中酸素濃度が急激に低下、このままではブラックアウトすると判断して口からの酸素摂取を決断した(要するに息しちゃった、ってことです)。


こちらは南岳の入山口。

北岳での失敗を胸に、続けて南岳を狙いに行った。

南岳ベースキャンプは外国人観光客でぎっしりいっぱいで、エレベーターホールはなんだか上野のケバブ屋さんの前を通ったときみたいな匂いがしていた。

果たして南岳は落とせるのか。


上昇開始。
…。

最後に見えた景色。

やはりだめだ。あと5階くらいがどこまでも遠い。


何度やってもダメだ。

まだまだ修行が足りません

実はこの後、北と南それぞれあと一度ずつトライしているのだが、何度やっても34、5階付近で力尽きてしまうのだった。これが僕の限界なんだろう。

地上での生活だと1分半くらいは余裕で息を止めていられるので、この結果は正直満足できるものではないのだが、気圧の変化とか人の目とか、さまざまな要因がじわじわと効いてきているのだと思う。

これ以上繰り返しても現段階では登頂は不可能と判断し、いったん撤退することにした。無理をしないのも勇気だ。


日常をエキサイティングに

今回はわかりやすいよう鼻に栓をして登ったが、特になくても自己申告でかまわないと思う。エレベーター登山の門戸は広くあなたにも開かれている。

今回僕が登頂に成功した以外のビルでは、未だ単独無酸素の記録は打ち立てられていないはずだ。倒れない程度に、みなさんの挑戦を待っています(※)。

北岳から見た南岳頂上部。いつか必ずあそこを落としたい。

※息を止めると苦しいです。無理はしないようにしましょう。


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