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はっけんの水曜日
 
宇宙で一番長くてくわしい宙博2010レポート


会場前の宙博入り口。今回は正式にプレスとして取材してきました!

先日、2010/10/29〜10/31まで東京の北の丸公園にある科学技術館で「宙博(そらはく)2010」が開催された。最新の宇宙研究とその成果について、展示や講演で知ることが出来るイベントだ。メインテーマは「人類は宙に触れて進化する」で、今年のテーマは「宙から始まる環境エネルギー革命」。

そんな宙博だが、なぜかデイリーポータルZに取材依頼があり、どういうわけかメディアスポンサーとして公式サイトに名を連ねてしまった。日経サイエンスやディスカバリーチャンネルに混じって。

今回はそんな宙博について長々と紹介させていただこうかと思います。

松本 圭司



 

どうしてこうなった

いつもはひょっとこな事をしている当サイト。実は宇宙との関わりは深い。簡単に調べるだけでも宇宙関係の記事は多いのだ。

「ムクドリの群れは宇宙の夢を見るか」
「国際宇宙ステーションを見よう」
「ニュートン」のように表現する
「お正月宇宙SF大作完成!」
「街なかの宇宙の旅」
「いいかげんな宇宙コント」
「ワークショップでバネ作ったり宇宙に行ったり」
「宙食7番勝負」
「さいたまロケット祭り&ドラゴン祭り」
「あ!ロケットだ!間違いない!!」
「禁煙で妻の後頭部にブラックホールが見えた」


ちゃんとプレス証もらって取材なんて初めてしたよ(おいおい)。

どうだ、宇宙の記事が多いだろう。普段は変なことばっかりしている様に思われがちだが、みんな根は宇宙好きなのだ。

僕もそれなりに宇宙好きで、中学生の頃見たNHKスペシャルの「銀河宇宙オデッセイ」は今でも忘れないし、「宇宙 未知への大紀行」も好きだったし、去年の宙博にも行ったし、えーと、えーと、なにを言い訳みたいなことを書いているのか。

大丈夫、ナショナルジオグラフィックとか日経サイエンスとか周りにいても浮かない。僕だってちゃんとやれる。そう思いながら遠慮がちに取材してきました。

たぶん、見てるとこは他の媒体と全然違うと思うけど。


去年の宙博2009にて、宇宙服(っぽい服)を着た様子。右のはJAXAiにあるのとそっくりの宇宙服顔はめ。

宙博にはなにがあるのか?

一口に宙博といっても何があるのかわからないだろう。僕も最初、宙博って言われてもピンとこなかったし、まず読み方がわからなかった。「ちゅーはく?」って読んでた。

宇宙の宙を名前に入れているくらいだから、当然展示の中心は宇宙関係。探査機や衛星、ロケットの模型や中には実物のパーツが展示されている。どれも最新のホットな研究だ。

それら展示の横には、本物の研究者が説明員(サイエンス・ナビゲーター)として張り付き、みんなの質問にやさしく丁寧に答えてくれるのだ。これが凄い。

上野やお台場にも科学館はあるが、そこの常設展は最新の研究成果ではないし(ある程度の期間で変わるけど)、説明してくれる人も当然詳しいのだけど研究している本人ではない。

それが宙博では、最新の研究成果を研究者自身に説明してもらえるのだ。そこが凄い。去年も凄いと思ったけど、今年もやっぱりそう思った。


ホントに詳しく僕にもわかるように説明してくれる。

宙博すごいとこその1 科学者本人から聞ける最新の研究内容

たとえば。理学研究所でレーザー環境計測の研究をしている方に話を伺った。どういう研究かというと。

大気の上のほうにはナトリウムが含まれている層があって、なんでナトリウムがあるかっていうと流れ星の残骸があるからで、それをレーザーで調べるとそこらへんの温度がわかる。すると温度から太陽活動がわかって地球温暖化の研究にもなる、みたいな因果関係を丁寧に順を追って教えてくれるのだ。

他にも飛行機から前のほうにレーザーを放ってリアルタイムに天気の変化を探ったり、衛星軌道から酸素に反応する波長のレーザーを放って酸素の状態を調べたりもするのだそうな。

どの話も全然知らなかったことなので、新鮮で面白い。はやぶさのような大きな話題になっていない研究でも、わかるように説明されるとすべて面白い。


KEK(高エネルギー加速器研究機構)の多田博士。金髪をなびかせニュートリノと加速器について説明中。
イカロスについて説明してくれた学生さん。見所も教えてくれるので勉強になります。

未来の人はこれを見て「じゅるり」とか思うのだろうか。

火星ではカイコのサナギが貴重な蛋白源

宇宙農業の研究もしているJAXAのブースではたくさんのカイコたちが桑の葉っぱの上でうねうね。聞いてみると、カイコを育てて繭になったらゆでて糸は取って中身のさなぎは、食べるのだという。

カイコのサナギは揚げちゃえば海老天みたいな味で結構おいしいのだとか。幼虫は食べないんですか?って聞いたら「糸取らないで食べたらもったいないでしょ」との事だった。そうか、もったいないか。

宇宙ってのは効率最優先の世界で、いろいろ大変だ。そりゃ、なんとかして進化しないと地球の外には飛び出しがたいよなぁ、なんて思った。

僕も精神的に進化するためにカイコを食べてみるかー、とは・・・・まだ思えない。虫食いライターのほそいさんなら「おいしいですよ」なんつって食べるのだろうけど。進化の道は険しい。


金色に輝いてゴージャス。

宙博すごいとこその2 普通に展示されてるものがいちいち凄い

ふらーっと歩いているだけだと見逃しがちだけど、そこらじゅうに面白いものが展示されているのも宙博の面白いところ。左の写真は太陽観測衛星「ひので」に搭載されているX線望遠鏡カメラの試験用構造モデル。

太陽の黒点やフレア、プロミネンスがどういうメカニズムで起きているかは実はよくわかってないし、太陽の周りにあるコロナがなぜ100万度もの高温なのかもわかっていない。その原因を調査するために観測しているのが「ひので」で、それに搭載されているのがX線カメラなのだ。

地球の安全を守るためには太陽を観測して現象のメカニズムを探る必要があるんですね。


小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」のソーラーセイルも展示されてました。
こっちはイカロスのコア部分。これの開発裏話なんかも聞いちゃいましたよ。

三菱電機のブースにあったイオンエンジン。かっこいー。
同じく三菱電機ブースのHTV模型。HTVってのは地球から宇宙へ物資を送るための無人輸送船です。

月面ローバーと幼稚園児たち。

三菱電機のブースには衛星の精巧な模型やイオンエンジン、リチウムイオン電池の実物などが展示されていた。どれもメカメカしくてかっこいい。

月面・惑星ローバーかっこいい

東京工業大学の月面・惑星ローバーブースは砂が敷き詰められていて、3輪や4輪のローバーがデモ走行をしていた。

極端な高温や低温、真空にさらされる宇宙空間ではゴムのタイヤなどは使えないので金属だけどクッションが効くようなタイヤが付いている。大雑把に言うと、内周に板バネを何本も付けたタイヤだ。

大型のローバーはひっくり返っても自力で元に戻れる機能が付いていた。連続写真を撮ったので見てください。


これがひっくり返った状態。

右にあった前輪が左のほうに起き上がってきました。座ってる感じ。

後輪の間に前輪が入って前屈状態。

今度は後輪が右に起き上がっていきますよ。

あとちょっと。

見事転倒状態から復帰。すげー!

宇宙空間で使われるものって、人間が行けないとか重量や構造に制限があるとか、いろいろと条件が厳しい。だからそれを克服するためにいろんなアイディアが詰め込まれている。

いちいちカラクリが面白くていちいち感心してしまう展示ばかりだった。


はやぶさの模型。はやぶさ2も基本は同じような機体になるそうだ。

宙博すごいとこその3 やっぱりはやぶさ人気が高い

2010/6/13に大気圏に突入しオーストラリアの空に散ったはやぶさ。ご存知、小惑星サンプルリターンという世界初の偉業を成し遂げた小惑星探査機だ。

いきなりイオンエンジンが1基壊れ、小惑星イトカワに到着してからも燃料が漏れたり通信が出来なくなったり、バッテリーが死んだり、次々とエンジンが止まったりと多数のトラブルに見舞われ、でも運用チームの努力とトラブル耐性が強い設計、あと運のおかげでどうにか地球に帰ってこられた経緯がある。

最後は小惑星の微粒子が入った(まだ小惑星のものかは調査中)カプセルを切り離し、でも落下起動から脱出する余力はなく、光になった。

そのドラマチックな展開と成果の両面から、今一番人気がある探査機といえる。はやぶさ。なんと、宙博では女の子になっていた。

リアル親方!空から女の子が!だ。


小型探査ローバー、ミネルバ。はやぶさプロジェクトではイトカワに着陸できなかったみたいですね。
4機並んだイオンエンジンと化学スラスタ。最終的にはほぼ全滅する。

宙博すごいとこその4 はやぶさちゃん大人気

最近は探査機のTwitterアカウントがいくつもあって探査機の擬人化が流行っているが、現実の人間が探査機をやってるのは初めて見た。

セガ・トイズのブースにいた「はやぶさちゃん」こと「秋の『』さん」。はやぶさを模した衣装はなんと手作り。細かく聞くとおたまを分解して使っていたり、持ち物や衣装にすべて意味があったり、細部のこだわりがとにかく凄い。


衣装もよく出来てますが中身も魅力的です。

超よく出来てる衛星本体部分。

細部までよく出来てます

抱いている灰色のぬいぐるみは小惑星イトカワ。小惑星のぬいぐるみって初めて見たよ。ナースキャップみたいのはアンテナで、背中にはちゃんとイオンエンジンが付いている。

LEDが入っていて光るし、中和器からは煙(加湿器使ってるそうです)が出てリアリティも完璧。調べてみると有名なコスプレイヤーさんだそうで、宙博自体も出演の検討をしたそうだけど今回はセガ・トイズのブースに出動。

あっちこっちから写真撮影の声がかかるほどの人気ぶり。一緒に取材に行った妻も「かわいー!」なんつって一緒に写真を撮ったりして。悔しいので僕も一緒に記念撮影させてもらいました。

はやぶさについても詳しくて、僕みたいにミーハーなはやぶさファンとは一線を画す本気を感じたよ。


小惑星探査機と記念撮影をする日が来るとは。さすが21世紀。
妻も一緒に記念撮影。妻は可愛い女の子が好きなので上機嫌です。

衛星や探査機の展示に研究者の解説付き、なんていうとお堅いイベントに思えたかもしれないけど、上に書いたようにはやぶさちゃんが登場したりする。

この多様性が宙博の魅力なので、次のページでは宙博のおもしろ部分を紹介します。いや、正直想像を超えてると思うよ。


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