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はっけんの水曜日
 
宇宙で一番長くてくわしい宙博2010レポート

最新の研究成果と顔ハメ。このギャップが凄い。

宙博すごいとこその5 まさかの顔ハメ、まさかの尻だし

1ページ目で散々最新の研究成果を一流の研究者が解説、と書いてきたけどまじめな展示だけじゃなくてちょっとゆるい展示もあったりする。

例えば左の写真は、オーストラリアのウーメラ砂漠ではやぶさのカプセルを回収する様子のパネルなんだけど、顔ハメになっている。

なんで顔ハメ。でもって、パネルの左にあるのは回収作業で使われた防護服をつけたマネキン。カプセルにはパラシュートやシールドを分離するための火薬が搭載されてたので、回収するときには防護服をつける必要があったわけです。

で、その防護服を展示してたのだけど裏側を見て噴出してしまった。

だって・・・。


僕もやってみたけど、もうちょい横向いたほうがよかったね。
脱サラしてそば屋を始めた人、ではない。

お尻丸出しなんだもん。


ビンボっちゃまくん状態。

 

特に説明もなくラックに入ってる「ひので」のペーパークラフト。

宙博すごいとこその6 普通におかれてる配布物がすごい

あんまりプッシュはされていなかったけど、会場内ではペーパークラフトなんかが無料で配られていた。各機関が広報用に作ったものだろう。

他にはKEKで配られていたカソクキッズという漫画や、三菱電機で配られていた「みちびき」という衛星のクリアファイルなど宇宙好きにはたまらないグッズがたくさん。それらが無料でもらえちゃうのだからうれしい。


組み立てるとこうなります。
探査ローバーのペーパークラフトもあったよ。

 

説明はすごく面白かったです。

宙博すごいとこその7 一流の研究者が作った一流なはずの工作

東京大学で研究しているマイクロ波ロケットの展示がちょっと凄かった。説明してくれたのは、左の写真の大学院生。

マイクロ波ロケットというのはだ。まず、ロケット本体にはほんのちょっとの燃料しか積まない。燃料を積むと重くなっちゃうから。でも、それだけだと飛ばないので、地上からロケットに向かってマイクロ波(電子レンジで使われてる電波)をロケットに撃ち込むわけ。

するとロケットの中にある空気がプラズマ化されて噴出されて、その勢いでロケットが飛ぶのだそうな。積んでおいた少しの燃料は、空気がなくなってから使う。ロケットは軽いほうが安く飛ばせるのでこういう仕組みが考えられたそうだ。


なんか親近感沸きますね。

なるほど、たしかにそれなら燃料積んでなくても飛べますね、って、後ろの模型は何ですか?って聞いたら、友達とブーブー言いながら2週間で作った模式模型だと教ええてくれた。

結構ヨレヨレで紙とかクリアファイルを刻んだのとかで出来ていて、接着剤が垂れてたりはがれてたり、大変に面白い状態になっている。

僕より大分頭いいはずの大学院生が作った模型がこんな感じってのが妙におかしくて、説明もまた面白くて笑いが絶えないブースだった。頭の良さと工作の出来は関係ないね。

三菱電機の精巧な衛星模型と、こういう模型が混在する。これも宙博の多様性のひとつだろう。

 

宙博のポスターにもキャラクターが載ってます。

宙博すごいとこその8 宙博キャラが会場を和ませる

宙博には3人の公式キャラクターがいる。まずは青い服を着た女の子、ソラちゃん。次に赤い服を着た宙くん(ちゅうくん)。そして黒いコートを着ているヒータン博士。

それぞれTwitterアカウントも持っていて、随時つぶやきを投稿している。

ソラちゃん(@sorachan)
宙くん(@chu_kun)
ヒータン博士(@hitanhakase)

宇宙関係の展示会、というとお堅いイメージになりがちだけど、このキャラクターの存在が雰囲気をやわらかくすることに一役買っているのだ。


会場内の立て看板も宙博キャラだらけ。
トイレの看板にまで宙くん。

ヒータン博士も看板に登場。

僕もずっとTwitterでの発言を追っていた。ソラちゃんは優等生的に宙博情報を発信し、ヒータン博士も科学者っぽいことを言う。だが、宙くんはちょっと方向性が違い、自由な発言ばかりしていた。例えば。

「“@chu_kun: 本日の運営にニセスタッフがいました。誠にすいませんでした。(響風!) https://yfrog.com/5yunjdj” #sorahaku」原文

「閉まらない((((;゚Д゚))))))) #sorahaku https://yfrog.com/691eoj」原文

「役の名前募集中!四暗刻タンキソラソラ“@chu_kun: ソラちゃん、ツモった!! https://yfrog.com/0rt48alj”」原文

「ほんとにこのタイミングで何様台風なんだ?ダークマターに壊してほしいよー(;´Д`A」原文

こんな調子。発言のほとんどがこんな感じで、ソラちゃんやヒータン博士と違いすぎるから、ツイートが更新されるたびに驚いていた。あまりに自由だ。


リアルソラちゃんも現れました。っていうか妻ですが。青い服ばっか持ってるので、ソラちゃんっぽくなってみてって頼んだのですが。
これもある意味宙博キャラか?ニセ?指名手配?

会場のメッセージボードにはニセソラちゃんの似顔絵が。

宙博すごいとこその9 ニセソラちゃんを容認

公式キャラクター3人はポスターにも載っているし、公式サイトにも載っているが、もう一人謎の宙博キャラがいる。それが上の写真のニセソラちゃん。自称、「宙博のダークマター」でTwitterアカウントがある。

ニセソラちゃん(@nisesorachan)

宙博2009のときに突如現れてツイートを始めた正体不明のキャラクターだ。こちらの発言もずっと見ていたが、宙くんと同じくらい自由な発言をしている。

出現当時のtogetter(編集部注:twitterでの発言をまとめたページです)はこちら「ニセソラちゃん」

突然の出現から宙博公式アカウントに任命される流れは、ちょっとプロレスっぽくもあり、宙博スタッフ内部の犯行という疑いもあった。が、上の写真の様に指名手配するくらいだから違うのだろう。これで内部の犯行だったら本当に凄い。

宙博の会期中は、各宙博キャラクターがTwitterで情報を発信し続け、会場とは別の盛り上がりを見せていた。

宙くんやニセソラちゃんの自由さも宙博が重んじる多様性の表れなのだろう。ぶれがない運営方針に好感が持てる。

 

宙博限定グッズがならぶ。紺のTシャツ買ったよ。

宙博すごいとこその10 充実の宙博グッズ

宙博オフィシャルショップでは、宇宙関係の本やプラモデルが売られていたが、宙博グッズも沢山売られていた。例えば、ダークマターがプリントされたトートバッグ。衛星やはやぶさがデザインされたTシャツ。

宙博キャラクターのグッズもたくさんあって、絵葉書、バッジ、ノート、シール、ストラップ、星座早見表、卓上カレンダーなどなど。一番人気は消しゴムだったそうだ。

宙博キャラクターのグッズは宙博限定との事だったので、今後手に入るのかは不明。宙博2011で売ったりするのだろうか?


ダークマターかわいい。
ずらり並んだ宙博グッズ。

ソラちゃんストラップはシールつき。
バッジは2個セット。黄色い顔してるのはイカロスくんです。

素粒子のぬいぐるみ、パーティクル・ズー。

宙博すごいとこその11 素粒子のぬいぐるみ

宙博グッズの横でひっそり売られていたのが素粒子のぬいぐるみ、パーティクル・ズー。パーティクル・ズーとは、各種クォーク、ニュートリノ、ミューオン、グラビトン、ヒッグスボソン、ダークマター、タキオンなどの素粒子をぬいぐるみ化したもの。

ヒッグスボソン(質量の原因と言われる粒子)やダークマター(謎の重い物質)が重く作られていたり、ニュートリノ(ほぼ質量がない素粒子)は凄く軽かったり、素粒子の個性に従って特徴付けられているのが面白い。

アメリカ製で、妙に縫製が荒かったりするのも味といえば味。ストレートに可愛いと言いがたいデザインもまた良い。僕はタウ・ニュートリノを買ったよ。妻はヒッグスボソンを買っていた。

 

消しゴムはんこ3種類はすべて手作り。

宙博すごいとこその12 乙幡さんグッズが売られている

宙博グッズの横では、なぜか当サイトのライター、乙幡さんの消しゴムはんこと、アレシボ・メッセージ(アレシボ天文台から宇宙に発信したメッセージ)と豆絞りを掛けた、「AREしぼり」が売られていた。

消しゴムはんこは3種類。電波望遠鏡とフラットウッズ・モンスター、あとパンゲア(大昔、地球の大陸が1つだった頃の大陸)。

なぜ乙幡さんグッズが宙博で売られているのかというと、乙幡さんも宙博の公式キャラクターなのだ!って、ちがうちがう。乙幡さんは宙博でワークショップを開催していたからなのだった。

 

ワークショップをしてる乙幡さん。インカムつけて子供20人を指導。

宙博すごいとこその13 乙幡さんによる消しゴムはんこワークショップ

これも多様性のひとつか。乙幡さんはワークショップで消しゴムはんこ教室をやっていた。銀河や衛星、宇宙人や火星の人面岩の消しゴムはんこを作ってオリジナルトートバッグを作ろうという内容だ。

予想外に子供だけのワークショップになり、あっちこっちから呼ばれててんてこ舞いを踊っていた。さすがダンサーを目指してただけあるぜ。

乙幡さんに、宙博の展示は見たんですか?って聞いたら、あまりの混雑で見る余裕がなくてまだ見てないって言っていた。混雑。そう、宙博は混むのだ。どれくらい混むのか見てみよう。


こうやって切るんだよー、なんつって実演。
AREしぼりを広げてなぜかガニマタ。

 

まずチケットを買う列に並んでから入場の列へ。

宙博すごいとこその14 混雑が凄い

左はチケットを買う列。前売り券や招待券を持ってない人は、まず当日券を買わなければならない。その列がまず長いし、チケットを手に入れたら今度は入場の列に並ぶ必要がある。

僕は会場の中にいることが多かったので最長の列は見ていないのだけど、最長で3時間待ち、列はお隣の武道館まで続いていたのだそうだ(Twitter情報。実際に3時間までは待たなかったという情報もある)。

宙博2010は会期が3日間しかないのでもともと混みやすいのだが、今回は土曜日に台風が来て、そのせいで予定をズラした人が多かったらしく、特に最終日の日曜日は来場者数が多かった。

発表では3日間の延べ来場者数(再入場含む)は31,627人だけど、その半分が日曜日のもの。そりゃ混むはずだ。


人がみっしりの会場内。
宇宙服試着コーナーは2時間待ち。180分待ちの時もあった。

 

初日、チケット売り場はガラガラ。

人気の宇宙服試着コーナーには長蛇の列。宇宙服は2着あったが、1組が着替えるのに3分としても1時間で20組だ。40組で2時間。そりゃ待ち時間も長くなるはずだ。

でも、初日の金曜日の朝一はまったく混んでいなかった。チケット売り場は誰も並んでおらず(みんな前売りか招待券を持っていた様だ)、入場の列も10mほど。会場内も空いていてどの展示も並ばずに見られた。

平日の朝だから当然といえば当然なのだが、宙博をゆっくり見たければ土日を避けて平日に来たほうがいいかもしれない。


すべての展示が並ばずに体験できる。これは大手町のJAXAiに行けば同じのあります。宙博で体験できなかった人はJAXAiに行くといい。
宇宙服コーナー一番乗りの方。後ろには誰も並んでない。

初日はショップも空いていてゆっくり見られる。
最終日はバーゲン会場のよう。

次のページでは、宙博の本当に凄いところを紹介したいと思います。何が凄いかというと、ライブステージとレクチャーがすごいんですよ!


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