最初に脱落したのは安藤さん
日経電子版は一体どこまで読めるのかと思っていたら、電波の前に人が一番初めに脱落した。
何か、何か興味を惹く話題で意識を紛らわさなければ。日経で流れてきた、リニアの話題を振ってみた。リニア、格好いいですよね!
安藤さん「リニア、いいですよね、かっこ、うぇあ、気持ち悪い…」
ダメだ。
まず一台圏外に
安藤さんに続いて一台目脱落。出港から約20分の事だった。
一台ダメでもまだこちらには戦力が残っている。もう陸は見えず、完璧に沖に出ているがまだまだ繋がる。いやー、電波って凄いね。海に流されても携帯があれば大体大丈夫じゃないだろうか。
凄いですね、安藤さん!って横を見たら安藤さんが水浸しになっていた。安藤さんはただただ唸る。波は船内にいる者までも飲み込んだ(一人だけ)。
神の助け
その後も順調に船は走る、電波は切れない。一時間経っても日経電子版は更新される。携帯ばかりに気を取られていたが、安藤さんは完全に圏外の様だ。
ううぅ。といいながらうなだれる安藤さん。
安藤さん「船酔い押さえる方法を日経新聞で調べて下さい…」
いや、経済新聞なんで、載ってないと思いますよ!と、思いつつも一応調べる。
僕「すみません、ありませんでした」
安藤さん「ああぁ…じゃあ、『船酔い、取る』で調べてください」
キーワード選び、微妙に変!というか、キーワードの問題じゃ無いと思いますよ。
いよいよか、という所で前の席の人が乗務員さんに言った一言が聞こえてきた。
前の席の人「すみません、酔い止めもらえますか」
ええっ!?そんな事出来るの!?
必死で乗務員さんを捕まえて酔い止めをもらう。ものすごく嬉しそうな様子だが、その姿はすでにおじいちゃんになっていた。
安藤さん「俺、これ、5000円でも買うよ!」
物凄く心のこもった一言が飛び出した。
数百円もしない酔い止めでも船の上なら5000円になる可能性がある。経済というものは需要と供給から成り立っている。ということがよくわかる一言である(日経新聞向けコメント)。
日経電子版は日本国内ならどこでも読める
安藤さんは5000円の酔い止め(実際は無料)を飲んでも改善は見られず、完全に音信不通になってしまった。手持無沙汰な僕は日経を読む。船酔いする人よりも日経電子版の方が繋がる時間は長い。
一体どこまで繋がるんだ…と、思っていたら一時間ほどで全ての携帯が圏外となった。ここか!ここが読める限界か!
日本を出発して一時間以上も繋がっている。予想以上の結果に対する驚きと共に繋がらないということはもう本当に日本から離れたんだと思うと感慨深い。
日本ともおさらばか…と、思っていたら安藤さんが少し元気に。よかったと思っていたら、携帯電話が再度電波を受信した。なんだこの立て続けの復活劇は。
復活後、波があるが途切れることなく繋がっている。3時間の船旅、すでに半分以上を過ぎている。一体どこまで繋がるのか、何かもう、どこまででも繋がる気がしてきた。
繋がりすぎて見てもどうせ繋がってるんでしょ?という気持ちになった二時間ちょっと過ぎ、スコッと全ての電波が繋がらなくなった。えっ。
あんなに途切れず繋がっていた物が切れる時はあっさりと。戸惑いと共に少し寂しく思っていたらば。
寂しさに浸る間もなく韓国が見えた。こんな所まで来ていたのか、繋がっていたのか。日経電子版は、韓国の手前まで読める。日本なら「どこでも読める」と言うのは大げさではないぞ。
遂に韓国へ?
日経電子版と日本に別れを告げ、遂に韓国だ。と、思っていたら、フラフラな安藤さんの様子がおかしい。
安藤さん「あれ、パスポートがない…」
安藤さん!!
急いで船に戻ると荷物棚の上にポツンと落ちていた。一体なくしていたらどうなっていたんだろう。まぁ、よかった。
どうにかこうにか、韓国だ。