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はっけんの水曜日
 
実写版・千歳飴


七五三の季節である。いや、私が浮かれてもしょうがないのだが。

七五三といえば、おしゃれしてお参りに行ったりするわけだが、なんといっても注目すべきは千歳飴である。あの妙に縦長の袋、ド派手な絵、食べきることの決してできない中身。

中身は置いといて、ずっとあの外袋のことが気になっていた。なんなんだあれは。あの絵のモチーフの組み合わせは。どうにも目出度いものばかり凝縮されて、それに細長い。面白い。

もしこれを実写にしたら、そのめでたさは いかばかりであろうか。

乙幡 啓子



七五三のピークは過ぎていたか

さっそく、資料集めだ。千歳飴をしこたま買ってくるぞー!今日からおやつは毎日飴だ。

との覚悟で街をまわってみたのだが、意外と「昔ながらのあの千歳飴の袋」を置いているところは少ない。というか千歳飴の袋自体、ほいほいと置いてあるもんじゃないことがわかった。ピークの土日を過ぎた平日にまわったからだろうか。千歳飴よりも、もうクリスマスの商品のほうが幅をきかせていた。

ペコちゃんやアンパンマン、店独自の現代的なデザインの千歳飴など並ぶ中、かろうじて昔ながらの面影を色濃く残すこれら2点が手に入った。これをお手本にしよう。


左が東急ストアで、右がお店で。両方不二家でした。

うーん、お目出度パーツの一挙掲載ぶりがすばらしい。このほかには例えば熊手などもたいへんお目出度く、心をくすぐられるものがあるが、千歳飴は「手に持って提げる」というところがポイント高い。

さて、実写化するにあたって、各々のパーツを確認しよう。


水引、日の出、鶴、亀、松、梅。竹は笹のようにも見える。
亀は荒波とともに、岩場に。

さあ、撮影だ撮影だ。上記のパーツがほぼいっぺんに揃うのが理想的だ。というわけで、近所の公園にでかけてみた。広大な公園には各種樹木、動物園もあるので、かなりの役者さんが揃うはずだ。

歩いてみると、予想以上に人材豊富でだった。


やってきました井の頭公園。
いきなり松、発見。

たしか池にはあいつらが…
お、いたいた。干していらっしゃる。

亀ゲット。荒波・・・ではないが仕方ない。

はい、動物園で鶴ゲット。

人材豊富と浮かれておきながら、とたんに苦しくなりましたぞ。だいいち梅の季節ではない。

雛人形的イメージにより、かんきつ類=みかんで代替。
同じ樹木系のツバキがかろうじて咲いていた。君も手伝ってくれ。

竹も見つからず。よって笹で代替。

フェネックがまるまってるそばに…
笹っぽいものを発見。だんだん基準があいまいに!大丈夫か。

日の出は、前に撮ってあったものすごいのを一発。

すみません、網戸越しでした。
水引は本物で楽々ゲット。

後回しにしてきたのが、2人の人物像だ。上記の例では稚児だが、私には翁(おきな)と媼(おうな)が立っているイメージなのだ。袋の裏にも、補足的に彼らの写真が出ていた。こういう路線を目指したい。

資料写真と七五三の由来が。勉強になります。

翁と媼。当時の設定では私もほぼこれくらいの年なんだろう。
働きものである。

ほうき、というものがうちにはコレしかない。これを持たせよう。誰に?それは完成後にということで。

父よ母よ面目ない。

これら写真をプリントアウトして切り取り、白紙(買ってきた袋を裏返した)にコラージュしていく。これはけっこう楽しい。

白紙の千歳飴袋、初めて見た。
けっこうひとつひとつの配置が難しく、考えどころ。

こうして、お目出度いというか、とにかく大騒ぎなものができあがった。

勝手に写真使ってごめんなさい、両親、それに鶴亀。

両親の写真は、親族の結婚式から取ったものである。寿ぎのツールとしては最適な写真があったものだ。

コラージュしている間じゅう、「これはいったい何なのか」という思いが頭を支配した。これはいったい何なのか。

スクラップが趣味のご年配の作品を見たことがあるが、それに近い雰囲気がある。七五三を祝っていると見せかけて、自分らでめちゃくちゃ勝手に盛り上がってるかのようである。

もし自分が7歳のころにこれをもらったら、どんな気持ちだろうか。気が遠くなりそうだ。


 
 

 

 
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