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はっけんの水曜日
 
鬼が花火を持って舞う夜祭り

神楽のお面工房

午後に浜田入りしたが、舞がはじまるのは夜からだ。
それまでの間に、と神楽のお面を作る工房を見学させてもらえることになった。


柿田勝郎面工房

めんだらけ

「おじゃまします」と玄関を開けたところ、いきなり壁一面に神楽面が飾ってあり、おもわず「おお」とひるんでしまった。
一つでも迫力のある神楽面だが、これだけ並ぶとちょっと怖いくらいである。


迫力のお面がずらりとこっちを見ている

男前のお面
大蛇の頭

木じゃなくて紙でできている

能のお面なんかだと、木を削って作るのが一般的だが、この石見神楽面は紙でできているのが特徴だ。
粘土で原型をつくり、その上に当地特産の石州和紙を柿渋入りの糊で何重にも貼って作る。


僕も作ってみたい

左が和紙を貼ったもの、右が原型
貼る和紙はかなり高級なものだそう

粘土で作った原型は、使い回すのではなく、紙の面を剥がす際に割って壊してしまうそうだ。
これは石見神楽面いがいでは見られない製法らしい。
そのおかげで、こんなに立体感のあるものが作れるんだろう。


色を塗る前でもこの迫力。ちなみに紙なのでとても軽い
これも激しい踊りの石見神楽ならでは

新築の家に送る

このあたりでは、家を新築した時などにこの神楽面を送る風習があるそうだ。
だからどの家に行っても神楽面が飾ってあるらしい。
ちなみに飾り用のお面は二、三万円くらいで、真剣に買おうかと思った。


毛は馬とヤクを使っている
お作りになるお面にどことなく似ている柿田さん


神社へ

神楽面工房のあとは、このあと舞を奉納する神社、高井ヶ岡八幡宮へ向かった。


歴史のあるたたずまいの神社


宮司さんの家で、神社に伝わる古い神楽面を見せてもらった。
昔は木彫りの面を使っていたそうだ。

もともとの近世以前から続く石見神楽は、神職が舞うものだったのだが、明治になって、神職は舞なんか舞ってないで神社の仕事に専念しろという「神職演舞禁止令」が出され、それじゃあ俺たちが、ということで氏子たちが舞うようになったという経緯がある。
そこからだんだん舞が派手に、エンターテイメント性にあふれるようになっていったとのことだ。

今の時代に考えると「神職演舞禁止令」なんて、政府による文化の蹂躙だが、それによってまたこんな素晴らしい文化ができたのだから、石見の人は力強い。


ここが神楽殿。夜が楽しみだ
さらっと置いてあるが浜田市の指定文化財の神楽面(左)


さて、夜になりました

いろいろ案内してもらって、ますます神楽の舞が楽しみになってきた。
すっかりテンションがアゲアゲである。
そしてそれは僕だけじゃないらしく、昼間訪ねた神社の雰囲気もさっきとはすっかり変わってお祭りモードになり始めている。


いよいよ夜です

神楽殿は準備中


奉納

石見神楽は神様に奉納される儀式だ。
その前に社殿の中で神事が執り行われる。
宮司さんのはからいで、僕も参加させてもらった。



おごそかに祝詞が朗誦される
神楽ではない舞も

準備万端

やや緊張しながら神事に望み、外へ出てみると境内に人影が増えている。
本殿右手の神楽殿では準備が進められ、左手ではたき火が焚かれている。
これは斉灯というものらしいが、夜になって冷え込んできたので暖かさがうれしい。


寒いのでたき火がうれしい

神楽殿で子供たちが遊んでいる。そりゃ遊ぶよね


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