フランスの作家、サン=テグジュペリの「星の王子さま」。世界中で愛されているこの小説、読んだことがない人はいても知らない人はいないだろう。
そんな星の王子さまのテーマパークが、なぜか埼玉にあるらしい。
先日、出かけたときに近くを通ったので、寄り道してみることにした。
(萩原 雅紀)
入場料、駐車料タダのテーマパーク
実際に現地へ行ってみると、このテーマパーク、なんと入場料、駐車料金ともに無料。敷地はそれほど広くないものの、多くの人で賑わっていた。
それでいて建物も――僕は星の王子さまの世界感をそれほどよく知らないけれど――美しく造り込まれている。さっそく中をいろいろ見てみよう。
森に囲まれた建物群は、サン=テグジュペリの生まれた南フランス風に統一されている。行ったことないのでどのくらい精巧かは分からないけど、十分その気になれる雰囲気だ。
それにしても、テーマパークと言いつつ食べ物屋の写真ばかりですみません。
でもちょうどお腹も空いていたし、かわいい建物の、なんだか魅力的なお店だったので、ついいろいろ買って食べてしまった。
名物のオムライスはもちろんだけど、その隣のカフェで買った紅茶も、もう少し食べたくて覗いたパン屋で目に留まったチョコとオレンジの挟まったパンも、どれもおいしかった。特に、最後のパンはチョコの甘みとオレンジの酸味が見事にマッチ。1日運転して疲れていた身体を目覚めさせてくれた。
では腹ごなしにパーク内をもっと散策してみよう。楽しいのは食べ物屋さんだけじゃないよ!
ショップ街から散策路を歩いて行くと、まわりの壁や看板などあちこちに、小説の中に出てくるセリフやイラストが描かれている。
きっとファンはこれを探し歩くだけでも楽しいに違いない。
それにしても、さっきからほかのお客さんを観察していると、妙におっさんが多いことに気づいた。平日の夕方というのもあるかも知れないけど、星の王子さまファンはおっさんが多いのだろうか。
清潔感のあるトイレの前には、おっさんが大好きなものがあった。
テーマパークに道路情報?
実は「テーマ"パーキングエリア"」でした
ここまで、不自然な流れだなーと思っていた方もいるかも知れない。いいかげんとぼけるのをやめます。
実はここ、なんと関越自動車道上り線の寄居パーキングエリアなのだ。最初に「入場料も駐車料もタダ」と書いたけど、当然ここに来るまでの高速代はかかります。
関越自動車道を管理しているNEXCO東日本では、最近「パサール」など今までにないタイプのパーキングエリア、サービスエリアを展開しはじめている。ここもその一環で、パーキングエリア全体を「星の王子さま」の世界にしてしまったらしい。
なので、いかにも高速道路のサービスエリアっぽいフードコートではなく、オムライスやパンの専門店が立ち並んでいる。ここではラーメンもそばもじゃがベーも売られていない。
だけど、そんなことはどうでもいい。関越自動車道を走っていると、寄居PAの手前にも先にも大規模なサービスエリアがあるので、今まではどうしても大きい方に足が向きがちだった。その中にこんなパーキングエリアが登場したことで、行楽帰りの休憩地点の選択肢が確実にひとつ増えたと思う。
個人的には、それほど「星の王子さま」に思い入れがあるほうではないけど、その世界観を楽しめたし食べ物もおいしくて、そんな僕でもまた来たいと思った。
つまり、大切なものは目に見えていないのだ(まとめ強引すぎ!)。
この展開すばらしい
以前に取材させてもらった「パサール」をはじめとして、最近の高速道路のサービスエリア、パーキングエリアは特色のあるところが増えてきて、その充実ぶりは目を見張るものがあると思う。
地図を見ると、全国には数えきれないほどのパーキングエリア、サービスエリアがある。どのサービスエリアも楽しそうだと考えると、地図の中は笑顔で満ちているように見えるのだ(2度目の強引すぎなまとめ)。