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土曜ワイド工場
 
造幣東京フェアに行ってみた


造幣東京フェア! 

東京・池袋の造幣局で「造幣東京フェア」という催し物が行われるという情報をつかんだ。 「七宝体験」「ハンマープレス体験」「工場見学」……。 ちょっと気になるので行ってみた。

西村まさゆき



この行列の目的は!?

造幣局に到着すると、既に長い行列が出来ていた。 見事なまでにほぼ全て年配の男性ばかり。一体なんの行列なのか造幣局の担当の方に伺ったところ、限定販売のプルーフ硬貨セットを買い求める人たちの行列らしい。 プルーフ硬貨とは、普通の硬貨とは違う特殊な作り方でとてもキレイに仕上げた収集家向け硬貨のことだ。


枯れた色使いの写真
本気の金額

表面が鏡面仕上げされたプルーフ硬貨は、ほんとうに目がさめるような美しさなのだけど、いくら実際に使えるといっても、セットを買うと7500円もする。額面が666円しかないのにだ。これは、門外漢のぼくがひやかしやおふざけで買えるような値段ではない。

 

七宝体験コーナー

それよりなにより「七宝体験」だ。 七宝といえば食器やピンバッジなどのデザインで使われるあの綺麗な焼き物のことだ。 それが体験できるのだという。

造幣局でなぜ「七宝」なのか。 それは、造幣局で製造している勲章に七宝の技術が使われているからだ。 勲章に関しては後ほど詳しく説明しようと思うけど、とにかく、フェアではこの七宝が体験できるのだ。 ぼくは事前に「七宝でどんな絵を描こうかしら。デイリーポータルZの取材なのだから、Zくんとかそういうのにするかなあ、上手く描けるかなあ……。」などと期待に胸をふくらませて体験コーナーに向かった。 しかし……。


絵柄を4つの中から選ぶ……
そうかー

そういうことかー
黙々と釉薬をペンダントの上に乗せていく……

終了。ここまで3分ほどで終了

自分で自由な絵がかけるのかと思ったのだけど、そうは問屋が卸さなかった。 しかし、よく考えればそうなのだ、素人が七宝で絵を描くなんて、そんなのいきなり出来るわけない。絵にしたいのであれば、釉薬を乗せる下地から作らなければいけないのだ。 ぼくは釉薬を乗せ終わったペンダントをスタッフの人に渡した。焼成は30分程度で終わるということなので、もう一つの体験コーナー「ハンマープレス体験」に行くことにした。

 

完成するまでにハンマープレス体験

ハンマープレス。 ハンマーでプレスして銅片に模様を刻み込もうという体験コーナーだ。そのままである。 担当の方の話によると、硬貨はむかし、溶かした金属を鋳型に流しこんで作る「鋳造」という手法でつくっていたのだけど、現在は、薄く伸ばした金属を強い力でプレスして作る「鍛造」で作っているらしい。 体験の列に加わって、しばし待つこと数分。いよいよぼくの番が回ってきた。


上手にできるかなー

これがハンマープレスの機械かー 

えいっ!
ガチン!

3秒で終わった。

地鎮祭ではない。 後ろの紅白幕がより一層その雰囲気を醸し出しているのは否めないのだけど、あくまで記念コインを作っているのだ。


コインの元となる銅片

絵の描かれた容器の中に入れてハンマーで叩くと

記念コインが出来る! 3秒!

入って行ってガツンとやって出て行くまでトータルでも20秒ほどだった。 感想を思いつくヒマもないほどあっという間だった。 もうちょっと気の利いたコメントでも書きたいところだけど、本当にあっという間だったとしか言い様がない。

ぼくは自分でプレスした記念コインを片手に、七宝ペンダントの受け取りに向かう。


いけふくろう……われながらきれい……

いけふくろうはちゃんと完成していた。 それは小さくてきれいな七宝のペンダントだった。

 

残念ながら工場内は撮影不可……

池袋の造幣局では記念硬貨とプルーフ硬貨の製造工程をガラス越しに見学できる。 普段は事前に申し込みをして予約をしなければ見学できないのだけど、今日はフェアなので自由に入って見学することができるのだ。 しかし、残念ながら工場内の写真撮影は不可。

仕方が無いので、今回、ぼくがすごいと思ったところを文章だけで説明してみたいと思う。

最近の記念硬貨は、表面にカラーの模様が印刷されているものもあるのだけど、どうやってカラーの模様を硬貨の表面に印刷しているのか? 実は、半球状のゴムボールに一旦、図柄のインクを転写し、硬貨にそのゴムボールをフニャッと押し付けているだけなのだ。いわゆるオフセット印刷というやつ。 まさか、硬貨にオフセット印刷技術が使用される日が来るとは誰が予想しただろうか。

と、工場見学のレポートがゴムボールのオフセット印刷だけというのもどうかと思うので、造幣局のウェブサイトの工場見学コーナーをリンクしておきます。


工場内は撮影不可なので「4本打圧印機」を御覧ください

 

造幣博物館には一体何があるのか?

東京にはお金をテーマにした資料館や博物館が幾つかあって、日本銀行の向かいにある「貨幣博物館」、市ヶ谷にある「お札と切手の博物館」(今年12月に閉館、来年3月に王子に移転予定)、そしてこの東京造幣局にある「造幣東京博物館」だ。 造幣東京博物館は普段平日しか開館してないため、なかなか気軽に行けないのだけど、今回は特別に開館していた。


これが噂のカラーコイン
クック諸島で発売されたキティちゃんコイン。ミニ国家はこういう収集家向けのコインや切手をよく販売するのだ

工場見学の部分でもちょっと触れたけれど、最近の記念硬貨は図柄に着色したカラーコインが多い。 特に、ミニ国家のマニア向けコインは、図柄がキティちゃんだったり、ウルトラマンだったりして面白い。

 

造幣局イチオシは「地方自治コイン」


1番人気の坂本龍馬
それなりの人気の大隈重信(近日発売)

一昨年から順次発売されている記念硬貨「地方自治法施行60周年記念貨幣」の見本も展示されていた。これは各県につき2種類の記念硬貨を10年かけて発売するというもので、この記念硬貨を手に入れる為には、事前に造幣局に申し込みをした上、抽選で当選しないと購入できないのだ。 この地方自治コインシリーズは、いまコイン収集家の間では大変な人気になっているらしく、特に坂本龍馬のコインは昨今の龍馬ブームもあり、他の県よりも高い倍率になったのだという。

 

結構いろいろやってる造幣局


東京オリンピックのメダル 
国民栄誉賞の盾も造幣局が作るのだ 

実は東京造幣局では現在、普段使用する硬貨は製造していない。そのかわり、収集家向けの記念硬貨、勲章、そしてオリンピックのメダルや国民栄誉賞の盾などの製造を行っている。他にも、各自治体や団体の記念メダル、名誉市民章、功労章などの各種の金属加工品の製造、貴金属製品の品位証明と、様々な業務を行っている。 造幣局はコインを作っているだけではないのだ。

 

なぜか重さにこだわる造幣局


各硬貨の重さ比べ。比べるも何も、どれも重すぎてその差がわからない
千両箱の重さ体験。なぜこうも重さの体験にこだわるのかは不明

硬貨も数千枚分も集まればどれも重い。100円硬貨4000枚は19キロ以上もある。持ち上げるとちょっと笑みがこぼれるぐらい重い。それぐらい重い。 実際持ってみて欲しい、絶対笑うから。

 

ちょっと長いけど勲章の話します

池袋の造幣局では勲章の製造もしているので、もちろん勲章も展示してある。しかも、日本で貰える勲章の中でいちばん偉い勲章が展示してあるのだ。 個人的に勲章にちょっと興味があるので、ちょっと長くなりますけど、勲章の話をします。 ※館内で展示してある勲章の写真は撮影不可でしたので、賞勲局の画像を引用します。


日本で一番偉い勲章。大勲位菊花章頸飾(だいくんいきっかしょうけいしょく)(写真提供:内閣府賞勲局)
日本で一番偉い勲章の次に偉い勲章「大勲位菊花大綬章」(だいくんいきっかだいじゅしょう)(写真提供:内閣府賞勲局)

現在、日本の勲章の中でもっとも偉い勲章は「大勲位菊花章頸飾」(写真左)だ。 これは皇族や、海外の王族などとの儀礼叙勲の例を除くと、民間人で生前に叙勲したひとは西園寺公望以降いない。没後叙勲でも佐藤栄作が最後だ。 と、言われてもピンと来ないと思うので、どれぐらい偉いのか、わかりやすく袋ラーメンに例えると「サッポロ一番みそラーメン」ぐらい偉いと言えばわかっていただけるでしょうか。

そして次に偉い、袋ラーメンでいう所の「サッポロ一番塩ラーメン」にあたるのが「大勲位菊花大授章」。 「次に偉い」といえども、この勲章もなかなか貰えるものではなくて、現在、生存してる民間人でこの勲章を持っているのは中曽根康弘元総理しかいない。

なお、みそラーメンの「菊花章頸飾」をもらうためには、塩ラーメンの「菊花大授章」の 叙勲が条件、というドラクエの転職みたいなシステムになっているので、中曽根元総理には、是非ともみそ……じゃなかった「大勲位菊花章頸飾」が貰えるまでがんばって長生きしていただきたいと思う。

平日は空いてるらしい

コインのデザインをする技師の方が作製した「力士」の彫塑

いちばん期待してた「七宝体験」と「ハンマープレス」があっさり終わってしまった時は「この取材どうしてくれよう」と思ったのだけど、貴重な硬貨や金貨、勲章などが展示してある博物館では取材を忘れて楽しめた。

ただ、硬貨はあまりにも身近すぎて普段気にもとめない事が多いのだけど、博物館の中で小判や記念硬貨と一緒に、ガラスケースに陳列されているきれいな100円玉や10円玉は、有名になっちゃった友人を見ているようで、なんだかちょっとしんみりしてしまった。


造幣東京博物館
開館時間 9時〜17時(入館は16時まで)
休館日 土・日・祝日
入館料 無料
所在地 東京都豊島区東池袋四丁目
ウェブサイト

 
 

 

 
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