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ひらめきの月曜日
 
秋のロックフェスは音楽じゃなくて岩石!


 

ロックフェスというものに行ったことがない。

そういうイベントに行くほど音楽に親しむ習慣がないこともあるが、「なじめなさそう」というぼんやりとした不安が足を遠のけるのも事実。

自分の殻を破る意味でも一度行ってみたいとも思うが、ロックフェスとは主に夏に行われるものなので、11月の今は季節外れ。しかし、探してみると秋に行われるものもあるではないか。 ただ、ロックの意味が違う。ロックと言っても、岩石の方なのだ。こっちのロックフェスならなじめそうな予感もする。そういうわけで、行ってきました。

小野法師丸



ロック度なら決して負けてない岩石フェス

音楽の方のロックフェスからは結局のところ逃避して、自分の殻を破るまでもなく気軽に行けそうな岩石系のロックフェス。今回は茨城県笠間市で行われるものを訪れてみる。


混乱に配慮して謙虚なネーミング
いきなりロック!

イベントの名前は「いばらきストーンフェスティバル」。のちほど写真で紹介する出品物の規模からすると、「ロックフェス」と名乗ってもいいと思うが、音楽の方と混同される ことを避けてのストーンフェスなのだろう。

しかし、イベントのロック魂は会場の公園にあった石のオブジェに地元民と思われる子供たちが群がる様子からもよくわかる。これは熱いに違いない。


リアルロックあふれる会場内
これでもかとロック

でかい岩石がゴロゴロー。音楽系ロックフェスの雰囲気は直接的には知らないが、会場内の高まるボルテージはきっと共通なのだと思う。

耳をつんざく大音響が鳴り響くことはなくとも、来場者の気持ちはヒートアップ。写真的にはグレー系でいかんせん地味だが、心の中の熱気はすごい。


本気でロック
これまた別の意味でロック

ロックスピリッツあふれる墓石
ロックの神様登場

本物の岩石に混じって会場で販売される食べ物も、ロック系アイテムが揃っている。両方に惹かれつつも、個人的に選んだのはハム焼。豚ドックも見事だが、ロックに パンは不要だと思ったからだ。

お墓が斜めになっているのは、地震でも倒壊しないという特徴をアピールするためのディスプレイ。ロールの方はしないロック。「地震に強いぜ、Yeahhh!」というわけだ。


いいツヤしてると思って値札を見たら…
なめてましたすみません

ロックフェスは値段もロック。いい感じの丸っこさととがり具合が絶妙なこの作品は、8500000円。私も数字を指さしながら一、十、百、千…とやりがちなタイプだが、850万円である。

決して大衆に媚びることのない価格。孤高であることを恐れない魂がそこにある。


感覚がおかしくなるのに気をつけろ

こちらは素材感を生かしたタイプの作品。ついてる値札は95万円。850円のものを見たあとだと「安い!」と感じるのも岩石マジックだ。その気になって買ってしまったところで、置く場所がない。気はしっかりもちたい。


細かい!
高い!

「細かい!」というのはあんまりロックな感じはしないが、「高い!」というのはロックだろうか。しかし「墓石のベンツ」という言い回しで再びロックから遠ざかる。

そして両者に共通しているのは、「日本で一番○○い と言われている石」というフォーマット。言い方をぼかして僕らを煙に巻くのは、果たしてロックなのかそうでもないのか。


かわいい系だけど値段はとんがってる
シャクレと高らかに宣言

石で作った小物も販売されているのだが、小さくってもさすがは岩石、なかなか気軽に買えるような値段ではない。「小腹筋童子」に10000円の値札がついてるのを見て、心にやってくる沈黙。意外と手強い。

そして愛らしさが目を引く「シャクレねずみ」は17000円。一つの石の上で、かわいさと自虐とが交錯する奇跡。

 

さて、このフェスでは会場外で行われる特別イベントもある。採掘現場を見学するツアーだ。

バスでロック発祥地に移動
過去のツアーを紹介した新聞のコピー

あらかじめツアー参加に申し込んであったので、用意されたバスに乗り込んで移動する。車内で配布された過去のツアーの新聞記事のコピーを読むと、「石割り実演に涙がこぼれそうになった」という参加者のコメントも載っている。

そこまでか。ちょっと想定してなかったレベルの感想。徳光さんレベルで涙もろい参加者がいたのだろうか。


ギリシア的なたたずまいを見せる茨城
爆発するアウェイ感

まずやってきたのは、採掘現場から切り出した石をある程度の大きさに切る現場。スケール感が伝わりづらいかもしれないが、高く積み上がった石たちは、見る者にどこか外国にでも来たような錯覚を呼び起こす。

そして、安全のためにと配布された黄色いヘルメットをかぶって高まる部外者感。このロックフェスにもなじめないのか。そんな心の揺れを抱え る中、石割りの実演が始まった。


くさびを打ち込んでいくと…
ドーン!

割ると言っても、実際にやることは金属製のくさびをいくつか打ち込んでいくというもの。鉄槌で打つたびに、キン、キンと響く音がだんだん高くなっていく。石割りという語感からはイメージしていなかった、透明感のある音だ。

そしてしばらく打つと、石全面が割れて、ドーンという地響きとともに倒れる。割れた口は驚くほどきれいにフラット。

これはすごい。ロックの感動がここにある。涙がこぼれそうになるということはなかったが、私がもっとおじいさんだったら泣いていたかもしれない。確かに中高年の参加者には、うっとり見惚れている人もいた。


小さな力で大きなことを

くさびは長さ7cmほどの小さなもの。石目を読んでいくつか打ち込めば、写真のようにきれいに割ることができるらしい。

こっちのロックフェスでクールなのは、ギターテクではなく石目読解テク。どちらもオーディエンスをエキサイティングな気持ちにさせるという ところに共通点がある。

そして再びバスに乗り込み、これらの石を切り出してきた採掘現場へと移動する。車窓から見えたのは、こんな風景だった。

 

雄大な茨城ロックのパースペクティブ

もう何十年も採掘を続け、現在もなお良質な岩石を産出する採掘場。ハム焼とかシャクレねずみとか言ってる場合じゃない。ロックフェス本領発揮の風景だ。

写真の右下に重機が見えるのがわかるだろう。その大きさから、全体のスケールを想像して感じ取っていただきたい。


みんな真剣にのぞき込んでいる
そりゃ見とれますわ

バスから降りて、じっくりと採掘場を眺める時間もあった。どの参加者も息を呑んで、その荘厳な様に吸い込まれる。

この光景を目の当たりにした感動を実在するロックバンドのサウンドに例えてみたら、と考えてみたがさっぱりわからない。こういうときは余計なことは考えず、ただただ目の前にあるものに心を任せる方がいい。

見学の最後には石持って帰り放題サービスも

秋の茨城を訪れた、別の意味でのロックフェス。岩石と音楽という違いはあれども、そこには意外な共通項をいくつも見い出すことができた。

石持って帰り放題サービスでは他のオーディエンスと一体感を共有できた。チケットを買う必要もなく気軽に参加できるので、ロックフェス初心者にもおすすめだ。


 
 

 

 
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