自由だけれどむちゃくちゃではない
グローバル寿司を求めてやってきたのは、麻布十番にある「レインボー・ロール・スシ」というお店。
英語で書かれている看板からして、とても寿司屋とは思えないたたずまい。マークはおそらく巻き寿司を模していると思われるが、かっこよすぎではないか。
開店して9年経っているというこのお店。できては消えるという印象も強いレストラン業界で、これだけ続いているのはしっかりと支持されているからではないだろうか。
訪れたのはランチタイム。場所柄や店の特徴を考えると外国人客が多いのかとも思ったが、今回は普通に日本人同士で来ている人の方が多いようだった。
いくつかあるランチメニューから2つ選ぶ。注文したものが来るまでの間、グランドメニューを見てみよう。
「いろんな具材が入っている」という意味で「レインボーロール」という名前はまあわかる。ただ、「ダイナマイトロール」くらいになるととだんだんわからなくなってくる。
「スパイダーロール」ははじめ意味がわからなかったが、はみ出るカニの足を見てそれにかけてあるのだろうと思い当たった。「シンプルカッパロール」は意味 はわかるが、ちっともシンプルじゃないところが突っ込みどころ。
「テンプル大学ロール」は調べても情報があまりなく、謎のまま。実在の大学と何か関係があるのだろうか。
そして一般的な刺身の盛り合わせにはわざわざ「クラシック」と名前がつけられていた。確かにこの店ではあえてそう言っておかないと伝わらなさそうだ。
そうこうしているうちに、注文したランチメニューがやってきた。
まずは「オリジナルロールスシランチ」。この店のロール寿司4種類が並べてられているというもの。
ランチメニューにある写真とは違う内容だったので、そのときによって具体的な内容は変わるのかもしれない。この日は中トロ・牛肉・ナスとサバ・魚のフライという4種類。
ビジュアル的には魚のフライ巻きから吹き出すニンジンが一人気を吐いている感じか。思っていたよりはおとなしい。
名前に「タルト」とついているだけあって、ケーキっぽくも見える。変わった寿司だという印象はあるが、具材のピカピカした様子が引き立ち、立体感と合わせてとてもおいしそう。
一緒に出てきたのはスプーンとフォーク。店員さんによると「ミックスしてお召し上がりください」とのこと。確かにどう食べればいいものか考えていたところ。言われた通り、混ぜ込んで食べてみよう。
これはおいしい。考えるまでもなく、いきなりうまい。
まず基本的に具材が豪華。味付けに使われているのは特製ジンジャーソースとのことで、甘さと酸味が明らかに普通の寿司とは違うのだが、違和感なく全体をまとめている。
よくあるこうした混ぜ込み寿司にはシイタケやカンピョウが入っているが、そうした和風食材を抜き、サラダに使うドレッシングで和えた寿司と言えばよいだろうか。
ランチメニューにはデザートとコーヒー(または紅茶)がついてくるのもグローバル寿司らしさ。食事中は普通の日本茶も出してくれるので、振り幅が広い。
大変満足できたグローバル寿司。食べてみるまではアウェイ感ばかりを感じていたのだが、実際に食べて印象がグッとプラスの方に動いた。
考えてみれば、外国の寿司の影響なのか日本の寿司にも結構自由な雰囲気を感じることがある。改めてそのあたりも確かめてみよう。