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はっけんの水曜日
 
エイの発酵食品「ホンオフェ」はやっぱり臭かった


 

魚関係で知り合った知人から、韓国料理屋のオープニングパーティの招待を受けた。この店はマッコリの輸入元が経営をしており、こだわりの生マッコリなどが飲めるらしい。

もちろん料理もマッコリに合うものが多数用意されており、韓国でマッコリに一番合う料理とされる、エイを発酵させた世界で二番目に臭いといわれるホンオフェもあるそうだ。

本物のホンオフェ、それは肩書通りの強烈なインパクトを持った食べ物だった。

玉置 豊



ホンオフェは「韓国食彩にっこりマッコリ」で食べられる

ホンオフェを食べるために訪れたのは、日本に本場のマッコリを輸入している二東(イードン)ジャパンという会社が高田馬場にオープンさせた、「韓国食彩にっこりマッコリ」という直営店。

いくらマッコリと合うからといっても、あのホンオフェを出すお店。かなりディープな場所かと思ったら、大手チェーン店が多数入るビルの中にとけ込んでいた。

羊の皮をかぶったオオカミならぬ腐ったエイ。いや、発酵したエイ。通報とかされないのだろうか。


まさかここにホンオフェがあるとは誰も思うまい。下にあるのは、はなの舞。
店の関係者とか知り合いが集まる気軽な食事会かと思ったら、記者会見みたいなイベントが始まって焦る。

社長の話を真剣にメモする参加者。みんなご飯を食べにきたんじゃないのか。
韓流スター歌謡ショーではなく、コリアンフードコラムニストによるマッコリ特別セミナー。

 

ホンオフェと私

さてホンオフェといえば、エイを丸ごと常温発酵させてアンモニア臭たっぷりにした韓国南東部の郷土料理。本場で食べたことのあるコリアンフードコラムニストにいわせれば、キャンプ場のトイレの味。食べ物の味として、その表現ってどうなんだろう。

鼻にツーンときたところにマッコリを飲むのが最高らしいのだが、クサヤが苦手な日本人がいるように、もちろん韓国人全員が好きな訳ではなく、嫌いな人は裸足で逃げ出すそうだ。


いただいた資料には、「マッコリにはエイの刺身が合うという強いメッセージ!」との文字が。本気だ。
社長に確認したところ、日本向けにマイルドにしたりしていない、韓国から空輸した本場のホンオフェそのものだそうです。

この伝説の料理を一度食べてみたくて自作したことがあるのだが(記事参照)、その味と匂いは強烈なもので、なるほどこれがホンオフェかと試食した全員が目を血走らせた。

ただ問題は、その場にいた人間の中で一人も本物を食べたことがなかったため、「あれはホンオフェではなく、ただの腐ったエイだったのでは?」という疑惑がいまだに残っていること。

今日はその答えあわせでもあるのだ。


シュワシュワして甘さ控えめの生マッコリがうまくていくらでも飲める。普通のマッコリとまったく違う味で、お米でつくったビールみたいな感じ。
このあとネットラジオの収録があるため、あまりマッコリを飲むわけにもいかない編集部工藤さん。ちなみにラジオのゲストは私だ。

ホンオフェは一番最後にてくるそうなので、それまでマッコリと普通の韓国料理をいただく。異国の結婚式二次会に呼ばれた気分。
我が家に韓流ブームは訪れなかったので焼き肉以外の韓国料理はあまり食べたことがなかったのだが、どれも本当にうまかった。そしてマッコリとよく合う。

 

本場のホンオフェ登場

料理を食べ始めてから一時間が経過したところで、本日のメインディッシュであるホンオフェが登場。最後に出したのは、やっぱり他の料理への気遣いだろうか。

混みあっていた会場内が、ホンオフェが登場した途端、その匂いで映画「十戒」の海が割れるシーンのようにお客さんが左右に別れるかなと思ったがそんなことはなかった。どうも私が以前に嗅いだホンオフェの匂いはエイ丸ごと一匹分のため、ちょっとオーバーなイメージだったみたいだ。これくらいなら普通の飲食店でも問題なさそう。


ホンオフェを茹で豚、キムチと一緒に食べる料理を三合(サンハブ)というそうです。
20センチ離れればそれほど匂わないのだが、ホンオフェの射程距離に入った途端に鼻孔が悲鳴を上げる。

キムチなどをたくさん食べた後だからか、お皿にきれいに盛られたホンオフェはちょっと離れたところからだと、ほとんど匂いは感じられなかった。しかし取り皿にとって鼻を近づけた途端に訪れるカウンターパンチ。油断していた。ツーンどころかキーンときた。

ああこれこれ、忘れかけていたあの強烈なアンモニア臭。一気に酔いがさめた。


やっぱり食べるのが怖いので、ホンオフェの量を控えめにしてしまう。深みのある色が怖い。
あうー。こんばんは、森進一です。

ホンオフェ初挑戦の工藤さんにも嗅いでもらった。
想像以上だったらしく、どこかへワープしてしまいそうな写真が撮れた。別に写真加工をしたわけではない。

臭いというか、鼻が痛い。耳鼻科で鼻の奥にシュシュっと薬を入れられたような感じでアンモニア臭が直接的に飛び込んでくる。ダメだろこれ。

 

あの日の手作りホンオフェは正しかった

無個性な人間ばかりになったといわれる日本において、強烈すぎる個性を発している食の韓流スター。

一切れ丸ごとでチャレンジすると、せっかく食べたおいしい韓国料理をポロロッカしてしまう恐れがあるので半分にして、さらにキムチと茹で豚をたっぷりにした。


切ろうとするとなかなか固いが、口の中で噛み切れなかったら困るなあ。
キムチと茹で豚とホンオフェを一口でいただく。がんばれキムチ。

しばらくためらった後、意を決して口に入れる。


ホンオフェ、すげえ。ついこぶしを強く握ってしまった。

口に入れた瞬間はキムチの味が勝っていたのだが、何度か噛むうちにだんだんアンモニア臭が広まってきて、奥歯でホンオフェを噛みしめた瞬間に大爆発。熱い。

一瞬にして毛穴が開いて汗が出て、着ているヒートテックのシャツが突然発熱をはじめた。キャンプ場のトイレみたいな味というが、いまどきのきれいなキャンプ場に対して失礼だ。

鼻から目へとアンモニアがツーンときたところで、マッコリで口の中を流す。うまい。でもまだ臭いのでもう一度マッコリを飲む。うん、うまい。

ホンオフェがおいしいかどうかはあえて語らないが(匂いと刺激がすごすぎて味がまったくわからない)、マッコリをおいしく飲むためにホンオフェを食べるという方法論は正しいと思う。

子供のころ、苦い粉薬を濃い目のカルピスで飲んだことを思い出した。

 

工藤さんにも試してもらった

私のリアクションが決してオーバーなものではないことをわかってもらうために、「特に嫌いな食べ物はない」という工藤さんにも試食していただいた。


麻雀漫画「哭きの竜」ポーズでフィニッシュ。

「もう少し食べればホンオフェに対する心の扉が開くと思うけど、今日はその扉が開く気がまったくしない」そうです。

韓国人はホンオフェが好きというのは、江戸っ子が熱い風呂をやせ我慢して入るみたいな話なのかなと思う。

細かい味の違いはわからないけれど、あの日に河原で食べた手作りのホンオフェは、だいたい正解だったということがわかってよかった。

食文化っていろいろですね

韓国ではホンオフェを結婚式で出すそうだが、感情を表に出すべき日には、あの強烈さが合うのかなと思った。

あれほど強烈な思いをしても、マッコリで口直しをしてしばらく経つと、またちょっと食べてみたくなり、食べてまたギャーの繰り返し。

ホンオフェは食べ物としてよりも、絶叫マシンとして評価すべきなのかもしれない。

このくらいの量でマッコリ一杯飲める。

韓国食彩 にっこりマッコリ 高田馬場店(ぐるなび)


 
 

 

 
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