暗闇に響く悪口&ホラ貝
さて「悪口大声コンクール大会」も終わり、いよいよメインイベントの悪口祭り開始ですよ!
「『ばかやろう』ちょうちん行列」と書かれているように、みんなでちょうちんを持ち、悪口を言いながら山を登って最勝寺の本堂を目指すそうです。
銀色の厚紙に、毘沙門天のイラストが印刷された謎の物体。コレはどのように使うものなんでしょう。
えーっと、えーっと、こういうスタイルで山を登るのが正式な作法なんだそうです。何ともいえないこのマヌケ感は、モデルがボクだからって理由だけではないと思います。
この格好で悪口を言いまくりながら山を登るって、いくらなんでもシュール過ぎますよ。
ちなみに、このように厚紙に入れられた切れ込みをかみ合わせることによって、頭のサイズに合わせるんですが。一番ゆるゆるにしてもボクの頭にはちゃんと入りませんでした。
やっぱ頭、デカイんだな……。
ところで気になるのは、こんなへんてこなお祭り、どんな理由ではじまったのかということ。
祭りに関しての全てを知っていそうな山伏さん(?)に聞いてみたところ「よく分からない」との返事が。
最勝寺には獏=i夢を食べるアレね)がまつられているので、「獏様、獏様」と言いながら山を登っていたのが、「バカ様、バカ様」→「バカヤロー、バカヤロー!」みたいな感じに変化していったんじゃないかという説もあるそうですが……。
「獏様」と「バカヤロー」ってビックリするほど似てないし、意味も全然違いますよ。そんなアバウトな由来の祭りが、何でやってるんだか誰も分からないまま江戸時代から続いちゃってるなんて!
おっ、そうこうしているうちに、山伏がホラ貝をブオーブオー吹きはじめました。いよいよ悪口祭りのスタートです!
山伏につづいて山を登りはじめる人たち、もちろん口々に「バカヤロー!」「アホンダラー!」などと悪口を言いながら。
しかし、例の恥ずかしい毘沙門天お面をしてる人、少ないよ……。別に絶対にしなきゃいけないわけじゃなかったんですね。
ところで、この写真はフラッシュをたいているので明るく写ってますが。
実際はちょうちんの明かりオンリーで、街灯もなにもない山道を登っているのでメチャクチャ暗いんです。
こんな感じで、道も人もほとんど見えません。
そんな真っ暗闇にホラ貝の音がブオーブオー、そして様々な悪口が飛び交っている光景って、もはや悪夢ですわ……。
約40分かけて山を登ったんですが、最初の頃はみんな元気に悪口を言いまくってたものの、さすがに40分間ずっと悪口を言ってられるほどの悪口ボキャブラリーってないんですよね。
なので、じょじょに工夫した悪口は減っていき、おざなりな「バカヤロー」コールばかりになり、さらに山登りの疲れも相まって口数も少なくなって、みんな無言になっちゃう瞬間なんかもあったりして。
……大晦日の夜、真っ暗闇の山道を無言で登っている集団というのは、ちょっとすごいものがあります。
何かの義務感に突き動かされて40分間悪口を言いまくった後、ゴールの山頂について印象的だったのが「ああ、もう悪口を言わなくていいんだ!」という解放感。みんなすがすがしい顔をしていました。
確かに大晦日にこれだけ悪口を言いまくったら「もう当分、悪口は言いたくないや」という気持ちで新年を迎えられるような気がします。