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ロマンの木曜日
 
なべとコンロで作ろう、マイ鋳物


自分の手で熔けた金属を扱うのが、新鮮だった。

鋳物ってやったことがないが、鉛はだいたい300℃で熔けるので、フライパンで熱すれば、自分で手軽に工作ができるはずだ。
というわけで、はじめての鋳物に挑戦しました。

加藤まさゆき



鉛のかけらを有効活用したい

仕事で鉛を使うので、鉛板のクズが割といっぱい廃棄箱にたまる。


鉛板。車のバッテリーなんかにも入ってます。

鉛には非常に重い性質があり、釣りのおもりなんかに使われる。
僕もかけらを適当な容器に詰めて、文鎮がわりに使っていた。たまに人に持たせると「重っ!」と驚いたリアクションをするので、楽しむことができる。


ヘアワックスの容器につめた鉛板。これで0.7kgぐらいある。

だが、そんな鉛のかけらも随分とたまりすぎた。これ、どうしようかなーと思っていた時、ふと思いついた。

「あ、これ熔かして大きなおもりを作ろう」

鉛の融点は327℃と、金属の中でもかなり低い。鍋に入れてコンロにかければ、すぐに熔かすことができるはずだ。
よしやってみよう。
今回は目標として、当サイトのマスコット「Zくん」の文鎮を作ることにしてみた。


これを作るだけでも楽しかった、Zくんはんこ。

石こうと消しゴムで型を作る

要は鋳物だ。鋳物なんて作ったことないけど、まずは熱に強い何かで型を作ればいいだろうか。
とりあえず巨大なハンコ用消しゴムを削ってZくんを作り、石こうで型を取ることにした。

レジンなど、型取り剤がいろいろ売られている現代だが、溶けた金属を受け止められ、かつ安価な型取り剤としてベストだったのは、伝統的な石こうだ。
1kgの石こうを760ccの水と、泡立たないように慎重に水と混ぜる、らしい。ふむふむ。


浮き上がらないように、箱の底に両面テープで貼る。
ひっつかないように、シリコンオイルを塗っておく。

いざ注入!(そして30分放置)

おおー! 固まった!! 型できた!!!

というか、水だけで固まるのがすごい。おもしろい。

石こうの歴史は、ピラミッド時代にまでさかのぼるという。
さまざまな刺激にあふれている現代でも、これだけ楽しいんだから、古代エジプトでは、石こうで型取るの、相当楽しかったんじゃないだろうか。
たぶん学校やサークルで、石こう同好会とか石こう部があったんじゃないかと予想する。(あ、それが美術家になったのか)

 

鉛は屋外で熔かすといいでしょう


体に害を及ぼすことがあるらしいので、屋外で。

いきなり屋外に写真が飛ぶ。
鉛は有毒なのだ。詳しく言えば、飲み込んだり、呼吸器に入ったりすると良くないらしい。なので、今回は気を使い、屋外で行った。
説明すると長くなるので避けるが、とにかく大事なのは気体を吸わないことらしい。

というわけでひと気のない場所に行き、フライパンにクズ鉛を放り込んで、強火でどんどん加熱する。


あれ、鉛の色が変わったけど、熔けないな、と思ってたら……

フライパン傾けたらどろっ!てなった。もう熔けてたらしい。

 

溶けた鉛がかっこいい

鉛板の表面はほとんど錆だったらしく、ドラクエのはぐれメタルみたいなものが、錆の殻を抜け出して出てきた。SFみたいだ。

もっと赤くなるかと思ってたら、色はギラギラのメタリックだった。熔けた鉛はころころと、水玉が葉の上を流れるようにフライパンの中を動く。おもしれー、と思うが一応こいつは毒なので、早めに型に流そう。


錆をはじに寄せて、型に注ぎ込む。錬金術師のような気持ち。

熔けて固まったばかりの鉛は本当にピカピカしている。

はがれやすいよう、型には耐熱グリースを塗っておいた。

注いだばかりの鉛はまだ熱々で、手を出せないから、しばらく放置する。

ところで、これを始める前、ネットで鉛について調べたら、ものすごく悪者扱いされていた。
子どものおもちゃに少量使われていた、ってので回収騒ぎ。商品検索したら、「鉛を使用してないので環境に安心」みたいな商品ばかり。
確かに飲み込んだりすると危ないんでしょうがない。

一方、鉛を熔かしている人も意外といて、ほとんどが釣りのおもりを自作している人だった。今回の記事もそれを参考にしてやっている。
釣りをする人たちは、普通おもりを使い捨てるから、鉛はすごい勢いで環境に放出されている。そっちの方は問題にならないんだろうか。

……さて、そろそろ僕らのZくん文鎮も冷めただろう。型から取り出してみよう。


完成ーーー!Z君文鎮!!

イージーに型からぱこっと取れた鉛は、きちんとZくんなっていた。
表面がでこぼこしてたり、空気がたまって穴があいたりしてしまったが、ひたいのロゴマークもばっちりで、総じてZくんになっている。初めてにしては上出来だと言えるだろう。


いえい。明日から書類止めにはこの文鎮をつかおう。

楽しいぜ! 鋳物楽しいぜ!

カセットコンロとフライパンで鋳物が作れるのは、思いのほか楽しく、かなり盛り上がった。これで毒とか気にしなくてよかったら、もっと楽しかったと思う。
そこで調べると「スズ」も融点が低く、毒性もないので、手作り鋳物によく用いられるとのこと。当サイト・デイリーポータルZはたまにイベントを開催しているので、もし機会があれば、スズで無駄な鋳物を他にも作って、読者のみなさんにお見せしたいと思う。

鉛は柔らかいから、紙にこすると字が書ける。だから「鉛筆」っていうんだぜ。

 
 

 

 
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