真っ暗な海を定置網めがけて走っていたはずの船は、一度も止まることなく出発した港へと戻ってきてしまった。
これが風が強いとか雨が降っているとかの悪天候ならわかるのだが、この日は外房にしては珍しいような凪なのである。取材が早く終わったら午後から釣りに行こうかと思う程。
なにか定置網事態に大きな問題が発生したのかと不安になったのだが、漁撈長である坂本さんの話によると「潮が速すぎて網があげられない」という理由だそうだ。海流の早さは風や波の強さとはまた別次元のものらしい。なるほどー。
潮が収まるまで朝ごはん
海に出れさえすれば魚が獲れると思っていた定置網だが、まさか潮が速すぎると網があげられないとは。確かに細い釣り糸だって潮が速ければ流されるのだから、急流の中でちょっとした体育館くらいの広さがある箱網をあげるのは無理なのだろう。
不測の事態に再取材も覚悟したのだが、10時くらいには潮が緩むだろうということなので、朝ごはんをごちそうになりながら待たせていただくことにした。 |