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土曜ワイド工場
 
東京ベスト・オブ・ビルのつなぎ目

大学はつなぎビルの宝庫である。

つづいてのエントリーは、最近COREDO室町などもオープンした、つなぎ目注目タウンの日本橋、ではなく本郷、東京大学だ。


泣く子もだまる、安田講堂。

大学って、1号館とか2号館とか、似た名前の校舎が多い上に複雑に渡り廊下が入り組んでつながっていて、ここから入ったはずなのに違う建物から出てきた、みたいに迷った経験はないだろうか。私はある。

そんなわけで、記憶を頼りに母校へ行ってみることにした。そうだ母校なのである、東大。泣く子もだまる、とか書いたけど、ここで健康診断とかしたのである。嘘みたい。

 

○エントリーNo.11 東京大学理学部1号館(2005年竣工)

しかしみてまわるのは、在学中からして殆ど足を踏み入れたことがない、理系校舎である。

ちょうど私がいたころに、大学内とはいえ再開発の波が等しくやってきたとみえて、理系にぴかぴかの新校舎が次々建てられていくのを、横目に眺めていた。長らく建て替えなどする余裕のない私の在籍していた文学部とはまったく違って、理系はお金があるのである。


だから理系は、このいかにも伝統あるふうのファサードとか全部飾りもの。つながってないし。

中に入ると、小柴ホール。ノーベル賞とるとこういうの作ってくれるわけだ。

卑屈になってはみたが、かっこいいつなぎ空間である。私もここでお弁当食べたりしたかった。しまったさらに卑屈になった。

 

○エントリーNo.12 東京大学工学部2号館(2005年竣工)

たぶん、建築学科とかも入っている工学部の建物だ。たぶんなのは、理学部同様、1mmも縁がなかったからだ。しかしここが、壮絶なつなぎ目ビルであるということは、卒業から5年たっても頭の隅に記憶していた。すごいのである、工学部。


正面から、旧校舎と、奥にそびえたつ新校舎がみえるのだが

横から見ると、いきなりぎょ!とする。

知がよってたかって結集して建設された、アクロバティック新校舎である。

のっかってるというか、のみこまれてる旧校舎(右下)

 

○エントリーNo.13 東京大学法文2号館(1938年竣工)

竣工年を調べていてびっくりした。やはりとは思っていたが、今回紹介したビルたちの中で、ぶっちぎりの古さである。私の学び舎が。というわけなので、のっかりとかつなぎとか、そんなギミックは、文系校舎には無用だ。と、終わろうとしていたのだが。


あ。のっかってる。


しかも、このアーケードで、つないでる。つなぎビルだ。

よくみると2階以上の窓の高さがずれているのがわかるだろうか。そうだ、文学部の建物はこのアーケード部分で分断されているので、下手に間違えて入るとどこにいるのだかあっというまにわからなくなり、授業をやってる教室にたどりつけなくて、あきらめてその授業1年とるのやめたりとか、平気でしていた。思い出した。

理系の荒唐無稽なつなぎっぷりを冷やかすつもりであったところが、意外に自分のいちばん身近な建物が、つなぎビルだったのであった。


IDカードでがっちり管理されている理系校舎に対して、文学部のセキュリティは「張り紙による威圧」である。

休講やレポート課題、試験日程がさりげなく張り出される超重要な掲示板。懐かしいというか、焦る気持ちがふつふつと蘇ってきた。

バラエティーに富む、つなぎ目

「つなぎ目」をテーマにビルをみてきた結果、都内で静かに着実に進む再開発や、銀座の粋なはからいや、大学時代のあの卑屈な気持ちについ思いをはせることになった。最後のは余計である。
この春、東京観光のひとつに、つなぎ目ビルめぐり、いかがだろうか。


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