痕跡をさがして歩く
境界線が神田川をはなれ、旧流路に入り込むのはこのあたりだ。
境界の入り込む先は民間企業の敷地になっていて、立ち入ることができない。そこで、裏の路地から回り込んでみることにした。
お!と、川跡に関するぼくの嗅覚が反応した。地面が妙に「しめっぽい」。地面が赤くなってるところだ。
まあおそらく偶然と思い込みだろうけど、こういうふうに川跡を思わせる雰囲気を見つけられるとうれしい。で、この先に進んでみる。
ここで「お!」と思う気持ちに共感してくれる人はどれくらいいるだろうか。全国で10人くらいかもしれない。でも10人でもうれしい。誰かに共感して欲しい。ここ、川跡っぽいよね!
ぼくの暗渠(川にフタをした跡の道)好きとしての勘と経験が、ここが間違いなく川跡であることを告げている。
そして地図上の位置もまさに区境だった。いまぼくは、新宿区と豊島区の境界に立っているのだ。
境界はこの向こうにつづいている。回り込みつつ辿っていくと、周辺には印刷関係の会社や工場がいくつかあることが分かった。
出版と水辺は関係が深い。護国寺に出版社が多いのも、かつてそこを流れていた水窪川と弦巻川で紙をすいていたからだ。
まあここはふつうに神田川が近いので旧流路とはたぶん無関係なのだが、それでもこういう状況証拠っぽいものは無理やりカウントにいれておきたいところだ。
そして、この先に衝撃が待っていた。
唐突に立ち現れる昭和感は、川跡をめぐっていて見かける風景のひとつだ。間違いなく、ここは行政界の示すとおり、神田川の旧流路なのだ。
さっきから境界をめぐるとかいって川跡めぐりの記事にしかなってないが、そもそも行政界というのは自然界の一部なのだ。と上手いことをいったようだがもちろん適当だ。
この区境のまとめ
・目に見えない行政界が、たしかに見えた気がする ・ただし思い込みがかなりの部分を占める