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土曜ワイド工場
 
SDカードはどこまで飛ぶのか


いらぬ紆余曲折を経つつ

先日、デジカメからSDカードを取り出そうと爪でプッシュしたら凄い勢いで飛び出てきてパチンと顔に当たった。

なかなかの勢いだぞこれはと今度は自分に当たらないようにもう一度再現してみた。
今度は後ろの壁に当たって落ちた。

SDカードよ、そんなに飛ばなくても・・・
いや、そんなに飛びたいなら飛べばいいさ。
寄せ集めカメラでどれだけ飛ぶのか検証してみました。

小堺 丸子



今回検証するのは6メーカー、7機種

検証用として、自分が持っているデジカメ2つの他に家族や知人に声をかけ3つゲットした。それと、ニフティの編集部から3Dカメラとハイスピードカメラを借りていたのでそれも使わせて貰う事に。


この6メーカー+後で出てくるハイスピードカメラ(カシオ)

こうしてカメラを集める私に、一体それらを何に使うのかと兄が聞いてきたが、私は「メーカーごとの性能の違いを調べたい」とニヤニヤ答えるに止めた。SDカードを飛ばすと言ったら貸してくれなくなるかもしれないからだ。

 

フライトのコツ

SDカードが飛ぶ、と言ってももちろん毎回ピョンピョン飛び出てくる訳はない。写真を撮るためのカメラに、そんなドッキリ機能は必要ない。普通に指の腹で軽く押す分には飛び出す事はほぼ無いだろう。飛ばすにはちょっとしたコツが必要なのである。


爪がポイント

そう、爪で弾くのだ。私はクラシックギターを習っているのでちょうど右手の爪が長い。それ故図らずもSDカードの本来の力を引き出してしまったようなのだ。

 

フライト環境

しかし実際、この計測日までに飛ばしたのは顔と壁に当てた2回のみ。その印象としてはスピードはマッハレベル、飛距離にして4〜5mを予想。いや、本気を出したらどれだけ飛ぶか分からない。


飛ばすにはそれなりの空間を確保する必要があるだろう

とりあえず、犬がいたり何かと障害物の多い我が家では危険、かつ計測に支障が出るに違いない。外でやる事も考えた(土手とか)が、あいにく寒いので結局友人の事務所スペースを借りた。

 

フライト体勢

フライト前の準備として、体勢の確認も大事だ。私が以前飛び出させた時は床にあぐらをかき、猫背だったのだがその体勢では上に飛んでしまうため測るのが難しい。できるだけ横方向に飛ばすことができ、且つ自分が弾きやすい体勢を見つけたい。


実際に飛ばした姿勢。だがこれでは上に飛んで測れない
この姿勢だと押しづらいし腕に当たるな

これだと顔に当たるな
姿勢だけでなく手の位置も考える

パッと見、銃を構えてるようにも見えるけど飛ばすのはSDカード

これらの写真で、できるだけ飛ばしてやろうという私の意気込みが伝わっているだろうか。

ところで説明が遅くなりましたが、このサングラスはSDカードが誤って目に入らないようにと用意したもの。「むかし人に貰ったはいいものの、持て余してるグッズ」の一つだ。


フォークソングが聞こえてきそう

編集している今になって気づいたのだけど、このサングラスをかけると自分の地味な服と横分け前髪で70年代のフォークシンガー、もしくは詐欺師のようじゃないか。

しかし今回「飛ばす」というテーマであるのでここからはパイロット気分で進めていこうと思う。

 

いよいよテイクオフ!

さて前置きが長くなってしまいましたがいよいよ飛ばします。SDカードが飛ぶところを見た事のないカメラ係の友人に「当たらないように気をつけて!下手したら向こうの壁に当たるかも」と注意を促す。まずは自分の、あの勢いよく出たリコーのカメラからいこうじゃないか。


結局この体勢が良いとなった。飛ばします!
ぴょん

47cm。 うそーん

その光景には2人共ビックリだ。想定していたほど全然飛ばなかったのだ。確かにビビリながら若干控えめにやったのはある。だがわざわざスペースを借り、サングラスまで用意した手前、もうちょっと空気読んで飛んでくれよ・・と思った。

しかもこないだの2発は連続で飛び出たのに今回は不発も多く、1cmほど突き出るに止まる事十数回。指が疲れてきたよ。


やたらサングラスが似合う友人パイロットに交替
さっきより飛んだ!・・・108cm(写真はバウンドしてさらに遠くに)

呆れ顔で見ていた友人に難しいんだよとやらせてみるとなかなか上手かったので手伝ってもらいながら数度飛ばした。すると平均99cmという結果に。(最初のテストフライトは無し) 飛んだけど・・なんだ、そんなものなかと軽いショック。でも窓を突き破ったり壁に当たってSDカード粉砕という危険はなさそうだと安心した。

 

ペンタックスはノーサングラス

さて、次に手に取ったのは知人に借りたペンタックス(HOYA)。果たして先ほどのリコーを超える事ができるのか?!


ッチョイ

なんと、というべきかどうかは分からないが、いくら爪でプッシュしても飛び出す気配は無い。これは安全だ。グラサンいらずだ。


ノーサングラス!(この後も2枚程こういう写真が出ますがどうかイラっとしないでください)

爪で思い切り弾けばどのカメラでも飛び出ると思っていたけどそうでも無いという事が分かった。

 

飛距離にブレの無いキヤノン

次は兄から借りたキヤノン。詐欺師みたいな格好の妹にこんな使われ方をされてるとは夢にも思っていないだろう。思われてたらそれはそれで心外だ。


3回とも50cm
ふむ、サングラスが手放せない微妙な距離だな

3回飛ばしてみたら3回ともちょうど50cmだった。さっきのリコーはけっこうバラバラの数値だったので、キヤノンが真面目に感じる。いつでも同じ成果が期待できる、それがキヤノン。(SDカードの飛距離だけを参考)

 

続いてカシオ2機種


飛べ!飛ぶのだ!と何度もタッチ&ゴーを繰り返すが
ッチョイ

同じカシオのハイスピードカメラも
ッチョイ

カシオは両方ノーサングラス

安全ではあるものの、飛ぶ姿が見られないのは残念。「飛ばないSDカードは、ただのSDカードだ」という名言が頭をよぎった。

 

飛び出せ!3Dカメラ(富士フイルム)

次は3DポータルZの写真を撮るために使っている3Dカメラである。企画会議の際に「あいつはよく飛ぶ」と前評判を聞いていたが果たしてどうだろうか。


3Dのように飛び出してくれよー
ぴょーん

飛んだ!結果は94cm。数度やって平均を出すと95cmでわずか4cmリコーに足りずという結果となった。

 

ラストフライトはパナソニック

最後は自分のカメラの1つ、パナソニック。実は今までの写真を撮っていたのがそのカメラであり、この時ウッカリ測定し忘れた。なので家で後やってみた。が、何度押しても飛び出なかった。


パナソニックもノーサングラスでした

 

<結果>


サングラスを別の言い方にすると、危険度

もちろんメーカーの違いだけではなく機種によっても違いがあるだろうけど世に出ているカメラの約半分はSDカードが飛び出る可能性がある事が分かった。予想していた程の速度や飛距離はなかったものの、ウッカリ飛ばしちゃって1m先のコーヒーの中や線路に落とさないように気をつけましょうね。

 

最後にハイスピードカメラによる映像を

飛んでいる瞬間をスローで録ってみたのでどうぞ。(このためにハイスピードカメラを借りたのでした)


マッハまではなかったがなかなかの勢いですよ

フライトが成功した時のパイロットの気持ちがほんのちょっと分かりました

素人には危険

実際にやってみたら、全く飛ばせないカメラもいくつかあってそれはそれで意外だった。そして飛ぶものの中でも、毎回フライトに成功するとは限らず(4〜5回に一回くらいの成功率)、遠くに飛ばすのにはある程度の技術が必要かもしれない。

そして、うまく伝わったかは分からないが、この実験には若干の危険が伴う。私のように体を張った研究と訓練を積み重ね、飛行慣れしたプロならともかく、素人はけして真似しないように。

グッドラック!

実は既に林さんが同じような内容で動画を作っている。(その様子はこちら)最後にホームランを出しているのは・・やはりあのカメラでした。


 
 

 

 
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