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はっけんの水曜日
 
登山の道具はちっちゃ可愛い!


これなーんだ?

山登りという趣味をはじめて数年経つが、常々こう思っていた。登山道具ってちっちゃくて可愛いな、と。持ち運びのために小さくて軽いのだろうが、それでいて性能は必要十分。そこがまた健気で可愛いのだ。

今回は、そんな登山道具の可愛さをお伝えしたいと思います。

松本 圭司



青くて可愛い。

ナイフすらちっちゃ可愛い

まずはナイフ。僕が行くような簡単な山ではなかなかナイフを使う機会もないのだけど、一応の装備としていわゆる十徳ナイフを携帯している。

手のひらにすっぽりおさまるサイズ、160gの体にナイフ、ハサミ、各種ドライバー、ペンチ、栓抜き、缶切り、コルク抜き、それからノコギリの機能が詰まっている。

あらまぁ、可愛い。


160gで軽量可愛い。
可愛いけどナイフだ。

全部広げるとこんな具合。この中で使った事ある機能は、えーと、ナイフくらいか。

ナイフの機能を全部展開してみると、期せずしてそこに現れたのはリーフィーシードラゴン。海藻に擬態したタツノオトシゴだった。

リーフィーシードラゴンは葛西臨海公園にいたのだけど、やっぱその可愛さのせいか、いつ行っても大人気。それと似た形のナイフが可愛くないわけがない。


リーフィーシードラゴンはモサモサ可愛い。

鍋の事をコッヘルと言います。チタン製なので軽い。

小さな鍋と小さなストーブ

左の写真はコッヘル。なぜか登山業界では鍋の事をコッヘルという。クッカーのドイツ語kocherに由来する。

さてそのコッヘル、中にガスボンベとストーブを入れられる。こんな小さな鍋に入るガスボンベとストーブなんてあるのか。あるんですねぇ、それが。

全部取りだしてみたのが下の写真。これだけのものがコンパクトにまとまるのが可愛い。


コッヘル、カップ、蓋、ストーブ、ガスボンベ。

こんな小さな装置でお湯を沸かす事が出来る。手品か。

手のりストーブ

さっきからストーブって書いているが、ストーブと言っても石油ストーブとかダルマストーブとかそう言うのとは違い、平たく言えばガスコンロだ。お湯を沸かしたり調理をするのに使う。燃料は使い捨てのガスボンベ。

ガスボンベと接続し、五徳を広げる。30秒も掛らず組み立てられて、火を付けるのも簡単だ。


組み立てるとこんな具合。可愛いでしょ。

なかなかの火力です。

火力も十分です

オレンジのつまみを捻ってガスを出し、赤いスイッチで火花を飛ばせば火が着く。小さくても火力は強くて普通にお湯は沸くし、料理を作る事も出来る。

ボンベはコッヘルに入る小さなものから大きなものまで色々。小さいボンベは割高なので荷物に余裕がある場合は大きいボンベを選んだりもする。左下の写真は中ボンベにくっつけた様子。


左が小サイズ、右が中サイズのガスボンベ。僕は中を常用してます。
コッヘル、ストーブ、使いかけのガスボンベで414g。これで水さえあればいつでも熱湯が手に入る。

泊まりの山登りでは右の中サイズを持っていきます。

コッヘルも色々

上に載せた様な円筒形の小さいコッヘルだけじゃなく、もう少し大きめのコッヘルも可愛い。左の写真の「中」と書いてある方は蓋がフライパンになっている。鍋部分も大きめで、米も炊ける。

中にはガスボンベも中サイズがすっぽり入ってしまう。それでもコンパクトにまとまっていて可愛さを失っていないのが嬉しい。


中サイズのガスボンベがすっぽり入る。食材を入れたりもOK。
蓋はフライパンになってます。

コンビーフとピーマンを炒める。

フライパンがあると料理の幅が広がる

小さいコッヘルは主にお湯を沸かすのに使っているが、フライパンがあると料理の幅が広がる。焼く、炒める、茹でる、煮るなどが山で出来ちゃうのだ。スパムを切ってフライパンで焼くと美味しい。

一日山を登って疲れた体に暖かい食べ物は沁みる。よく食べるのはコンビーフシチュースパゲティ。

コンビーフとピーマンを炒め、サラスパは別に茹でておく。サラスパは4分で煮えるのでキャンプで使いやすい。ゆで汁を捨てずにビーフシチューのルウを入れて、炒めたコンビーフなんかも入れて完成。

これが美味いのだ。こういう料理が小さくて可愛いガスストーブと鍋で出来ちゃうのだから凄い。


サラスパを茹でてビーフシチューのルウを溶かしてコンビーフを混ぜる、コンビーフシチュースパ。山の定番。

フライパンでスパムを焼くとしょっぱくて美味しいんだ。

特に雪山では温かい食べ物が美味しいよね。

寝袋とエアマットも小さくまとまる。

寝床もちっちゃ可愛い

次の可愛いは、寝袋とエアマット。テント泊など泊まりの登山で使う道具だ。どっちも広げれば大人が余裕で使える大きさだけど、たたむと凄く小さくなるのが可愛い。

エアマットは広げてバルブに口で空気を吹き込むと膨らむ仕組み。これを敷けば、テントの下に多少石があっても大丈夫だ。


エアマットを広げるとこんな具合。
このバルブから空気を吹き入れる。

 

寝袋はダウンが入っているので小さくまとまってても広げればフカフカになる。寝袋の種類のよるのだが、僕のは雪山テント泊は少々心許ないが下界なら真冬でも十分温かいし夏山なら標高3,000mくらいでも大丈夫なくらい暖かい。

重さはそれぞれ600gほど。ベッドと布団合わせて1.2kgほどだ。実際のベッドや布団と比べると圧倒的に軽い。軽量可愛い。


寝袋に入ってみたよ。あったかい!

子猫より小さくまとまるダウンジャケット。

ダウンジャケットもコンパクト可愛い

寝袋が小さくなるなら、ダウンジャケットも小さくなる。たたんで袋に入れると生後8ヶ月の子猫より小さくなる。ペットボトル程の大きさだ。

広げればやっぱりフカフカのダウンジャケット。この冬は外出する時にずっと着ていたが、大体寒さは感じなかった。

一昨年の11月に沢登りをするにあたって河原で野宿すると聞かされて、ビビって買った物だ(寒い!怖い!でも楽しい!沢登り)。


広げると子猫を4,5匹包めるくらいの大きさに。

家がこのサイズにまとまる!

家もコンパクトにまとまる

最近のテントは凄い。僕が中学生の頃やってたボーイスカウトでは、テントといえば最重量装備だった。本体の幕も柱(ポール)も雨よけのフライシートも全部が厚くて重かったし、杭(ペグ)も鉄で出来てて重かった。とても一人じゃ運べない程。

でも今時の登山用テントはウソみたいに軽いし小さくまとまる。本体の幕が750g、フライシートとペグが550g、ポールが220gで全部合わせて1.5kg程度。家が片手で持てる重さ!可愛い!

そんな軽さでいながら、暴風雨にも耐える。下の写真はまさに嵐を一晩越したときの写真だ。家と言えば普通何百トンという重さだ。それが片手で持てる1.5kg!可愛すぎる。


嵐にも耐える頑丈さが健気可愛い。中には大人二人が余裕で寝られるスペースがあります。

雨具もたたむと可愛い。

カッパも可愛い

雨具だって上下まとめて左の写真の大きさ。雨具は天気予報が晴れでも絶対に持っていく装備なので小さくて軽いに越した事は無い。

最近の雨具は防水透湿素材(代表的なのはゴアテックス)を使っているので、雨の中で着ても中が蒸れないのが良い。風も止まるしある程度丈夫。それでいて小さく軽くまとまっているのが、優れもの可愛い。

全身真っ黄色なのは風水で金運が付くって言われたから。金の亡者です。

 

大体みんな同じくらいの大きさにまとまる

寝床、ダウンジャケット、家、雨具など色々紹介したが、大きさは大体みんな同じくらい。子猫より小さいくらいだ。

収納しやすく取り出しやすいように袋に入っているのがまた可愛い。可愛いのでズラッと並べて、ついでに大きさ比較用に猫も置いてみた。

でも猫の大きさはまちまちなので、比較の意味ではあんまり役に立ってないような気もする。


猫と同じくらい可愛い各種装備。

大事な水と食料。水は2リットル入ります。

これらをザック(リュックサック)に入れて背負ってみる

以上の様な小さくて可愛い装備をザックに入れてみる。今回は更に2リットルの水と2,3日分の食べ物も入れてみた。

水はプラティパスという袋に入れてある。普通のポリタンクと違って、水を全部使い切ったら丸めて小さくまとまるのが良い。3層構造のラミネートは丈夫で、水に匂いや味が移ることがない。とても優れものだ。


これは1リットルのプラティパス。水を抜いた状態。
丸めるとこんなに小さくなるので収納が楽です。

大きさ比較のために大猫(なつめさん)登場。

これでいつでも山に登れます。

で、これら装備を30リットルのザックに入れてみると、これが楽々入っちゃうんですね。まだあと倍の水と食料、着替えに防寒具を入れても大丈夫なくらい。家、寝床、台所に水と食料を余裕で収納!ザックも便利可愛い。

ホントに最近の登山道具ってのは凄いです。小さい、軽い、可愛い!


山の写真見てたら山登りに行きたくなってきた。

登山道具はやっぱり可愛い

以上の様に、登山道具は小さくて可愛くて、それでいて高性能だ。紹介しなかったけど、ヘッドランプはLEDで長時間保つのに明るいし、ランタンも便利だし登山靴は小さくないし重いけど剛健可愛い。

テント内。大人二人で余裕の広さ。妻の顔が固まってるのは、外が大嵐だからです。

どれもちょっと値段は高いけど、それに見合う性能は持ってると思います。山登りも楽しいし、可愛い装備を愛でるのも可愛いので、ちょうどこれから春山シーズンだし装備を揃えて山登りをしてみてはいかがでしょうか。


 
 

 

 
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