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土曜ワイド工場
 
中途半端な古地図をたよりに散歩する・江東区篇

昭和44年当時と変わらない一画を発見

住宅地図を片手に豊洲を歩き回っていると、ある場所に目が止まった。

これはもしかして (全住宅案内地図帖・江東区2071/公共施設地図株式会社1969)
やっぱりこの店だ! 

昭和44年から変わらずここにある店だ! となりの理髪店も、写真には写ってないけど手前にあるガソリンスタンドもそのままだ。 なんだかちょっと嬉しくなって、思わず入って話をきいてしまった。 いかにも昭和の中華料理屋といった雰囲気の店内。ご夫婦で切り盛りされているようだ。

−−すみません。昔の地図をたどってこのへんを取材してるんですが……、こちらのお店はいつごろから営業されてますか?
「んー、えーと昭和42年からかなあ……」
昭和42年といえばこの地図が昭和44年なので開店2年目のころになる。

−−やはりこのあたりはずいぶんかわりましたか?
「変わったねー、むかしは工場しかなくてなんにもなかったもん(地図を)ちょっと見せて、あー懐かしいねー、たしかに昔はこんなふうに貨物線があったなあ、このへん(現在の豊洲センタービル)は団地だったんだよね」

−−もしかして平屋建ての団地?
「そう平屋の団地でね。道路も舗装されて無くて土のままだったよ。そういえば石川島播磨の敷地内になぜか高橋さんっていうおばあさんが独りで住んでてね、一軒家に、よく出前持って行ったよ」

−−工場の中にですか?
うん、工場の中に。守衛さんに断って入って行ったんだ。なんで工場の中に一軒家があったのか今考えると不思議な家だったなあ……」

現在の豊洲センタービル 

なんとも、とりとめのない昔話だ。でも、こんな昔話を聞くのは大好きだ。

息子さんと奥様も加わって「今のIHIがあるあたりに戦車が戦後しばらく置いてあって中に入って遊んでた」とか「団地の近くにみかんしか売ってない八百屋があって、ねだって買ってもらってた」など、ゆるい昔話がどんどん出てきた。

中途半端に古い古地図には、そこに住む人の記憶のひきだしをこじ開ける力があるようだ。

やはり昔の地図は懐かしいらしい
奇をてらわないうまさのラーメン 

 

塩浜の廃線跡は駐車場になっている

ところで、豊洲の隣。塩浜にも越中島線の痕跡がある。これもぜひ確認しておきたい。朝凪橋を渡って塩浜へ向かう。地図を確認すると、豊洲から延びた線路は、現在の越中島貨物駅のあるあたりまで真っ直ぐ伸びている。

真ん中の青い二本線は高速道路の建設予定地(コンパック東京区分地図p8/日地出版1976)

なお、この地図で「越中島」となっているのは、現在の「越中島貨物駅」のことで、京葉線にある「越中島駅」とは別物だ。

部分は細長い駐車場になっている(オンマウスで線路を表示します) 

塩浜は豊洲と違い、まだ倉庫や工場などが多い。むかし貨物線の線路だった箇所は現在、線路の跡に沿うかたちで細長い駐車場になっている。もっと向こうはどうなっているのか?

部分に残るホームと線路の跡 

部分が、旧越中島駅の廃止された部分だ。すでに使われなくなった線路とホームがそのまま放置されている。

以上、2ページにわたって豊洲から塩浜までの貨物線の様子をたどってみた。最初に危惧していたのだけど、やはりかなり地味に内容になってしまった。しかも困ったことに、これで終わりではなく、次の2ページは貯木場跡をめぐるというさらに地味な、色で言うと病院の毛布みたいな色の地味な内容が続きます……。


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