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ちしきの金曜日
 
奇跡のやかん発電
自宅が発電所に!

火力発電や原子力発電では、水を沸騰させてその蒸気でタービンを回し、タービンに繋がった発電機を回すことで電気を起こしている。仕組みとしてはいろいろ難しそうだけど、理論はとても単純だ。

そういえば家のやかんを火にかけて、沸騰するとフタのところから勢いよく蒸気が出る。ピーッと鳴るあれだ。

あの蒸気でタービンを回せば、家でも手軽に発電できるのではないか。やかん発電だ。

萩原 雅紀



タービンを作ろう

まずは蒸気を当てて回転するタービンを作る。市販の「やかん発電用タービン」がなかったので、ペットボトルを切ってオリジナルのタービンを作ることにした。


ふつうのペットボトルを洗って乾かし、
上の方を切り落としたら筒の部分を縦に切って開く

切り開いた羽根の部分は、蒸気を受けて同じ方向に力がはたらくように、少しねじって角度をつけた。

次に一般的なモーターを用意して、タービンの中心に開けた穴に軸を差し込み、抜けないように反対側を止める。ここではペットボトルのフタに穴を開けて簡単なストッパーを作った。


一般的な模型用モーターなら何でもOK
タービンに装着し、リード線からコードを引く

これで発電機は完成。簡単に言うと扇風機の首から上の部分と同じだ。

タービンの羽根にやかんから吹き出る蒸気を当ててタービンを回せば、その回転がモーターを回して電気が生まれる、はず。

電気を送ると回転するモーターは、逆に、何らかの方法で回転させると電気を生み出す。つまり発電機になるのだ(もちろん効率は悪いけど、細かいことはこの際どうでもいいですよね)。


自宅発電所が稼働!

やかんに水を入れて火にかけ、水が沸騰するのを待つ。いよいよ自宅発電所稼働の準備だ。


いつも使ってるやかんも今日はボイラーである
いよいよ火が入り、発電準備完了!

果たして、手作りタービンのやかん発電所はどのくらいの電力を生み出してくれるのか。

今回、発電した電力の計測には、「i発電量」というiPhoneアプリを使うことにした。本物の発電所の職員さんも使って高い評価をつけているという、プロ仕様のアプリだ。


ちょっと高かったけど思い切ってダウンロード

そうこうしているうちに水が沸騰。やかん、いやボイラーのノズルから「ピーッ」というけたたましい音とともに、勢いよく水蒸気が噴き出しはじめた。

いよいよ発電開始!


ものすごく発電する!

やかんから吹き出している蒸気に手作りのタービンを当てると、さっそくくるくると回りだした!ひとまず可動部分は成功ということだろう。


やかんの蒸気でタービンが回った!

そこで、どのくらいの電力が発電されているのかと「i発電量」を見てみると・・・!

なんと、このやかん発電所、ものすごい電力を生み出していた!


す、すごい発電量!
この小さなシステムで24万kW!!

都市ガスで沸騰したやかんの蒸気が回した手作りタービンにくっつけた模型用のモーターが、なんと24万キロワットもの莫大な電力を生み出した!これはあの矢木沢ダムの発電所の最大出力と同じで、30アンペアの一般家庭およそ10万軒分の電力だ。


あ、あの巨大ダムの発電所と同じ電力をウチのやかんで!?
試しに電子レンジのコンセントを繋いだら動いた!

僕はとんでもなく恐ろしいものを造り出してしまった。

この電気を売れば大もうけは確実だけど、やかんの水がなくならないように常に見張っていなければならないし、その間じゅうずっとやかんのピーピー音を聞いていなければならないのだ。これでは気が変になってしまう。

ガスももったいない。

ダム好きなのにダムの存在価値さえ奪いかねないこの装置、表に出すわけにもいかない。もう片づけてしまおう。

と、やかんの水を流しに捨てようと思ったとき、もうひとつ思いついてしまった。

上から下に流れる水をタービンに当てて回すと水力発電になる。手作りタービンにやかんの水を当てたら発電しないだろうか。


めちゃくちゃ発電する!

やかんの水を流しに捨てるとき、水流に手作りタービンを当ててみた。おお、水でも回る回る!


ある意味プロペラ水車とも言えるかも

自分が作ったものが動くのは見ていて楽しい。しかし動くだけじゃない。さっき、蒸気であれだけの電力を生み出したこの装置、まさか水流ではそんな出力はないだろう、と思いつつ何気なく「i発電量」を見ると。


ま、まさか、そんな!
ひゃ、ひゃくにじゅうはちまんきろわっと!?

なんと画面には128万kWという表示が!!

都市ガスで沸騰したやかんの水が流しに落ちるときに回した手作りタービンにくっつけた模型用のモーターが、なんと128万キロワットもの絶大な電力を生み出した!これはあの高瀬ダムの発電所の最大出力と同じで、30アンペアの一般家庭およそ50万軒分の電力だ!


あ、あの超巨大ダムの発電所と同じ電力をウチの流しで!?

あまりにすごい発見に驚き、ダム関係で知り合った電力会社の方に教えたが、研究所のやかんや手作りタービンでは豆電球を光らせるのがやっとだった、という。何をどう試しても、ウチのやかんと手作りタービンでないと再現できないのだ。

これで今日からウチも発電所だ。玄関の表札、書き換えておこう。

肩書きは所長

まさか築数十年の賃貸マンションである自宅が発電所になるとは思っていなかったけど、これから僕の勤務先は発電所で、肩書きは所長だ。まずやかんの見張りアルバイトを募集して、それから見学も大歓迎です。よろしくお願いします

と思ったらすぐ壊れた

この記事はエイプリルフール企画のために作ったうその記事です


 
 

 

 
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