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ひらめきの月曜日
 
ふせんの粘着力で何kg持ち上げられるか
ふせんたちよ、力を合わせるときがやってきた


「ふせんでダンプを引っ張る」みたいなことわざがあってもいいのではないか。

ふせんの弱い粘着力でもたくさん寄せ集めればダンプカーをも動かしてしまうように、ひとつひとつは微力でもたくさん集まれば大きな力を発揮する。そんな意味である。

今さも当たり前のように「ダンプカーをも動かしてしまうように」といったが、もちろん事実無根である。しかし実際のところふせんはどれだけの物を動かせるだろうか。

(text by 石川 大樹


 

一人の力はちっぽけで、弱い

ふせんは粘着力が弱い上にノリの面積も結構ちいさい。


接着部分ここだけ


見るからに、何も支えられそうにない。

そんなふせんの粘着力に、僕ははかなさすら感じてしまうわけだ。ただ、ちっぽけな人間がかつて巨大なピラミッドを築いたように、小さな力も集まれば大事業を成し遂げられるはず。たとえばボールペンを持ち上げたりとか。


大事業への第一歩は…


9グラム


手近なところでいちばん軽そうな物がボールペンだった。9グラムといえば成人男性の一日の塩分摂取量の上限だそうだ。

デイリーポータルZも今年で9年目、古い読者のみなさんは健康が気になる年齢になってきたのではと思う。これを機に覚えていただきたい。塩分は1日9グラムまで。


貼る

持ち上がる


やったね!

「お箸より重い物を持ったことがない」という表現があるが、たぶん箸もボールペンも大差ないだろう。

そう考えると、ふせん1枚あたりに、お嬢様1人分くらいのパワーはあるといえる。1馬力ならぬ1嬢力である。


実験が地味なので、成功したらとびきり嬉しそうな笑顔をすることに努めました

 

思い出の重み

ふせんのやつ、意外にパワフルだ。

過小評価していた。毎日いっしょに仕事してきたけど、お前のこと何にもわかってなかったんだな、俺。

もうちょっと重い物に挑戦したい。


いきなり10倍


ここでちょっと話は逸れる。前職のころ、職場の飲み会の後の話だ。

泥酔して一人じゃ歩けない状態の上司が「もう1軒行く」といってきかず、仕方がないので次の店に入った。そしたら上司が今度はトイレから出てこなくなってしまい、残された僕と困り顔の店員との間で、かなり気まずい空気が流れたのだ。


1枚じゃ無理


上司は女性だったので、僕がトイレに様子を見に行くのもはばかられた。どうしようもないので、「このBGMいいですねー、なんですか?」なんて会話をして間をつないだのだ。その時に教えてもらったCDがこれだ。

何がいいたいかというと、このCDにはけっこうめんどくさくて重たい感じの思い出が詰っている。なのでふせん1枚じゃ持ち上がらないのも無理はないと思うのだ。


しかし2枚ならいける


2枚だ!重い記憶はふせん2枚の前にかき消された。

ふせん1枚あたり50グラムくらいは大丈夫なのだ。これは予想をはるかに上回る数字。がんばってる、ふせん。


どうでもいいけどヒゲ剃りが甘く口ひげが黒い

 

 

テクスチャは重要

色々やっているうちにわかったことがあって、


文庫本はカバーつきだと20枚以上使ってもダメだが

カバーを外せば6枚で持てる


持ち上げる物の材質によってくっつきやすさがちがうので、持ち上げられる重さにも差が出てくる。当たり前といえば当たり前だが、しっかり抑えておきたい基本事項。

仕事に慣れてくると初心を忘れて、こういう基本的なところを見落としたりする。そりゃ現場にいればすぐ気づくが、その前、見積の段階で考慮し忘れていたりするのだ。こういう凡ミスから生まれる手戻り工数はでかい。

ただし、ふせんで文庫本を持ち上げるような仕事はこのサイトのライター以外にない。

 

 

そして新技術が生まれる

ふせんでの重量挙げにおいて僕が到達した、究極とも思われるノウハウがこちらだ。


持ち上げるのはDS Lite。220グラムでした


これも20枚使っても持ち上がらない


そこそこ重いうえに、表面はツルツルしていてふせんがくっつきにくい。そんなDSでも、いとも簡単に持ち上げられる方法があるのだ。


羽根が生えたように見えることから、ウィングメソッドと名付けた


2枚で余裕


両側から挟み込むように貼ることで、途端に強力にグリップするのである。この技術はほんとうにすごい。


スニーカー。400グラム以上あり、布地なのですごくくっつきにくい

しかし5枚で余裕


500グラムのペットボトルもたった2枚でこのとおり

かなり振り回しても剥がれない!

 

大台への挑戦

2010年、ウィングメソッドの発明により、ふせんでの重量物持ち上げ技術は格段に進歩した。

そして人類は、新たな一歩を踏み出そうとしていた…。


ふせん史におけるアポロ11号、ノートパソコン


はかりは振り切ってしまったが、カタログによると1.25キロだそうだ。1キロの壁に立ち向かうときが、ついにやってきた。

まずは6枚くらいから挑戦して、ダメなら増やしていこう。


しかし意外にいい出だし。アポロ11号、大気圏を突破しました

あっ、不測の第2段ロケット切り離し!


アポロ11号月面着陸は無かった(スクープ!)


やはり6枚は無謀であった。墜落事件以降まだこのPCを使っていないので、ちゃんと起動するかどうか心配である。

でもいまの感触からいくと、8〜9枚くらいあれば余裕でいけそう。一枚ずつ増やしていってみるが…

あっというまに12枚


ぜんぜん支えられないのだ。

これには理由があって、だいたい8枚くらいを境に、ふせんを均一な力で持てなくなってくる。手の握る部分によって強弱が生まれるからだ。

そうなるとまず負荷が高いものが1枚はがれ、するとバランスが崩れて2枚目がはがれ、ますますグラついて3枚目がはがれ…という感じで、ドミノ倒し的に全部はがれてしまうのだ。


しっかり握ったところから順にはがれていく

 

新兵器の導入

グリップの強さの偏りが問題だ。そこで偏りをなくす道具を導入した。


洗濯物干し


だいたい等間隔にふせんを貼って、僕らのアポロ12号の完成

物干しにセット。規格の揃った洗濯ばさみが、均一な力でふせんを支える


11号ほどの知名度はないが、アポロ12号もちゃんと友人月面着陸を成功させている。頼む、僕らの12号。


発射と同時に制御を失う12号


アポロ12号月面着陸も無かった(スクープ!)

 

1キロは無理

ふせんの枚数を増やしてもうまく行かず、道具を使ってもうまく行かず、1キロ超の物をふせんで持ち上げるのは無理、という結論に至った。

全く不可能ではないと思うが、かなり緻密な力学的制御が必要とされると思う。NASAならやれると思うが、僕には無理だった。

悔しくて家でけっこう試したけど何度やっても無理だった

結論としては、

・500グラムまでなら、ウィングメソッドを使えばふせん2枚でOK!(材質により枚数は変動)

・常人がふせんで持ち上げられるのは1キロ未満。(ただしNASAはその限りではない)

といったところだろうか。僕の考えたことわざ「ふせんでダンプを引っ張る」には、「できそうもないことを一応試してみたけど案の定できなくてしらけること」という意味が与えられた。

 

 
 

 

 
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