デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


フェティッシュの火曜日
 
さじを投げて魚は釣れるか

川で意外なものが釣れる

続いての舞台は川だ。河川は上、中、下流と流域によって生息する魚が異なり、池よりも魚種が多い傾向にあるので何が釣れるかわからないという楽しみがある。


川でもひたすらさじを投げる。

思ったよりも水深が浅いようで、金属で出来たスプーンはすぐに沈んで底についてしまう。竿先を通じてスプーンが岩にゴンゴンぶつかっている感覚が伝わってくる。


流れがある分、池よりもスプーンの操作が難しい。

まあ当然そう簡単には釣れない。あっという間に4時間が経過した。
それでも釣り糸を通じて伝わってくる水の流れを感じながら、川底をずるずるゆっくり泳がせていると竿がしなった。


なにやら雑巾を引っ張っているような感触。

しかし魚ではないようだ。暴れる様子が全く無い。ただだらしくなく重いだけなのだ。
どうせ石か流木だろうと思い、川面から引き抜いてみると・・・。


ええ〜…。

カメかあ…。

なんとカメでした。まさか生き物だったとは。
計量スプーン(小)がタートルネックの襟の辺りに引っかかっている。ここって人間の身体で言うとどのあたりになるのだろうか?首…かとも思ったが、首は甲羅の中に引っ込んでいるわけだし違うだろう。では肩か?と言われればそれもちょっと違う気がする。
まさかこんなところで解剖学的な疑問にぶつかるとは思わなかった。

現実的に考えると、たぶん川底で休んでいるところをたまたま引っ掛けてしまっただけなのだろうが、ここはポジティブにスプーンを餌だと思って食いついてくれたのだと思うことにする。

ちなみに釣り針を外す際にはじめてカメの皮膚をまじまじ見つめ、触ったのだが、想像以上に分厚い上に弾力があり、針はほんの浅くしか掛かっていなかった。結構強引に引っ張ったのに。
血が出ている様子は無かったが、カメにしてみればなんだかんだで痛かっただろう。悪いことをした。


なんかすみませんでした。

カメには謝罪の後、川へとお帰りいただく。
魚ならそこまで気が咎めないくせに、他の動物を釣ってしまうとやたら申し訳なくなる。釣り人ってそういう理不尽なとこあるよね。

余談ですが、このカメはクサガメという種類で、漢字では「臭亀」(草亀ではない)と書きます。本当に触った手がしこたま臭くなってしまい、テンションが大いに下がりました。

その後、上流へ向かって移動しながらさじを投げ続けるも魚の反応は無く、日が暮れてしまった。
一応、カメという思わぬ獲物があったので川での実験は終わりにしてもいいかとも考えたが、今回のテーマは「さじを投げて魚は釣れるか」である。欲張るようだがやはり魚を釣りたい。時間が許す限りそこは譲りたくない。
そこで、以前「ある魚」がたくさん泳いでいるのを目撃したことのあるとっておきのポイントへ向かうことにした。


< もどる ▽この記事のトップへ つぎへ >
 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.