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土曜ワイド工場
 
HOW TO セリと入札

伊東魚市場のセリの方法

魚を買うためのセリは、開始時間や順番が決まっている訳ではなく、準備ができたところからバラバラにはじまる。たとえば富戸のブリのセリをやったと思ったら、今度は北川のタイといった感じ。

どこの漁港からも集まってくる魚の種類はだいたい同じなので、買う側はセリがはじまるまでに、魚の品質を見極め、値段の目安を決めておく。いわゆる「目利き」っていうやつですか。


確実にセリ落とすためには、誰が何を狙っているのかも大切なチェックポイントなのかな。

魚をセリにかける準備ができるとチリンチリンという合図が鳴り、赤い帽子の売人を買受人達(魚を買う資格を持った人)が囲みだす。すると一瞬でそこだけ空気が変わり、威勢のいい声が響き渡る。

商売の邪魔をしないようにちょっと離れたところから見物していたのだが、素人にはどういうやりとりで売買が成立しているのかがまるっきりわからない。


博打でもやっているかのような勢いのよさ。アジが水揚げされる時期は買受人が多いので、場所取りをうまくしないと参加すらできないらしいよ。

売人と買受人のやりとりを文字にすると、だいたいこんな感じである。


売人 はい、ピンから。
買受人A イチニー!
買受人B イチゴー!
買受人A ニーマル!
売人 …はい、ニーマル!
買受人A 三つ!

一瞬過ぎて、なにがなんだかわからなかったのだが、内田さんに解説してもらったところ、以下のような内容らしい。


売人 こちら、キロあたり1000円からでいかがでしょうか。
買受人A 私は1200円で買いましょう。

買受人B いやいや1500円でどうでしょう。
買受人A ならば2000円まで出しますよ。
売人 …他にいないようですので、2000円で落札となりました。おめでとうございます。
買受人A ありがとうございます。それでは3箱いただきます。

やっていることはネットオークションなど変わらないようだ。ただちょっと違うのは、セリ落とした人が、その金額でどれだけ買うかを後から申告するというところ。

魚は売人側が品質のいいものから順に並べている。たとえば10箱並んでいた場合、最初の人が2000円で上物を3箱買い、次のセリでは1800円で1箱、その次は1500円で6箱、という感じで落とされていく。もし最初にセリ落とした人が、全部買うといったらそこでセリは終了。周りの顔色をうかがっている間もなく勝負が決まる。

セリの進行にあわせて値段はだんだん下がっていくが(上がることもあるけど)、どのタイミングで売り切れるのかがわからないため、あまり待ちすぎると買えないことも。ここよりこれからおこなわれる他の漁港のセリのほうが安く買えるかもしれないし、セリ落とすタイミングが難しそうだ。


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