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チャレンジの日曜日
 
埼玉の県鳥、シラコバトを見てみたい
ポーポー。

新潟にトキがいるように、埼玉にはシラコバトという鳥がいる。

シラコバトは国の天然記念物であり、絶滅危惧種に指定されるほど数の少ない野鳥なのだが、母親によると「花見にいった越谷の池にたくさんいて、人があげたパンくず食べていた」らしいのだ。

それはただのハトではないかと聞き返したが、いやいやシラコバトに間違いないと強くいう。

玉置 豊



シラコバトと埼玉

シラコバトという鳥は埼玉の県鳥に指定されているので、ほとんどの埼玉県民はその名前を知っている。母親がシラコバトを見たという越谷市にいたっては、県鳥であることを承知の上で、さらに市鳥にも指定している。

そこまで愛されているシラコバトだが、数の少なさゆえに実際見たことのある人はあまりおらず、会話の中でシラコバトという単語が出た場合、多くの場合は「しらこばと水上公園」を指している。私の知る限り、9割はそうだ。


越谷ではプール以外にも、いろいろなものにシラコバトの名前がついている。これはしらこばと橋。

橋に置かれたシラコバトの像。シルエットはただのハトだが、首の後ろに線があるのが特徴なのだろうか。

マンホールの蓋もシラコバト。やはり首の後ろに線がある。

今まで探しもせずに、なかなか見ることができない鳥だと思い込んでいた。だがシラコバトの本場である越谷だったら、母親がいうように、いるところにはたくさんいるのかもしれない。

 

シラコバトがいるという池にやってきた

さっそくシラコバトを観察すべく、早起きをして越谷の某池へとパンを片手にやってきた。ここで某池とごまかしているのは、もしシラコバトが本当にいた場合、その姿を一目見ようと埼玉県民が殺到するのを防ぐためである。

シラコバトは野生動物。上野のパンダみたいな状況になるのは好ましくないだろうという配慮からだ。


看板では「鳥」とぼかしてはいるが、これはシラコバトを指しているのかもしれない。

この公園では、県の鳥よりも県の蝶を押していた。ミドリシジミなんて初めて知った。これもシラコバトの存在を隠すカモフラージュだろうか。

何かが禁止されている。シラコバトの捕獲だろうか。

禁止されているのは魚捕りだな。シラコバトは禁止されてなくても捕っちゃダメだ。

母親の話では、池の周りに杭があり、シラコバトはそこに止まっているということだ。

なるほど、確かに杭があった。ただ、シラコバトらしき鳥は見当たらない。やはり天然記念物、そうは簡単には見つからない。


どうやらこの池に間違いなさそうなのだが。

家の中央に休んでいる白い鳥、あれがシラコバトなのだろうか。双眼鏡が欲しい。

ロート、ロートロート。

 

ハト発見

とりあえず池に沿って歩いていると、向こうから近づいてくる鳥がいる。

普通、野鳥といえば近づけば逃げていくものなのだが、あいつだけはいつもそうだ。

そう、ハトだ。


シラコバトではなくドバトかな。ところでドバトとドバイは文字が似ている。

シラコバトという鳥がどういう鳥なのか、実はよくわかっていないのだが、その名前からするに、白くて小さめのハトなのだろう。そして首の後ろに模様があるはずだ。

もしかしたらと思って寄ってきたハトを見てみるも、どこにでもいるハトのようである。


首の後ろに模様らしきものがあるけれど、体がぜんぜん白くない。

体の一部が白いけれど、これがシラコバトだったら、世の中は絶滅危惧種だらけだ。

 

シラコバトをパンで寄せてみる

母親情報だと、シラコバトは普通のハトに混ざって人があげたパンをついばんでいるということだったが、この日は残念ながらエサをあげている人がいない。

ならばと自らコンビニで買ってきたパンを取り出すと、袋から出す前に無数のハトがポッポと集まってきた。

これだけいれば、シラコバトが一匹くらい混ざっているかもしれない。


牛乳パン。

あ、白い鳥!

目論見通り、灰色をしたドバトの群れの中に、ひときわ鮮やかな白い鳥が二羽舞い降りてきた。

あきらかに普通のハトとは違うオーラ。これがシラコバトなのだろうか。

パンを少しずつなげて近くに寄せて、じっくりと監察をしてみた。


うん、白いね。

首の後ろというか、耳のあたりに模様があるな。そして足には水かき。

このスケール感のある飛びっぷり、絶対にハトじゃない。

シラコバトではと睨んだ鳥だが、色こそ白いけれど、ハトよりも一回り大きいし、足には水かきがついている。どうみてもハトの仲間ではないようだ。

シラコバトならぬシラケドリ、飛んでいる、南の空へ、ミジメ、ミジメ(若い人は無視してください)。

鳥の名前に詳しくないのだが、たぶん渡り鳥の一種だろう。どうも今日はシラコバトが不在のようだ。


こいつかなとも思ったが、たぶん色の薄いドバトだ。

 

確実にシラコバトのいる場所へやってきた

あの池にはまた出直すとして、とりあえず本物のシラコバトがどういう鳥であるのかを知っておくべく、キャンベルタウン野鳥の森というところにやってきた。

ここは越谷市とオーストラリアのキャンベルタウンという街が姉妹都市提携10周年を記念してつくられた、オーストラリアの野鳥が中心に飼育されている施設なのだが、たしかシラコバトもいたはずだ。


ここのシラコバト、オーストラリア人ばかりが通う日本のインターナショナルスクールに留学したような立場ですかね。

シラコバトが実はオーストラリアの野鳥だという話ではないです。

この施設は森全体が金網で囲まれた大きな鳥カゴみたいになっているのだが、さらにその中に設置された鳥小屋で、お目当てのシラコバトを発見。


ポーポポー。

なるほど、イメージ通りだ。白くて小さなハトで、首の後ろに模様がある。

イメージ通りというか、この姿、明らかに見覚えがある。たぶん人生で何度かシラコバトの写真を見ているな。だって埼玉育ちだもの。

とにかくこれで、シラコバトがどんな鳥なのかがよくわかった。

 

母親を連れて出直してみた

キャンベルタウンからすぐにまたあの池へと戻ろうと思ったのだが、もしかしたら母親が見たという場所は、あの池の中でも限られた場所なのかもしれない。

そこで実家を経由して、母親を連れてきてみた。すでに一度ここにきたことは、なんとなく内緒にしてある。


パン粉を持って登場。

「このあたりでいいんじゃない」と、母親がパン粉を撒きだした場所は、さっき私が牛乳パンを撒いた場所と同じだった。

すぐにハトが集まってきて、少し遅れて、私がシラコバトかと間違えかけた白い鳥がやってきた。

「ほら、シラコバト!」

やはり。母親は、その白い鳥をシラコバトだと思っていたようだ。


「シラコバト、たくさんいるでしょ!」

「これはハトよね。」

「だからこの白いのは、シラコバトよ。だって越谷だもの。」

それは根本的にハトじゃないので、シラコバトではないのではと意見したところ、じゃあシラコバトでなければなんなのと聞かれた。知らんて。

 

以下全部自分の話

私が子供の頃、アメリカザリガニの子供を捕まえてきて、「これ、テレビでみたニホンザリガニだよ!」と興奮しながら両親に見せびらかしたことがあった。

大きめのコクワガタを捕まえて、小さいオオクワガタだと信じて飼っていたこともある。

アゲハチョウを見つけては、「ギフチョウだよね?」と聞いていた時期もある。

干からびた河原に鳥の足跡を見つけて、恐竜の足跡の化石だと大騒ぎしたこともあった。

ついでにいえば、ボブ・ディランとデュラン・デュランを同じ人だと思っていた。

なるほど、遺伝か。

母親がそういうのなら、この鳥が我が家ではシラコバトということでいいかなと思った。

 

ユリカモメだそうです

母親は息子のどこか不満げな態度をみて、本当はあの白い鳥がなんなのかちょっと気になったらしく、でかいレンズを構えた本気のバードウォッチングの人に話しかけた。


「あの白い鳥はなんですか?」

あれは、ユリカモメだそうだ。

ユリカモメといえば東京の都鳥。埼玉の県鳥だと思ったら、東京の都鳥だったとは。東武伊勢崎線でいえば、西新井駅は埼玉県だと思っていたような話だ。

いいオチだなと思った。

ちょっと調べたところ、ユリカモメは越谷のお隣、春日部市の市鳥でもあるそうだ。だからなんだという話だが。

バードウォッチングって楽しいですね

なんだか恥をかかせたみたいで悪いことをした気分になったが、それほどシラコバトに対して思い入れがあった訳でもないらしく、気持ちのいい場所なので週末に娘を連れてまた一緒にこようということになった。

よく晴れた一日の話でした。

ユリカモメかー。

 
 

 

 
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