原型となるフィギュアをちょこっと改造して、自分オリジナルのフィギュアを作ってしまう「人形改造」というジャンルの工作があるらしい。
手先が不器用な上に、性格が雑なので、緻密な作業を必要とされる工作はすごく苦手(めんどくさい)なボクなのですが、コレだったら作れるんじゃないかなぁ……。
(絵と文:北村ヂン)
ちょっとやってみたかった人形改造
今週はデイリーポータルZの工作ウィークということで、編集部の安藤さんより「北村さんも工作記事に参加してもらえませんか?」とお誘いを頂いたのですが……
「工作……記事……か……」
工作記事って読む分には面白いのですが、自分で工作となると、いかんせん手先が不器用なのと性格が雑なのとでロクなモン作れる気がしないわけです。
……ということで、デイリーポータルZのライターをはじめた当初に「サンダル兼革靴」という、ほぼゴミにしか見えないヒドイ工作をやらかして以降、「こりゃ才能ないわ」と思い、ほとんどその手の記事は書いてきませんでした。
しかし、実は前々からちょっとやってみたかった工作のジャンルがありまして、せっかくなので引き受けることに。それが「人形改造」!
これは、戦車などのミリタリー系プラモデルと組み合わせて使う小さな軍人フィギュアを改造して、まったく別のフィギュアにしてしまうというもの。
タミヤ主催で毎年「人形改造コンテスト」というのが開催されており(なんと今年で40年目!)、その応募作を見たことがあるのですが、軍人フィギュアの原型をまったくとどめていない魔改造の数々に度肝を抜かれました。
たとえばこんな感じ。
軍人フィギュアが、朝ドラでお馴染みの夫婦に!
……水木しげる先生は従軍経験があるので、それつながりなんでしょうか(違うな)。
おおっ、ルパーンしゃーんしぇーい! すっごくイイ出来です。ウチに飾りたいですよ、コレ。
さらにこんなものまで……。
ただ、大会のレギュレーションで「1/35 ミリタリーミニチュアシリーズを使用すること」というのが決まっているので、おそらくこの中に軍人フィギュアが埋め込まれてるんでしょうね。
このように、フィギュアの自由すぎる変ぼうっぷりが楽しい「人形改造」。ボクも挑戦してみたいと思います。
……ということでタミヤさんにお願いして、原型となる軍人フィギュアを提供してもらいました。その名の通り、ドイツ軍の兵士たちが休憩しているというフィギュアのセットです。
この他にもウオーッと敵に向かって突撃している「突撃セット」や、負傷した仲間をタンカで運んでいる「野戦救急兵セット」など、興味深いフィギュアがたくさんあったんですが、まあ改造の原型として使うのなら、あまりインパクトのあるポーズをしているよりは、ニュートラルなものの方がやりやすかろうという判断で「小休止セット」に。
中身はこんな感じ。自分で組み立てる、いわゆるプラモデルみたいなもんなんですね。
1/35スケールということで、たとえば身長175センチメートルの人をフィギュア化したら5センチになるということは分かっていたんですが、実際に手に持ってみると思った以上に小さく感じます。
顔なんてホラ、人差し指の先よりはるかに小さいですからね。コレを改造して別人のフィギュアにするってのはなかなか大変そうですよ。
とにかくテキトーに作ってみた
ま、ぶつぶつ言ってても仕方がないので、ノープランのままとりあえず作ってみましょうか。
一体のフィギュアに使用するパーツはこんな感じ。
昔のお菓子についていた、前と後ろのパーツをくっつけるとロボット完成!(稼働する関節ゼロ)みたいなものよりは若干複雑ですが、プラモデルとして考えるとバカみたいにカンタンです。
ほい、完成!
組み立て自体は1分足らずで終わる超カンタンなものなのですが、当然ここから改造していかなくちゃ意味がない。
とりあえず色を塗っていきましょう。
うう、雑だなー……。
コレくらい小さいと色を塗るのも一苦労ですわ。
さて、ここから本格的に(?)改造していきますよ。取り出したるはエポキシパテ! プラモデル等を作る人にはお馴染み、プラモを改造する時の定番アイテムです。
この2色の巨大なガムっぽい物体を。
コネコネ混ぜ合わせて粘土のように形を作り、数時間乾燥させることによってプラスチックと遜色ないくらいカッチカチになるという素材です。
頭部分にも色をつけていきます。
さあ、カンのいいデイリーポータルZ読者なら、何を作っているかそろそろ分かったんじゃないでしょうか。
そうです、Zくんです!
最後の仕上げに額部分に「Z」の文字を書きたいんですが、細かい作業ゆえに手が震える震える……。すっごい細かいところを塗る用の「面相筆」も十数年ぶりに使いましたよ。
こんな感じでZくん、完成!
ボクが作った部分に関しては、小学生レベルのテクニックしか使っていませんが、ボディの造形がリアルなので、なかなかイイ物を作った気になれます。
人形改造、なかなか楽しいですよ。