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はっけんの水曜日
 
滋賀県、奇祭、ホイノボリを見てきた

南山王祭、開催中

さて、南山王祭をやっている日枝神社だ。境内の下にある広場には22本のホイノボリがずらりと立ち並び、さながら満開の桜のようである。

ホイノボリ1本につき1町内会という単位で、屹立したホイノボリを中心に車座となって雑談などをしている。


ばーん、これが本物のホイノボリだ。今まで見たイミテーションより大きくて綺麗。でも、綺麗だけど訳判らないだろう。

風が吹くとホイノボリがフワーッとなびいて大変に美しい。

で、ホイノボリってなんなのさ?

ホイノボリとはなんなのか?まず「ホイ」から説明すると、ホイとは白やピンクの薄和紙で出来た花である。よく学校で作るお花紙の花みたいなものだ。あの花ほど花ではなくて紙だが、遠目には花に見える。

そのホイを長さが数mある竹ひごに付け、それを竹竿の先に付けたもの、それがホイノボリだ。

どういう起源かというと、はっきりは判っていないらしい。有力なのは鎮花祭説。鎮花祭とは、散る花のように疫病が広がらない事、稲穂が散って不作にならない事を願って行われた災いよけの行事だそうだ。確かにホイノボリのホイは糊付けされていて散らないので合点がいく。ガッテンガッテン。

祭りは僕が見に行った南山王祭だけでなく各神社で行われるので、祭りそのものの総称としても「ホイノボリ」と呼んでいるようだ。ホイノボリはオブジェ1本の名前でもあり、祭りの総称でもある。若干ややこしい。

ホイノボリは日野特有のお祭りということで、2000年に「日野のホイノボリ」として滋賀県の選択無形民俗文化財になった。


無数のホイ。3Dで撮ったら良いと思いませんか?

 

しばしホイノボリの写真をお楽しみください

竹ひごに紙がくっついているだけのシンプルな構造だけど、その数や大きさが常軌を逸しているとそれが美しくてたまらない。

聞けばこのホイノボリ、1年間倉庫にしまってあって、こうして使うときだけ出してメンテナンス(取れてるホイを直したり)するのだという。毎年この1日のために出したりしまったりメンテナンスしたりしているのだ。なかなかに大変である。

何枚も写真を撮ってきたので大きめの画像でお楽しみください。


無数の竹ひごとホイ。多分桜を模してるのだろうなと思う。

風でビャーっとなびくホイノボリ。おお、雅だ。

頭上をおおうホイノボリ。なんかよくわかんないけど綺麗だ。町内の人はみんな当たり前のようにしていたが、余所から見ると相当変だと思う。

町名が書かれた垂れ幕の下には重りとしてサルボボが付いてた。岐阜の民芸品だ。

見れば見るほど、紙だ。でも群体になると花であり、綺麗だ。数ってすごい。数と桜って字が似てる。

ホイノボリの下では町内の人たちが軽く宴会状態だ。

境内から見下ろす。写真愛好家が一生懸命写真を撮っていた。

 

3D写真を撮りました

折角だし、ちょうど編集部から3Dカメラを借りていたので3Dでも撮ってきた。ホイノボリみたいなものは3Dで撮ると面白い。現場に3Dカメラを持ってる人はいなかったので、おそらく世界で唯一の3Dホイノボリであろう。


2Dだとごちゃっとしちゃうけど、3Dだと奥行きが判る。(クリックで3D表示)

手前のホイが飛び出して見えませんか。(クリックで3D表示)

上から見るとまた違った趣が。(クリックで3D表示)

ホイノボリ、日野の街並み、綿向山(多分)。(クリックで3D表示)

 

ビールやチューハイを飲みながら談笑。

これは花見だ

南山王祭と言っても、見てみるとみんな特になにをしているわけでもない。お茶やお酒を飲んでお茶菓子を食べて世間話をしている。

お昼時になると町内の人たちは仕出し弁当を食べ始めた。見てみれば刺身や蟹などが入った結構豪華なお弁当だ。それをつまみにビールや酒が振る舞われていた。

そう、これは花見だ。みんな薄々気付いてたと思うが、花見なのだ。桜は咲いていないけどホイノボリは満開だ。つまり、満開が約束された花見なのだ。開花予報なんて関係無い。桜が咲いてようと咲いてなかろうと関係無い花見なのだ。


お弁当は豪華です。
おじいちゃん達は孫の撮影に一生懸命。

 

半日ほどここにいるらしい

さて、この「ホイノボリ見」だが、10時くらいから始まってお昼を食べて、15時くらいまでやっているらしい。桜の花見も大体そのくらいなので、時間的にも花見に似ている。

ホイノボリの周りには食べ物やお茶、お酒がおかれていてそれらは「当番さん」と呼ばれる主婦が客に出していた。客って言うか、近所の人たちだ。なんだかんだで、地方はそういう人間関係が地味に大変ですな。


祭りのメインイベントは階段の上で行われていた。

一方その頃、境内では何かが始まろうとしていた

境内下の広場は花見状態だけど、階段を登って境内に行くと神社にはスーツ姿の男性や神主さん、巫女さんが集まって神事を行っていた。

本殿の前では釜でお湯を沸かしている。一体なにが始まろうとしているのか?


下の宴会とは違った雰囲気。
なぜか5つの釜でお湯を沸かしている。

これこそが南山王祭のメインイベントだったのだ。


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