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工作ウィーク
 
機械で練った水あめが、こんなにおいしいなんて…
 

水あめはそのまま食べてはいけない。あれは割り箸で練ると、空気がほどよく入っておいしくなるのだ。

子供の頃は練ること自体が楽しかったが、大人になった今は少し面倒に感じてしまう。

ここは大人の技術力で「水あめ練りマシーン」を作成して、気軽に水あめが食べれるようにならないか。

斎藤 充博



「お前はもう物を作るな」

ということで工作を始めるのだが、一つ引っかかっていることがある。僕は工作が苦手な方で、当サイトにおいてもなるべく工作記事にはタッチしない方針をとっていた。


ぐちゃぐちゃの針金とびしょびしょのタオル

これはそんな中でも1年以上前に作った工作「湯気が天井からポタリマシーン」である。これのどこが「マシーン」で「工作」なのか、という読者の意見もあると思う。

記事を公開した時に、実際そういう意見が直接電話で僕のところに届いた。実家の父からだ。


最近の楽しみはメダカの飼育

父「あれは人に見せる物じゃない」
僕「…」
父「根本的にちょっと感覚が違うんじゃないのか」
僕「…」
父「お前はもう物を作るな」

若い頃の父は、技術者みたいな仕事をしていた。そういう人から見ると、僕の工作は見るに耐えない物らしい。…しかし、苦手だからといって遠ざかっていたら、進歩がない。父の忠告を振り払ってここは進めていきたいと思う。

 

「これなら出来ますよ」

今回はデイリーポータルZの工作ウィーク企画で、タミヤから材料を提供してもらうことになっている。僕の頭の中で、水あめを練る動作のイメージはだいたい出来上がっているのだが、具体的にどんな材料が必要なのかわからない。

編集部の安藤さんにイメージを伝えて、安藤さんが必要そうな材料を選別してくれることになった。


この時にメールした画像
横から見た図。この時は「設計図を描いた」という気になっていた

安藤「斎藤さん、工作が苦手って言ってましたけれど、これなら出来ますよ」
僕「ですよね、複雑な動きじゃないですよね(具体的にどう複雑じゃないのかわからないけど)」
安藤「これならモーターは一つでも大丈夫ですよー、期待しています。材料送りますね」

そうだよな、これならそんなに難しくないはずだ。自分の見通しを他人に保証してもらえて嬉しい。そして安藤さんは確か理系だったはずだ。そういう人が出来るというんだから出来るはずだ。


この時に抱いていた完成イメージ

 

材料がそろう

ほどなくしてタミヤの工作材料が届いた。安藤さんが送ってくれたのは「モーターボックス」と「電池ボックス」と「ユニバーサルアーム」という商品。


上が「電池ボックス」「モーターボックス」。下のプラっぽいのが「ユニバーサルアーム」

「ユニバーサル」という名称の広大さにおののく私

こういうものを、僕は初めて見る。そして推理する。「モーターボックス」と「電池ボックス」を繋ぎ合わせて動力とするのだろう。これに関してはほぼ間違いないと思う。

問題は「ユニバーサルアーム」だ。これが今回工作の最大のポイントとなるだろう。ユニバーサルアームの組み立て方で、具体的な動きが決まるのではないか。

僕はそう考えた。


水あめも買ってきた。


大量にある
練るのは、メーカー推奨の食べ方

近所の駄菓子屋に水あめが置いてなかったらどうしよう、水あめを求めて駄菓子屋をいくつもまわるのなんてイヤだ。少し遠くても確実に置いてあるところに行くのが、この場合効率がいい。

そう思って日暮里にある駄菓子問屋に行ったら、結果的に道に迷い半日ロスすることになった。ちなみに日暮里の駄菓子問屋は駅からものすごく近いところにある(JRの駅から徒歩1分)ので、行ってみたい人は見逃さないようにしてみて下さい。

それから後日、近所の駄菓子屋(僕のうちから徒歩3分)に行ったら水あめはちゃんと売っていた。いや、別に良いんだ。色々と上手くいってはいないが、ちゃんと材料はそろった。確実に工作は進んでいる。

 

既製品が作れない

まず、モーターボックスと電池ボックスを組み立てるところから始めよう。


説明書をよく読んでも
入らない(入れ方が書いてない)

しかし時間をかけていろいろ試してみると
入った

組み立てている時に役に立ったのは、ツイッターだ。わからないことをつぶやくと、夜遅い時間でもいろんな人がリプライをくれる。


電池ボックスの組み立て中
すごく親切な人たち(ありがとうございました!)

この状態(電池ボックスとモーターボックスがつながった)まで行ったが、全く動かない

どうしたらいいのかわからず、一度バラして組み直したりしてみたら

動いた…

色々とままならないこともあったが、「時間をかけてごちゃごちゃ見直したり組み替えたりしているとなんかいつの間にか動くようになっている」ということが何度もあり、モーターが動くところまでこぎつけた。


この時は嬉しかったね

モーターが動いたときは嬉しさと驚きで思わず「キャ」っと悲鳴を上げてしまった。この作業に5時間くらいかかっているのだ。しかし、ここまでの過程を振り返ってみると、既製品を説明書通りに組み立てただけである。それでも一仕事終えたような気分になって、この日は就寝することにした。

 

練りの動きを実現できない

次は「ユニバーサルアーム」を動力に取り付ける作業に入る。ここは実際の練りの動きを決める重要な部分だ。しかし、具体的なやり方がわからないので、作業しながら考えることにする。


そして何も考えずにアームを取り付けたら、竹トンボみたいな動きをしはじめた

今度は「ギャッ」という悲鳴を上げてしまった。僕がなんとなく想定していたのはこういう動きである。


よく考えたらこうならないのは明白なんだが

この竹トンボみたいな動きから、どうやって水あめを練る動作に持って行くのか。皆目見当がつかない。色々と組み方を変えても、それは「回り方が変化した竹トンボ」にしかならなかった。


ヒントを求めて東急ハンズに出かけてみる。材料たちはツンと澄まして呆然とする僕を見ていた

 

デイリーポータルZ編集部に

どうしようもないので、日を改めて編集部に相談に向かう。対応してくれたのは工藤さんである。


「ここからさっぱり工作が進まなくてですね」電池を入れて説明すると
「それは『クランク』を使えば解決するんじゃないですかね」ほとんど即答だった

僕「クランク?という物があるんですね」
工藤「ええ…材料がいくつか必要になるんですが、これはすぐに出来ますよ」


工藤さんが教えてくれたクランク(この時はこの図で理解した)

なるほど、大体のところは理解できた。たしかにやり方さえ聞いてしまえば全然難しくないことだ。材料は新橋にあるタミヤのショールームに行くのが一番確実なんだそうである。


工藤さんが描いてくれたタミヤショールームまでの道順

工藤さんの「工」は工作の「工」だ。頼もしいな…。工藤さんが詳しい説明をしてくれるのを聞きながら、そんなことを僕は考えていた。

 

近くて遠いタミヤショップ

初めて訪れるタミヤショップ。工作用品や模型が飾られており、とてもかっこいい。


シュっとした外観
このあと若い女性が3人くらい来てタミヤTシャツを選んでいた

ただ、僕からするとやっぱり自分が場違いな気がするのだ。例えば、デパートの1階にある女性の化粧品売場に足を踏み入れたような。洗練されている方向が全然僕の方を向いていない、というか…。


「ユニバーサルプレート」「シャフト」などを購入

気後れして工藤さんにアドバイスを受けた物を買うのに30分くらいかかってしまった。なぜか店員さんにうまく話しかけられなかったのだ(普段は全然そんなこと無いのに!)。

ちなみに僕は、編集部のある大森駅から新橋駅に来るまでに電車を乗り間違えている。もう、うまくいかないときは何をやっても駄目だ。


その時のツイート(この混乱ぶり)

一回外でやってみる

タミヤショップを出てすぐに不安になる。果たしてこれでちゃんと動くのか。家に帰ってからまた追加の材料に気付く…というのはもう辛い。時間もあまりないのだ。

新橋の駅前で一度組み立ててみよう。ここなら必要な物が出てきた場合、タミヤショップにすぐ戻れる。


新橋駅前SL広場にちょうどいい高さのスペースが

工藤さんの言っていたクランクってえのはこれでいいはずだ(やった出来た!)

そんなことやってたら雨が降ってきた

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