惜しい!と思わされる物件も
さらに物件訪問を続けていこう。中には条件にぴったりではないものの、感じ取れる味わいは共通に漂うと思えた物件もある。
落差は十分に条件を満たしているこの物件。ただ、間にあるのが一軒ではなく二軒なのだ。それにしても高さがぴったり同じゆえ、今回の記事から落としてしまうのは勿体無くも思える。
クローズアップして落差を意識できないように見ても、なんだか可愛らしいこの建物。2つの間の隙間のなさもすごい。
向かって左側の店は「奈良ブラシ店」。ブラシの専門店なのだろうか。店名の響きと置かれている状況とが、やはり妙にマッチするようでもある。
もう一つ残念だったのは、訪れたタイミングでは店が開いていなかったことだ。その点は小川町で見つけた次の店も同様だった。
小川町と言えばスポーツ用品やアウトドアグッズの店が並ぶ街。エルブレスもムラサキスポーツもそのジャンルの店だが、間にあるちっこい建物だけ何やら違う。
「優美堂」という名の店。富士山型の看板から読み取ろうとすると難しいが、その下の軒を見るとよくわかる。縦にかかっている看板からは、額縁の専門店であることも読み取れる。
それにしてもすさまじい年季。趣きという言葉では追いつかないところにまで達している。
看板の塗り替えを検討したこともあったのかもしれないが、ここまで来るともうこの状態こそがこの店のアイデンティティとも思える。今から塗り替えたら、残念に思う人も多いのではないか。
現在も営業している店のようだが、来訪時は休業日だったのが残念。もう一つ、小川町では別の物件にも出会った。
落差に加えて、独自のわかりやすいインパクトがあるのが特徴の物件。今回対象としている建物はなかなか見つけづらいのが特徴なのだが、これはかなり目に付く。
逆に言えば、看板の印象が強くてビルの谷間の小物件という要素には気づきにくいのかもしれない。
店名は「顔のYシャツ」。看板にもシャッターにもそう書いてあるのだからそうなのだろう。別に顔用のワイシャツという意味でもないんだと思う。
横にかかった小さな看板にも「顔のYシャツ」とあって、いよいよこの店は「顔のYシャツ」なんだと念を押される。アメックスが使えるというあたり、本格風だ。
もともと笑顔のこの看板だが、下から見上げると角度のためか、笑い度がさらに上がったようにも見える。