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フェティッシュの火曜日
 
詳しくないけど見てみたい新幹線0系保存車両の旅
写真右!

鉄道……。ホビーの一大ジャンルであり、「マニア」という言葉の付く代名詞的存在のようにも思う。

その道に大変に詳しく熱っぽい方々が多いだけに「ちょっと好き」「多少なら興味ある」ぐらいの者が近づくとヤケドする、そんなイメージだ。

さて、私は新幹線が好きだ。

特にあの、あれなんていうの? ほら、一番最初の新幹線で、青くて、鼻が丸くて、目が黄色くぴかーって光ってかわいいやつ!

……そうなのだ。私は新幹線のアレ、0系っていうんですよね、あれが好きなのだけど、この通り全然詳しくないのです。

それでも、いいでしょうか。見に行っても。ヤケドしないで帰ってこられるでしょうか。

古賀及子



「好き」という気持ちを大切にしたい

その道を極めている方々を見ると(本当ににわかのにわかファンなので、本気の鉄道ファンの方に会う機会すらないのだが)、まぶしい。羨ましい。好きなことに囲まれて、人生たのしそうだ。

私の場合、好きという気持ちはあれどその好きがそれほどスパークせず、道を究めるまでにはいたらない。新幹線だけじゃなく、何に関しても中途半端だ。

でも、中途半端でもやっぱり「好き」という気持ちはある。

その小さな「好き」をもっと尊重したい。それで今日は新幹線0系車両を見に行くことにしました(敬礼!)。


というわけで、まずは昭島へ。昭島はクジラ押し 160万年前クジラの化石が発見されたらしい。かわいいな

「にわか」に優しいインターネット

簡単に言えば私のような者のことは「にわかファン」というのだろうか。いや、多分 にわか までも行っていない。

私には「ほら、あの新幹線、あれ、いいよね! かわいいよね!」くらいの意識しかないのだ。知識は本当に全くない。あるのは意識だけなのだ。

で、ここからが大事なことなのだが、そのふんわりした意識しか持っていなくても、今ならブラウザの検索窓に「新幹線」と入力して、お弁当のごはんにフリカケでも振りかけながらちょちょっと調べると、どこに行けば私の好きなあの青い新幹線が見られるかが分かってしまう。

青梅線に乗れば、昭島と青梅の2ヵ所で新幹線0系の保存車両が見られることが分かった。昭島と青梅ならどちらも青梅線沿線。これは軽い気持ちでも行きやすい。

10年前だったら絶対この情報までたどり着けなかったと思う。これがあれか、ユビキタス社会ってやつか! ハッ!


ハッ! そして、ん?

お!

おおお

わー!

この胸の高鳴りよ、どうだ

よし明日は新幹線を見に行くぞと決めた前日はそわそわしたし、現場近くに到着して木陰から車両がチラッと見えたら、私、なんと小走りしていた。

詳しくはない、でもやっぱり好きなのだ。

上の写真は小走りで来た道を戻って徐々に近づいているように撮影しなおしたのだ。

新幹線だ。かっこいい、かわいい、いいぞ、いいぞ、結構でかい! うわー、そうか、そうか。


こちらは昭島市の昭島市民図書館つつじヶ丘分室、通称新幹線図書館 なんと保存車両を図書館にしているのだ。網棚に本、そして車窓に車道

座る。このシートの柄、見覚えあるなあ 段差が大変に家っぽいカーペットで保護されててまたぐっとくる

運転席にも入れる! 見ても何がなにやらだけど!

窓ふき器!
昭島市民図書館
https://www.library.akishima.tokyo.jp/
※新幹線図書館はつつじヶ丘分室です

この感動はなんなのさ

いや、興奮しきりだ。興奮しすぎて何がなんだか分からなくなって、この近所にあったマクドナルドで20年ぶりくらいにマックシェイクを買ってそわそわ飲んだ。祭りのテンションになってる。

なんだろう、この興奮は。

「懐かしい!」と反射的に思ったのだが、実際乗車したことがあったかと思うと、覚えがない。シートの柄に覚えがあったのでもしかしたら乗ったことがあるかもしれないが、きっちりした記憶はない。

だから、かつての親友との再会というような種類の興奮とはちょっと違うのだと思う。どちらかというと、「これぞ新幹線」という新幹線を見たから、芸能人に会ったみたいな感じだろうか。


「これぞ新幹線」。駅のマークも新幹線はこんな感じだし 絵文字の新幹線もそれ風

実物を見て、これがあの有名な新幹線0系かあ! みたいな興奮は確かにあった。

……うーん。

いや、でも、そういう理屈じゃないのかなあ。多分ただただ好きで嬉しくなっちゃったというのが正直一番近い。うん。そうだな。

なお、大人になってから初めて飲んだマックシェイク、ぬるくなって甘くなりすぎる前に全部飲めて驚いた。子どもの頃は最後の強烈な甘さが辛かったんだ。大人の吸引力すごいぞ。

もしくは、それぐらい新幹線に興奮していたということか。


さて、続いては青梅駅で下車して青梅鉄道公園へ。油断してたらなかなかの山道であったよ 公園だけど、記念館が立派です。展示たくさん

さらに本気の施設へ

青梅鉄道公園は青梅駅から山道を登って登って行ったところにあった。新幹線だけじゃなく、鉄道開業時に使われた蒸気機関車やらなにやら貴重な11車両が展示されているそうだ。なんだか本気だ。

これは……・いよいよ門外漢はヤケド覚悟か。と思いきや、公園内は家族連れが多かった。そうか、鉄道は子どもが幅をきかすジャンルでもあるのだった。


JR関連の財団が運営しているとあって、時計も駅のやつ!

ならぶ機関車を流し見するのは多分すごくもったいないことだと思うんだけど、新幹線に急ぎますよ。






じゃーん!

2ヵ所目とあって、うかれてマックシェイクを買うほどの興奮はもう起きなかったが(マックシェイクを買うには一旦下山して駅前まで行かなくちゃいけないしな)冷静にうきうきした。

そうなんだ。冷静だけど、すごくうきうきするのだ。

夜寝る前に思い出すとちょっと笑っちゃう、そういう体験を今してるのだと思った。


そういえばさっきし忘れた記念撮影を、と、撮ってはみたものの、なんだ私が邪魔なだけの写真だな 顔も触らせてもらおう

違いは、分かりません!

中に入るステップの前に案内板が出ている。この車両は22形式、という種類らしい。ほほう、この0系という系統の車両にもいろいろと種類があるのか。

ということは、さきほど見た昭島のものと違いがあるのだろうか。

……(じーっと見ています)……。

だめだ、分からない! 


「JR」って書いてある……? とか? いや、違うなそういうことじゃないんだよな多分 うむ、 シートの色が違うのは分かるぞ(慣れないもので背面から撮影してる)

なんか小部屋みたいのあった! うきうき

さすが鉄道公園だけあって、車両以外にも展示やジオラマの模型でも新幹線の姿を見ることができた。

来るまでは全部見たら途中で「もうお腹一杯だすー」って具合になることを予想していたのだが、のんびりじろじろ眺めて歩いていたらただただ楽しいままで時がすぎていた。

そりゃそうだ。好きなものを見てるんだ、時間が経つのが早いのも当然だ。

車両の違いが分からないという見る目のなさは発揮したものの、自分の「好き」加減には自信が持ててきましたよ。


子どものころはこの緑のやつはちょっと違和感があった(青こそが新幹線だと思ってた) 記念スタンプがまたえらいかわいいのよ〜

いい気分になっての帰り際、にこにこしながら職員の方が声をかけてくれた。

「写真撮ってましたね! 新幹線好きなんですか?」

反射的に「あっ、はい。新幹線、大好きなんです。」と答えた。最初こんなハンパな知識で「好き」だなんていったらヤケドするぞなんて恐れてたのに調子よく「大好き」発言だ。

でも、もう大好きって言っちゃってもいいでしょうか。依然として詳しくはないので恐縮です。

青梅鉄道公園
https://www.ejrcf.or.jp/ome/

好きなら「好き」って言っていい

何人かの、鉄道ファンではない友人に今回のこのぶらり旅を自慢したところ「おお、いいなー新幹線!」というリアクションだった。

結構みんな好きなのだ。好きだけど、詳しいことは分からない。

「0系とか700系っていうのはさ、“のぞみ”とか“はやて”とかそういうのとは違う? よねえ……」
「うーん、なんかこう、くくりが違う気がする……」

これくらいの感じで、でも新幹線ってわくわくするよね、0系ってかわいいよねと思ってる。

ちょっとでも「好き」かなと思う方は機会があったらぜひ車両を見に行くと面白いですよ。自分でもえっと思うほど血流上がるので健康にもいいはずです。

あ、これも結構好きなやつだ!

 
 

 

 
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