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コラボ企画:子どもの夢をかなえたい!
 
深海魚を食べてもらいたい

なかなか釣れず焦りまくる

この日は追い風に味方され、予想以上に早く釣り場に到着した。 釣り糸を垂れる時間が長くなればチャンスも増える。今日は運が向いているなと思っていた。 この時はまだ。


いよいよ釣り開始!

リールの水深カウンターがすごい数値を示す。

狙うのは水深500メートル以上。陽の光もろくに届かないであろう正真正銘の深海だ。 そのため仕掛けの上げ下ろしだけで数十分もかかってしまうのがこの釣りの難点だ。

開始1時間ほどは「釣れすぎちゃったらどうしましょうかー?」などと言っていた。

が、一向に魚は食いつかない。

まずい。魚の反応がやけに少ないのだ。
実は以前にもこの釣りにチャレンジしたことがあったのだが、その際はかなり頻繁に魚からのレスポンスがあり、退屈しなかった。
だから今回もそれなりに上手くいくだろうと高をくくっていたのだが…。

!ヤバい。二人から完全に笑顔が消えてる…!

チラリとライフネット生命のお二人の顔色をうかがうと完全に別世界へと旅立っているではないか。

後から聞いた話によると、この時すでに二人とも船酔いでダウンしていたそうだ。 僕はあまりに釣れないので飽きて呆れて寝てしまったのだと思い、めちゃくちゃ焦りはじめていた。


一応釣り竿を握ってもらったり。

依頼主を退屈させてはなるまいと、竿を渡して深海釣りを体験してもらったりもしたが、釣れる気配も無い釣りが面白いはずがない。

しかも、これはかなり特殊な釣りでちょっと面倒な操作が必要なので、やはり最終的には僕と小塚さんの二人が釣り人としての役割を担うこととなった。


この流れはまずいなあ…。

焦る焦る焦る。秋の海はむしろ寒いくらいなのに額から嫌な汗が噴き出す。 この取材、釣れなかったらどうするんだ?せっかくのキャンペーンが僕のせいでのっけからつまづくことになるではないか。
それに船代だって釣り具代だってバカにならない。そして何より…

うわあああああ、皆様お仕事の電話をし始めてるううう!タイムイズマネーやあああ!

一分一秒を無駄にできないビジネスマン(勝手なイメージです)がお忙しい中時間を作って同船してくれているのだ。
なんとしても結果を出さなければ…!気合を入れ直す。
しかしそれが魚釣りの難しいところで、こちらがどんなに気合を入れようがエサに食いついてくれるかどうかは魚次第。そんなじれったさも釣りの魅力なのだが、この場合はそんなことを言っている余裕は無い。

ついに魚が!と思いきや…


そんな中ついに小塚さんの竿に魚の反応が!

「掛かったかもしれない!」
負のオーラに包まれていた船上が小塚さんの一声で色めき立つ! 「かもしれない」というのがどういうことかというと、この釣りはあまりに深い場所を狙うので、大物が掛かった場合を除いて釣竿に伝わる抵抗が錘のものか魚のものか、判断が難しいのである。
そのため、とりあえず仕掛けを水面へ引き上げるまで獲物の有無が確認できないのだ。 頼む!掛かっていてくれ!

掛かってなかったー!

残念!仕掛けだけが上がってきた。
しかしよくよく見てみると…

何やらボンドのようなものが…。

釣り糸に奇妙なものが大量にこびりついていた。どうやら深海魚の体を覆う粘液らしい。 よし!魚は間違いなくいるぞ!深海から引き上げられた小さな伝言を必死で前向きにとらえ、自分を奮い立たせる。
溺れる者は藁をも掴むというやつだろうか。


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