焼き芋でココアなうまい肉
確かめてみると、かくして匂いは焼き芋であった。なぜ肉から芋のかおりが。
馬場さんに聞くと、レシピとしては肉をしょうゆやにんにくといったおなじみの煮汁にココアと山椒を加えて煮たという。
どこにも芋の付け入る隙はない。
食べてみるとすごく香ばしい。肉のおいしさについてはどうかもう察してほしい。みなさんの予想をかるく上回るくらいだと思っていただければ間違いない。そして芋の味は、しなかった。
どうもココアの丸い甘みと香ばしさに、煮汁のあましょっぱさが加わって偶然に芋があらわれたようだ。
さらに、ここでなにしろすごかったのは煮汁の力だ。
皿には肉の下にどっさりの水菜とサニーレタスが盛られていて、彩り要因かなと思っていたが煮汁がからんだこの葉っぱのおいしいことといったらどうしましょう。
安藤は興奮して馬場さんにしきりに煮汁を売ることをすすめていたほどである。
改めて言うが、ココアの働きが大きい。砂糖やみりんで出すガツンとしたストレートな甘みがココアでほわっとなって当たりがすごく優しいのだ。
ココア煮豚の煮汁の配合(馬場さんレシピ)
豚バラ肉ブロック 350g に対し 醤油 1カップ(200ml) ミルクココア 大さじ1 水 5カップ (1000ml) ザラメ 大さじ3 粉山椒 小さじ1 ニンニク 1片
ココア寿司はできた。ついでにココア和え物にココア煮豚もできてしまった。料理ができると人はこんなことを成しえるのか。
私も残りの人生まだだいぶある。もう少し料理にまい進してもいいかもしれないと目が開いた。
少なくとも「練ったココアで刺身を作る」などと言い出さないくらいには精進したい。
そしてココアを飲んでおいしい
もらった角煮はその晩食べてまた美味しかった。ココア酢は混ぜるだけなので私にもすぐできそうだ。
そしてそのおいしさへの興奮を落ち着かせるために夜はゆっくりココアを飲んだ。
ココア好きが完璧なココアサイクルをいま、生み出した形である(料理を作ったのは私じゃないけど!)。
協力・レシピ提供: ライター馬場吉成さん 酒と醸し料理 BY