暑いのは嫌いだし、都会も大の苦手だ。天気予報が28度を超えていたら気が動転するし、新宿では東口が見つからない。しかし、そんな弱音を吐いているようでは社会人としてこの世を渡っていけない。鍛錬のために「大都会渋谷でひたすら暑いところを練り歩く」という悲しいミッションを自らに課しました。
1993年東京生まれ。文化人類学を専攻する大学三年生です。メディア社会の今後とハッピーターンに興味があります。
温度計を使って一番暑いところを探そう
本当にただ練り歩くだけでは味気ないので、「渋谷で一番暑いところを探しにいく」という目標を設定。調査方法は至ってシンプル。 1.温度計をカバンにくくりつけ、 2.「ここ暑そう」ってところで止まって温度計を見る。 わかりやすい。では行ってみよう。
いざ渋谷へ
ヒカリエを出てまずはコンコースへ。もうこの時点で暑い。もう帰りたい。
とりあえず手すりの部分に温度計を置き、放置。
え、天気予報では34度って言ってなかった? 日光の照り返しがあると相当違うようですね。たぶんこれが最高記録なので、帰っていいかな。
若者の街は地獄だった
帰れないので調査を続けます。 ◎渋谷の顔、109前
若者たちの情熱が反映されたのか、暫定一位。おしゃれとは戦争だ。 この時点で既に綾鷹を飲み干しました。 ◎スクランブル交差点
温度計の表示が安定するまでに3分ほどかかるので5往復しました。
◎東急前
◎ABCマートの前
◎センター街
渋谷の魔力にとりこまれ、「暑い=正義」みたいな感じになってました。
ここまでのまとめ
ここまでの記録をランキングにしてみました。 1位 ABCマートの前にあった白い車の横 39.1℃ 2位 スクランブル交差点 38.7℃ 3位 109前 38.3℃ 他にもいくつか計測しましたが、やはり日光ががんがん照り返してくるところが強いです。 ちなみに電話ボックスの中は44.2℃で死にそうになりましたが、規格外なので除外します。
相棒、逝く
ハチ公に会いにきた。
お壊れになっていた。普段生ぬるい温度しか測ってこなかった彼に、東京の酷暑は荷が重すぎたようだ……。なんてことだ。 これはまずい。あと一時間ちょいで渋谷の要所をめぐって記事を書かなければいけないのに、このままでは 「一番暑いのはそう、私たちの心の中の情熱(パッション)だったんだ……」 みたいなフワッとした記事しか書けなくなる。 慌てて私は近所の100円ショップに飛び込んだ。
もう100均なんて信じない
優しい店員がすぐに場所を教えてくれ、アナログ式の温度計を購入。これで一安心。
まじかよ。105円くらい構わずにもう一個買うか、と思いながら拾い上げた。
魂の叫びが口をついて出てきた。この100円ショップにはこの種類の温度計しか無いらしいので、次の100円ショップへと走る(手持ち1000円)。
異様に軽いのが気になるが、無いよりはずっとましだろう。ゼロ思考で購入し、カバンにさしてから再び渋谷へ繰り出した。さあ、さっき測り損ねたハチ公前へ。
どうやら彼の世界は28℃から動かないらしい。 超エコ。
おわり
こうして私は温度計を失った。しかし、まだまだ目の前には燦然と照り返しが輝いている。残された道は一つしかない。
〜最終ランキング〜
1位 モヤイ像前 39.7℃ (体感) 2位 ハチ公前 39.5℃(体感) 3位 ABCマートの前にあった白い車の横 39.1℃(実測) 結論:猛暑の渋谷を4時間歩き通すと、人は正気を失い、温度計として開眼できる。