特集 2016年8月30日

桃が着ているアレはとても暑い

桃が着ているアレを着た。
桃が着ているアレを着た。
丸い果物についている白い網を腕につけたりして遊ぶのが子どもだとしたら、丸い果物についている白い網をちゃんと着るのが大人というものではないだろうか。
服を作ってちゃんと着たらすごく暑かった。
1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

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桃が着ている白い網

桃やメロンなどの丸い果物をお店で見ると、白いフカフカした網に包まれているだろう。
あの素材、子供の時にやけに魅力的に見えなかっただろうか。
この、桃が着ている白い網である。
この、桃が着ている白い網である。
腕にはめてみたり、
腕にはめてみたり、
意味もなく分解したりしなかっただろうか。
意味もなく分解したりしなかっただろうか。
あと、頭にかぶっておどけていた記憶もあるのだが、今やってみようとしたら桃のそれでは全然大きさが足りなかった。
もっと大きい果物の網をかぶっていたか、頭が桃くらい小さかったかのどちらかということになる。

フルーツキャップというらしい

あの白い網、フルーツキャップというそうである。
楽しげでかっこいい名前だ。
フルーツキャップ。

見ていたらまた腕につけてサイボーグになりきっておどけたくなったが、大人はそんなことはしない。
身につけるのなら、しっかりしたものを作って、かっこよく着こなすのが大人である。
ハットやヒゲと同じである。
子どもにとってはふざけるためのアイテムだが、大人はそれらを使って社会に向けて自分を表現する。
フルーツキャップで服を作ることにした。
まとめると、こうなる。
まとめると、こうなる。

フルーツキャップを買う

とりあえず、フルーツキャップを通販で買ってみる。
大分県から届いたフルーツキャップ100枚。送料別で566円。我慢できずにひとかたまり手に取ってから慌てて写真を撮った。
大分県から届いたフルーツキャップ100枚。送料別で566円。我慢できずにひとかたまり手に取ってから慌てて写真を撮った。
発泡素材用の糊で、
発泡素材用の糊で、
開いたフルーツキャップをちまちまつなげていく。服ができていくはずである。
開いたフルーツキャップをちまちまつなげていく。服ができていくはずである。

メッシュカーディガンじゃないか

つなげながら何かに似ているなという感触がずっとあった。
セレブな女性が引っ掛けている網のような上着である。
それはもう防寒という、服の大きな役割を一つ投げ出しているのではないかという、アレである。
アレとしか言えないのがもどかしい。

このもやもやを妻に話してみたら答えが出た。
「メッシュカーディガン」というのだ。
画像を見ていくと、かなりフルーツキャップに似ているメッシュカーディガンもいくつか見つかった。(メッシュカーディガンの画像検索結果
服の一大ジャンルにうっかり似てしまったのだ。
フルーツキャップで作ったメッシュカーディガンもかっこよくなることが約束された。

苦労が地味だ

フルーツキャップを開いてつなげる、を繰り返すだけなのだが、糊が乾くのに時間がかかるし服なんて作ったことないので、完成までに意外と苦労をした。
毎夜、仕事から帰ったら1~2時間フルーツキャップをつなげては寝る、という生活である。
間違えてSサイズを買ったのも痛い。
間違えてSサイズを買ったのも痛い。
袖の部分をどう作ったらいいか分からない。真横に伸ばしてみたがこれではたぶんダメだ。
袖の部分をどう作ったらいいか分からない。真横に伸ばしてみたがこれではたぶんダメだ。
「もう腕に連続ではめちゃえば袖っぽくなるのではないか。あ、これすごいいい思いつきなんじゃないか!」と思ってやってみたらなんだか変態っぽくなった。
「もう腕に連続ではめちゃえば袖っぽくなるのではないか。あ、これすごいいい思いつきなんじゃないか!」と思ってやってみたらなんだか変態っぽくなった。
ポリンキーみたいな切れ端。三角形の秘密は、本体と袖の接続部分を三角形にしたからである。
ポリンキーみたいな切れ端。三角形の秘密は、本体と袖の接続部分を三角形にしたからである。
作ってる途中でフルーツキャップが足りなくなりそうになり、もう100枚を追加発注。
作ってる途中でフルーツキャップが足りなくなりそうになり、もう100枚を追加発注。
結局、最初の100枚で服はできあがった。
ちょうどぴったり100枚くらいであった。
追加発注いらなかったのだ。

「フルーツキャップ100枚では、メッシュカーディガンは作れないのだ!」
と息巻いて急いで注文したが、今思うとこの専門用語だけでしゃべってるような感覚が気持ちよかったのだろう。

すごく暑い

できた。
できた。
できた。
苦労しただけに達成感もひとしおである。
特に最後の、作った部品をつなげると急激に服の形になっていくところはとても感慨深かった。
服なので、ハンガーにかける。
服なので、ハンガーにかける。
着るとこんな感じである。
着るとこんな感じである。
着てみると暑さにびっくりした。
発泡素材暑い!
こんなに暑かったら桃が腐ってしまうのではないかと一瞬心配になったが、桃に体温はないので暑いのは恒温動物である僕だけである。
冬のディズニーランドは海が近いので並の寒さ対策では歯が立たないと言われているが、このフルーツキャップでできたメッシュカーディガンがいいかもしれない。
それくらい暑い。
ダウンを着ているようだった。

そして、なんと、風が吹くと寒い。
メッシュなので留まった体温を簡単に風がさらっていってしまうのだ。
ディズニーランドはやはりダメかもしれない。
風が吹かなければ暑いが、寒い場所って大抵風が吹くから寒いのである。
難儀なアウターだということがわかった。

これはかっこいいのか

おしゃれな服というものは、大抵実用性に欠けているのだ。
おしゃれでかっこよければ暑かったり寒かったりしても構わない。
桃と一緒に写真を撮った。
桃と一緒に写真を撮った。
下にピンクのTシャツも着たので桃とペアルックということになる。
背面は、なかなか見ないシルエットになった。
背面は、なかなか見ないシルエットになった。
桃と一緒だとなんとなく絵になるのはなんなのか。
桃と一緒だとなんとなく絵になるのはなんなのか。
桃との対話だ。
桃との対話だ。
しかし服がおしゃれなのかどうかがよく分からない。
とりあえずサングラスをかければおしゃれなんじゃないかという安易な方向に。
とりあえずサングラスをかければおしゃれなんじゃないかという安易な方向に。
サングラスをかけてみたらメッシュカーディガンが、肩パットの入ったジャケットに見えてきた。
カーディガンっぽさはないが、おしゃれと言っても構わないような気がする。
桃も褒めてくれるかもしれない。
桃も褒めてくれるかもしれない。
服を作りながらずっと考えていたポーズ。
服を作りながらずっと考えていたポーズ。
ファッション誌の表紙っぽくもなる。やはりおしゃれということだ。
ファッション誌の表紙っぽくもなる。やはりおしゃれということだ。

風が吹かないと暑い。風が吹くと寒い。

フルーツキャップでできたメッシュカーディガンは、保温効果はすごいのに風通しが良すぎる。
この特徴を活かして今までにないことができそうな気がするのだが、気のせいかもしれない。
奇抜な服でサングラスで球をたくさん持っていてヘブンアーティスのようだった。いっそのこともう、ヘブンアーティストっぽい写真を撮ってしまえと言って撮った写真。
奇抜な服でサングラスで球をたくさん持っていてヘブンアーティスのようだった。いっそのこともう、ヘブンアーティストっぽい写真を撮ってしまえと言って撮った写真。
[ピンク]×[フルーツキャップ]×[サングラス]なので僕と同一人物の何か。
[ピンク]×[フルーツキャップ]×[サングラス]なので僕と同一人物の何か。
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