特集 2016年8月29日

みりんでプリンを作ると結構うまい

みりんを使ったプリン。カラメルもみりんを使用。思った以上にうまかった。
みりんを使ったプリン。カラメルもみりんを使用。思った以上にうまかった。
みりんは蒸したもち米に米麹を混ぜ、焼酎や醸造用アルコールを加えて2か月ほど熟成させて作られます。時々、日本酒をほったらかしておくとみりんになるなんて事を言う人がいますが、そんな事はありません。

そして、みりんを舐めると割と甘いです。酒屋で売っているような本格みりんは、飴を舐めているぐらいに甘味があります。

料理の際にコクや照り、甘味をつけるみりんですが、それだけ甘いとお菓子を作る際に砂糖代わりにも使えるはず。実際に作って味を確認してみました。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

前の記事:牛乳やラードで作る軍隊式の甘いクリーム

> 個人サイト 酒と醸し料理 BY 工業製造業系ライター 馬場吉成 website

昔はお菓子としても消費されていた

以前「ミリンの焼酎割りが旨いとは思わなかった」という記事で「本直し(柳蔭:やなぎかげ)」という飲み物を紹介しています。その昔、みりんは飲み物としても消費されていました。
その後色々試して、いいちこ、みりん、ソーダを1:1.5:2で混ぜてレモン果汁を少々入れると丁度よく美味しかったです。
その後色々試して、いいちこ、みりん、ソーダを1:1.5:2で混ぜてレモン果汁を少々入れると丁度よく美味しかったです。
そして、みりんを作る際に出る搾りかす。これは料理に使われるだけでなく、お菓子代わりにそのまま食べる事があったそうです。
こぼれ梅。「みをつくし料理帖」という小説の「みくじは吉 麗し鼈甲珠」という話にも出てきます。
こぼれ梅。「みをつくし料理帖」という小説の「みくじは吉 麗し鼈甲珠」という話にも出てきます。
こちらがみりんを搾った際に出る搾りかす。「こぼれ梅」です。ほろほろと崩れやすく、その形が満開の梅の花に似ているということでこの名前がついています。
米粒が結構のこっている。
米粒が結構のこっている。
食べると口の中で柔らかく崩れ、よくある日本酒の酒粕と比べるとかなり甘く感じます。しっとりとした落雁を食べているようです。
みりん飴。みりん、こぼれ梅の他、砂糖と水飴もつかっています。懐かしい甘さ。
みりん飴。みりん、こぼれ梅の他、砂糖と水飴もつかっています。懐かしい甘さ。
他にもこんな物も市販されています。みりん飴です。みりんとこぼれ梅を使った飴です。べっこう飴をもっとスッキリさせたような甘さで、懐かしい味がします。

このように、みりんはお菓子ポテンシャルが大変高い調味料なのです。

砂糖を全てみりんに変えてのプリン作り

ということで、みりんでお菓子を作ってみます。ネットで調べると、お菓子作りの甘味にみりんを使用しているものは幾つかありました。その中で今回試しに作ってみるのはプリンです。
頻繁にプリンを作っているので作るのには慣れています。
頻繁にプリンを作っているので作るのには慣れています。
プリン作りに使う砂糖を全てみりんに変えて作ります。下に入るカラメルも砂糖を使わずみりんで作ります。どのぐらいがいいのか分からないので、予想で以下の分量を使います。
プリン(6個分)
卵 全卵6個(1個あたり卵黄20g、卵白40gの量)
牛乳 450ml
みりん 200ml
バニラエッセンス 大さじ1.5

カラメルソース
みりん 100ml
醤油 大さじ1
砂糖を使って作る時よりもやや牛乳を減らしてみました。カラメルソースは焦げた感じが出るように少し醤油を足してみます。
これに水飴やグラニュー糖を入れて煮詰めるとカンロ飴風の物が出来るそうです。
これに水飴やグラニュー糖を入れて煮詰めるとカンロ飴風の物が出来るそうです。
まずはカラメル作り。みりんに醤油を入れて煮詰めます。通常のカラメルは砂糖に水を加えて煮詰めて作ります。

砂糖に水を加えて煮ていくと徐々に茶色く変わります。やがて泡が細かく沸いてくる状態に急に変化するので、火を止めて鍋底を水に触れさせ色の変化を止めます。手早く容器に流し入れれば出来上がりです。
どこまで煮詰めていいのか、元々茶色いのでよく分からない。
どこまで煮詰めていいのか、元々茶色いのでよく分からない。
しかし、みりんは元々茶色く、砂糖のように煮詰めても粘ったような状態になかなかならないので、どの程度に詰めていいのかよくわからない。
通常のカラメルはそのまま置いておけば固まるので冷凍庫に入れる必要はありません。
通常のカラメルはそのまま置いておけば固まるので冷凍庫に入れる必要はありません。
弱火でゆっくり煮詰め、細かい泡が吹き上がってきたところで火を止めました。それを器に入れ、冷凍庫にしばらく入れて固めてみます。
プッチンプリン方式のカラメルの入れ方も考えましたが、確実な方法を選択。
プッチンプリン方式のカラメルの入れ方も考えましたが、確実な方法を選択。
砂糖で作る通常のカラメルのように固まったので、カラメル作りはこれでよしとします。続いてプリン液作り。
全卵6個分と書いていますが、実際は卵黄と卵白を分けてから必要量を量って混ぜています。
全卵6個分と書いていますが、実際は卵黄と卵白を分けてから必要量を量って混ぜています。
プリン液作りでは、卵に牛乳、煮切ってアルコールを飛ばしたみりん、バニラエッセンスを入れて混ぜます。砂糖を使う時は牛乳を温めますが、みりんなので冷たいまま混ぜ合わせます。
プリン液表面の泡はサランラップを乗せて引き上げると簡単にとれます。
プリン液表面の泡はサランラップを乗せて引き上げると簡単にとれます。
ある程度まぜたら一度プリン液を濾します。混ぜて濾す作業は、普段プリンを作る際と同じように3回繰り返しています。
カラメル部分とプリン液が上手く分離した。固まったカラメルは焼いている間に元の液体状に戻ります。
カラメル部分とプリン液が上手く分離した。固まったカラメルは焼いている間に元の液体状に戻ります。
プリン液の撹拌が終わったら、表面の泡をとって先ほどのみりんカラメルが入った容器に入れます。
湯煎のお湯は、プリン液の入っている高さまで入れるとすが入らなくなります。
湯煎のお湯は、プリン液の入っている高さまで入れるとすが入らなくなります。
続いて容器に入れたプリンを湯煎焼きします。焼く温度は普段のプリン作りの際と同様に120度前後の低温で、1時間以上かけてゆっくり焼いています。
150度ぐらいにして30分ほどで焼くのが多いですが、低温で時間をかけて焼くと舌触りがよくなるのでそうしています。
150度ぐらいにして30分ほどで焼くのが多いですが、低温で時間をかけて焼くと舌触りがよくなるのでそうしています。
湯から取り出して容器の側面を軽く叩き、全体が揺れるような硬さに焼き上がれば出来上がりです。

皿に出してみます。
皿の上でも形を保つ確かなかたさ。
皿の上でも形を保つ確かなかたさ。
見た目は通常のプリンと比べると、全体的に茶色がかった色がついています。香りは卵の香りよりも、キャラメルのような、黒糖を少し焦がしたような甘い香りを強く感じます。
スプーンの上でも形を保つ確かなかたさ。
スプーンの上でも形を保つ確かなかたさ。
スプーンですくってみると、かたいタイプのプリンではありますが、弾力は通常の物よりも弱めに感じます。みりんを使った分、水分量が増えた為かもしれません。

では、食べてみます。
ほう、なかなかうまいね。
ほう、なかなかうまいね。
みりんプリンは思っていた以上にしっかりと甘味が感じられ、なかなかうまいです。通常の砂糖の甘さとは違い、みりんを舐めた時に感じる、べっこう飴のような少しクセのある焦げた甘さを感じます。

カラメルはほろ苦いというよりも、甘じょっぱい感じ。これはこれで美味しく、和風カラメルソースと言えるかもしれません。みりんプリン本体とも合います。

全体として、やや甘さに物足りなさを感じ、玉子感が砂糖を使った場合よりも薄まる感じはありますが、素朴な味わいのプリンとして十分に美味しい味です。

みりんで作るプリン。アリです。

もう少し調整すれば更に美味しくなりそうだ

みりんプリンは、もっと茶碗蒸しを甘くしてしまったような変な味になるかと思っていたものの、しっかりプリンとして美味しい出来上がりになっていました。

今回はなんとなくの予測で分量や焼き時間などを決めたので、これをベースに更に調整すればかなり美味しいみりんを使ったプリンが出来そうです。

今後試作を重ねてみます。
先日行った夏のコミケで購入した「みりんの飲み方 弐」というみりんレビュー本では、こぼれ梅やみりん飴だけでなく、各種みりんと共にみりんを牛乳で割る飲み方が紹介されていました。今度やってみるか。
先日行った夏のコミケで購入した「みりんの飲み方 弐」というみりんレビュー本では、こぼれ梅やみりん飴だけでなく、各種みりんと共にみりんを牛乳で割る飲み方が紹介されていました。今度やってみるか。
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