特集 2012年10月24日

きなこねじりブームの謎に迫る

きなこねじりが異様なまでに種類展開していたのは、見間違いだったのか?!
きなこねじりが異様なまでに種類展開していたのは、見間違いだったのか?!
近所のコンビニで、きなこねじりが異様に充実していた。軽く6種類はあったと思う。

きなこ、じゃない。きなこねじり、またはきなこ棒といわれるあれだ。きなこを水あめや砂糖で練ったお菓子である。

お菓子としては「昔ながらの駄菓子」枠ということでいいと思う。おいしくて私などは好物といっていいくらい好きだが、いってしまえば地味だ。

それが、唐突に妙な種類展開をみせつけていたのである。すわ、ブームか。
東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

前の記事:実は毎日「地獄の黙示録」

> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

ナチュラルローソンで捕捉

その6種類のきなこねじり(ここでは「きなこ棒」など似たものは全部「きなこねじり」としますぞ)を見かけたのはあるナチュラルローソンでだった。

ただきなこを飴で練ったものにどうして6種類も、とみればフレーバー展開している。
上から2段目がすべてきなこねじりである。現在では5種類の展開に落ち着いていたが、それでも5種類あるのだ
上から2段目がすべてきなこねじりである。現在では5種類の展開に落ち着いていたが、それでも5種類あるのだ

きなこねじり「ごぼう味」

上の写真の左端は「オホーツクの塩入り」というもの。いわゆる塩スイーツだ。さらにその隣は「ごぼう味」である。

きなこねじり、ごぼう味。いったいなにがあったんだ、社長代わったのか。そうか、息子が継いだんだな、などと勝手な推測をしたあとで、かりんとうを思い出した。

そうだ、数年前にかりんとうの有名店が きんぴらごぼう味を出して話題になったのだ。

それを狙ったのかどうかは分からないが、食べてみるとこのきなこねじりごぼう味はやはりきんぴらごぼうの味であった。
一味唐辛子を入れているところもきんぴらを狙っているとしか思えない(当サイト10周年企画の際にもネタにもしました)
一味唐辛子を入れているところもきんぴらを狙っているとしか思えない(当サイト10周年企画の際にもネタにもしました

ユーグレナきなこねじりってなに

さらに、以前この店ではなんだか異彩を放っつものもあった。「ユーグレナきなこねじり」である。
「世界を救う?! 未来の食べ物!」と、きなこねじりの袋に書いてある文とは思えないテンション
「世界を救う?! 未来の食べ物!」と、きなこねじりの袋に書いてある文とは思えないテンション
パッケージを確認すると、ユーグレナとはあのミドリムシのことらしい。

食用ミドリムシといえば優れた栄養素で話題の食材。当サイトでもカレーに使った試食貝にライター榎並さんが参加していた(記事「食用ミドリムシの旨さにおののく」)。

それがまさかきなこねじりの世界にとびこんできているとは。パッケージもやる気に満ち溢れている。そしてそのやる気がどこか独自である。
パッケージ右下の図
パッケージ右下の図
パッケージ右下の「ユーグレナのすじりもじり運動」と書かれた図があるが、これがなかなかに何がなにやらだ。

何がなにやらではあるし、「すじりもじり」という言葉は初めて聞いたのに、なんとなくその様が浮かぶのが悔しい。

下には「移動はきなこねじりの様に体をねじりながら……」ともある。

なぜここできなこねじりに言及を。ごまをすっているのか。いやまさか「ユーグレナのすじりもじり運動」を説明するためにきなこねじりを作ったというのだろうか。
味は普通のきなこねじりでおいしく、なにもいえなくなる
味は普通のきなこねじりでおいしく、なにもいえなくなる
なにしろ、ごぼう味にミドリムシ入りと、きなこねじり業界が話題豊富なことになっているのは確かなのだ。

ブームなのこれ

ナタデココ、ティラミス、パンナコッタなど時代ごとにブームになるスイーツというものがあるだろう。

最近では昔ほど一世をふうびするものはないようにも感じるが(2011年は焼きドーナツブームだったらしいが、言われてもあまりピンとはこない)、もしかしてそのブーム枠にきなこねじりが座ろうとしているのだとしたら駄菓子界からの結構な下克上である。

私たちのきなこねじりが、並み居る派手な洋菓子をけちらす。個人的にはやったれ! という気持ちでいっぱいだ。応援したい。

スーパーにもたくさんあるだろうか

もし本当にきなこねじりがブームなのであれば、スーパーにも並んでいるはず。探しに行ってみよう。
1種類。そうですか…
1種類。そうですか…
見てきたのは新鮮な魚と激安野菜が目玉のスーパー。お菓子コーナーも充実しているのだが、きなこねじりは一種類だった(そしてこの写真にある「ゆかり堂製菓」はこのあと訪れたスーパーで高確率で販売されていた。株を買おう)。

しかも同じきなこ菓子である五家宝が、写真では左隣に写っているだけだが下にも種類展開していたのだ。きなこねじり、ブームどころか、きなこ枠でも他に負けている。

甲子園狙ってたと思っていたら地区大会1回戦で負けるなんて、あたしどんな顔してあんた見ればいいのよ。

駄菓子屋コーナーにもないなんて

さらにもう1件、地元の普通のスーパーにきてみた。

ここのスーパーにはお菓子売り場に子ども向けの駄菓子のコーナーがある。こういうところにはよく小さなパックのきなこねじりを見かけるが、どうだろう。
こういうコーナー
こういうコーナー
たぶんあるだろうくらいの上から目線で探したら、ない。まじか。

ぎりぎりできなこねじりを発見したのは、さきほど同様よりあい菓子的なものが並ぶ大人向け駄菓子のコーナーだった。ここでは五家宝の取り扱いがない。逆転だ。

しかしそれこの手のお菓子のベストセラーである甘納豆、寒天ゼリーなどは余裕の数種類展開。

甲子園どころか、チーム内でレギュラーに選ばれていない補欠状況なのではないかこれは。
見つけたのはやはり1種類
見つけたのはやはり1種類
きなこねじりブームについてのメモ
普通のスーパーでは展開が認められず
ナチュラルローソンにあったのだから、ローソンにならあるんじゃないか
ナチュラルローソンにあったのだから、ローソンにならあるんじゃないか

うすうす分かってた、ローソンには置いてないって

さてローソンである。いきなり言うときなこねじりの取り扱いはなかった。棚で幅を利かせるのはナチュラルローソンでの負けを取り返すかのようにどら焼きが3種類。

残念だが、さもありなんと気持ちは穏やかだ。スーパーのときのような悔しさは感じない。

うすうす気づいていたのだ。きなこねじりはナチュラルローソンだからある。ローソンにはない。
きなこねじり、つけ入る隙なし
きなこねじり、つけ入る隙なし

きなこねじり=ナチュラル

ナチュラルローソンというと、美容や健康、ちょっと違うが地球環境を考えたとか、ちょっとポリシーのあるものを置いてある印象だ。

そこへきなこねじり、だったのだ。ナチュラルローソンをナチュラルたらしめる、きなこねじりはその要素だったのである。

豆腐だとかごまだとか雑穀だとかと、きなこだったら堂々肩を並べられる。その意味ではきなこは文句なしでレギュラー選手である。さっきは補欠だなんていって悪かった。

切り口はきなこ=昔ながら、ではなく、きなこ=健康、だったのだ。

バーン! と言ってみたが、わりと最初から分かっているようなことだった。
きなこねじりブームについてのメモ
きなこねじりはローソンにはない。きなこ=健康=ナチュラル=ナチュラルローソンには、ある。

高級スーパーを攻める

ローソンにないけれど、ナチュラルローソンにはある。

これは、スーパーにはないけれど、高級スーパーにはあるということなのではないか。

引き続き高級スーパーできなこねじりブームを追いたい。いや、追わせてくださいもう少し。きなこねじりの勇姿が観たいのだ。
まずは中堅高級スーパーの地位を守る、クイーンズ伊勢丹
まずは中堅高級スーパーの地位を守る、クイーンズ伊勢丹
うーむ、1種類
うーむ、1種類
クイーンズ伊勢丹は郷土駄菓子なども取り扱っているため期待していたのだが、1種類にとどまった。

これは困ったぞ。ここまで各スーパーをまわりながら、きなこねじりがあるコーナーに必ずある羊羹巻きに気をとられそうになっているのだ。次の店できなこねじりがなかったらもう羊羹巻き買うよ。レギュラー交代だよ。

しかし次の店ではそんな羊羹巻きへの思いもそぐ意外な展開が待ち受けていたのだ。
高級本気度上がりまして、ザ・ガーデン自由が丘
高級本気度上がりまして、ザ・ガーデン自由が丘

まさかの黒糖ブーム到来

なんとこの店では、きなこをしのいで黒糖のお菓子が4種類を展開する事態になっていた。

きなこねじりもこれまででは多い2種類を展開していたが、黒糖4種類には勝てず皮肉な結果になってしまっている。

大型ライバル登場だ。
中段、中央の4種類が全部黒糖がらみである
中段、中央の4種類が全部黒糖がらみである
きなこねじりは分かりやすく隅っこに2種類
きなこねじりは分かりやすく隅っこに2種類
店頭のレイアウトとしてもびっくりするほど黒糖に完敗である。

今まで日々を暮らし、食べ物を食べて生活するなかで意識したことはなかったが、きなこのライバルは黒糖だったのだ。

きなこねじりブームは終わったのか。いや、始まっていないのか。
これで最後だ。約束の場所、紀伊国屋で決着をつけよう
これで最後だ。約束の場所、紀伊国屋で決着をつけよう

これから私の顔の真ん中かが黒くなります!

紀伊国屋のこの店舗は度々ひやかしに来ては、1品2品、気になったものをつつましく買わせてもらっている。郷土の駄菓子的な商品が豊富に展開されていることは十分承知だ。

ここでならきなこねじりブームもナチュラルローソンばりに巻き起こっているはずなのだ。
い、1種類?!
い、1種類?!
そ、そんなわけが。
でかい写真でみても、やっぱ1種類!
でかい写真でみても、やっぱ1種類!
ゴーン
ゴーン

ドラマチックな写真が撮れるカメラがあってね

ついカッとなって私の顔のまんなかが黒くドラマチックになっている写真を載せてしまった。オリンパスのデジカメにそういう写真が撮れる機能がついているんですよ。いやあ。

違う! カメラの話じゃないんだ! きなこねじりなんだ!
きなこねじりブームについてのメモ
高級スーパーにならきなこねじりがたくさんあると思ったら大間違いである。しかし黒糖が幅を利かせていたところをみるときなこにチャンスが回ってくるかもしれない。

ナチュラルローソンも幻だったのか

高級スーパーでもきなこねじりは静かであった。ここまでくると、冒頭に載せたナチュラルローソンも不安になってくる。

もしかしたら、一店舗できなこねじりが大量販売されているだけなのかもしれない(それならそれで、なぜそうなったのか興味はある)。

別のナチュラルローソンにもいってみよう。
魚民に擬態するという意外なナチュラルローソン
魚民に擬態するという意外なナチュラルローソン
4種類あった! 例のユーグレナきなこねじりもあるぞ
4種類あった! 例のユーグレナきなこねじりもあるぞ
4種類と若干振るわないでもないが、どら焼きの3種類には勝った。

やはりナチュラルローソンはきなこねじりを推しているのだ。これだけ見れば、すわ、ブームかと思わずにはいられないじゃないか。

本稿はタイトルを「きなこねじりブームの謎に迫る」としたが、これでその謎は解けたといえるだろう。
謎は、解けた
謎は、解けた

ナチュラルローソンではきなこねじりが大ブーム

また断りも無くカメラに頼ったドラマチックな写真を差し込んでしまったが、つまり、世間ではなくナチュラルローソンできなこねじりが大ブームだったのだ。ブームというより、推しているということか。

このまま推し続けてくれればこれからブームとして盛り上がる可能性もあるわけだ。

もしナチュラルローソン以外の場所できなこねじりが大量展開をはじめたら、また駆けつけよう。
きなこねじりを頼んだ、(魚民みたいな)ナチュラルローソン!
きなこねじりを頼んだ、(魚民みたいな)ナチュラルローソン!
きなこねじりブームについてのメモ
やはりナチュラルローソンにはきなこねじりがたくさんあった。今後も引き続き展開してくれたら、ブームになるかもしれない。

まさかこんなにきなこねじりが流行っていないとは

実は、今日の今日まで本気できなこねじりがブームになっていると思っていたのだ。まさかここまで それほどでもないとは。

今日は急遽デイリーポータルのこの記事枠がもらえることになったので、秘蔵のネタの裏づけをとるべく走り回って探したのだが、意外であった。

ナチュラルローソンだけでもたくさんきなこねじりが置いてあってよかった。記事も危ないところであった。ありがとう、ナチュラルローソン。あと、きなこねじり。あと、オリンパスのカメラ。
きなこねじりの種類が少なくてがっかりすると人の顔、もう1枚撮れてました
きなこねじりの種類が少なくてがっかりすると人の顔、もう1枚撮れてました
▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ