特集 2016年6月27日

早ければ今週末にも西日本で梅雨明け? あと出し天気予報

梅雨前線の南側、雲のないエリアが太平洋高気圧。西のほうで北にパワーアップしはじめてる?
梅雨前線の南側、雲のないエリアが太平洋高気圧。西のほうで北にパワーアップしはじめてる?
1週間の天気予報を振り返って当たったかどうかを検証する週1連載。
勝敗とその理由を振り返ります。はたして今週の成績はどうだったのか。

(本連載は振り返りが中心で、詳しい予報は行っていません。予報が見たいかたはウェザーマップなどの専門サイトをどうぞ)
1977年滋賀生まれ。お天気キャスター。的中率、夢の9割をめざす気象予報士です。 好きな言葉は「予報当たりましたね」。株式会社ウェザーマップ所属。
ツイッターでも気象情報やってます。(動画インタビュー)

前の記事:今週は梅雨前線が本気で仕事をします ~あと出し天気予報

> 個人サイト ウェザーマップ・増田雅昭 ツイッター @MasudaMasaaki

1週間を振り返る(東京都心周辺)

1週間を振り返る(東京都心周辺) 予報は前日夜にこちらでやってます。
1週間を振り返る(東京都心周辺) 予報は前日夜にこちらでやってます。

梅雨にしては善戦したのですが…

先週は、大ハズレはなかったけど、いまいち当てきれなかった△の日が4日も。

飲食店のメニューで言うなら、ひどくマズい料理はないけれど、「おいしい!」と言える料理がメニューの半分もない状態。
それって、ピンチな店か…。

敗因は、梅雨前線の雲。
ちょうど本州付近をウロチョロして、離れそうで離れない。
だから、雲の出入りがはげしく、一日の中でもコロコロ天気が変わってしまう。

雨が降るかどうかより、どれくらい晴れるか、どれくらい曇るかをピッタリ当てるほうが、むずかしいとも言われる。

「予報ハズレた!」と厳しいお叱りはいただかなかった先週だが、それって、梅雨の予報へのあきらめじゃないですよね…
気象予報士は、お叱りをもらわないと心配になる職業。あれ、それでいいんだっけ?。
気象予報士は、お叱りをもらわないと心配になる職業。あれ、それでいいんだっけ?

1時間150ミリの豪雨を観測しました

熊本県の甲佐町では、20日(月)~21日の夜中に、1時間に150ミリの豪雨を観測。
これまでの気象庁による国内の観測で、歴代4位の豪雨だった。
昔と統計の取り方が少し違うが、いずれにしても、かなりの豪雨。

梅雨の終盤は、豪雨が起こりやすくなる。
でも、時期的にまだ中盤。
だから、まだ終盤にかけて、豪雨が起こりやすくなるはず。

…といった解説が、熊本の豪雨のあとにされていたが、もっと素直に考えてもいいのかも。

「今回の豪雨は、中盤ではなく、じつはもう終盤だった」なんてことは、あり得る。

子供と思っていたのに、いつの間にか大人になっていた的な、展開の早い梅雨に今年はなるのか?

【今週のみこみ】九州など西日本で梅雨が明けるかに注目!

今週前半は、先週と同じように、梅雨前線が九州~本州あたりをウロチョロ。
雨が降りやすく、九州など西日本では、大雨があってもおかしくない状況。

ところが、週末になると、夏をもたらす太平洋高気圧が、西のほうからパワーアップ。
梅雨前線を、北へ持ち上げる。

九州南部は、太平洋高気圧の圏内に入って、そのほかも太平洋側を中心に、晴れて暑くなるところが多い。
19日(日)の雨の予測。梅雨前線の雨雲は九州~本州に。沖縄はいよいよ?
上空約5500m付近の天気図。赤いエリアが太平洋高気圧。週末、西日本に張り出すか?
もし、来週、梅雨前線が戻って来ないことが分かれば、九州など西日本は今週末に梅雨明けの可能性も出てくる。

西日本で梅雨明けするところが出てくるのか?結果は来週!

ちなみに、この記事のタイトルの「早ければ」という保険に気づいたあなたは、気象情報の読み方の中級者です。
!
今週の格言
『「梅雨明け」は先読み情報。梅雨前線が戻ってこないことが確信に変わらないと発表されない』

詰め天気

前回(6/13)の出題は、「このあとの東京は、どんな天気だったでしょうか?」でした。

選択肢はこの4つ。
1)寒冷前線の端がかかって雷雨
2)寒冷前線の端がかかってミゾレ
3)高気圧に覆われて湿度が5%に
4)高気圧に覆われて濃いキリ
気象庁天気図。2007年7月29日。
気象庁天気図。2007年7月29日。
正解は1)でした。

この日の東京は、曇りなのに、30℃を超える蒸し暑さ。 この天気図のあとは、南下してきた寒冷前線の端がかかって、激しい雷雨になりました。

西や北にある高気圧は、関東に近づく気配もなく、東京周辺は、気圧の低い部分が、天気に影響を与える状況でした。

また、等圧線の少なさ、南に熱帯低気圧があることなどから、季節は冬や春先ではないことが分かり、2)のミゾレは消えます。

ちなみに、この日は前々回の参院選の日。今年の参院選は、将来の詰め天気に取り上げるような天気になるのでしょうか?

「気圧の谷にあたり、隠れた寒冷前線が北東から関東平野まで伸びていた。また、東京は低気圧の暖域にあり、気温は高めだったと思われる。 そのため、寒冷前線通過の際に雷雨となった。(ベルヌーイさん)」

おみごとです!!

「答えは1)増田さんのように親切な予報士さんだと、点線で関東付近まで線をつないでくれるパターンですね。(つば九郎さん)」

そこまで読み切ってますかー。すばらしい!

「2番だと思います。 高気圧の外を伝って降りてくる寒気で東北関東は寒かったんじゃないかなぁ(つっきー@TKさん)」

たしかに、寒冷前線が通過すると、気温が下がりますし、北の高気圧からは冷たい空気が来ることもあるんですが、今回はミゾレの季節ではなかったんです。

「気圧配置を見ると、な、何でしょうか、この長く伸びた低気圧の等圧線は...ここは残念ながら消去法でいきます。3)(はいまっとさん)」

はいまっとさん、今回は苦戦でしたか。うーん、残念。


「3番!高気圧がいっぱいあるから!!笑(cooailさん)」

そういう思いっきり、大事ですよー!


今週の定石はこちら。
今週の定石
『寒冷前線は南下する。寒冷前線がかかりそうなら雷雨をうたがう』
今回、正解した皆さんはこちら。

naraoさん、ベルヌーイさん、klempさん、hojihさん、つば九郎さん、メロポンさん、 れれれの社長さん。

おめでとうございます!

今回は正答率がかなり低く、いつもよく当てている常連さんも苦戦でした。

はじめて解答してくださったかたもいましたが、ふだんは、こんなにむずかしくないですよー。 再チャレンジ、お待ちしています!

今週の問題はこちら。

今週の問題

この日の名古屋は、どんな天気だったでしょうか?
気象庁天気図。朝
気象庁天気図。朝

(ヒント)

・高気圧はどこにあるでしょうか?
今回はひさびさに、選択じゃない問題です。

解答はこちらから↓
答えを選んだ理由などとともにお願いします。
正解は再来週(7/11)に!
編集部より:増田さんへの質問を募集しています。投稿はこちら。


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