特集 2012年8月10日

食用ミドリムシの旨さにおののく

これがミドリムシのカレーだ
これがミドリムシのカレーだ
以前、取材をしたとある会社から「カレーの試食会」に招待された。といってもふつうのカレーではなく、なんでもミドリムシを使ったカレーなんだそうだ。ミドリムシってあのミドリムシか? 理科の教科書とかに載ってたあの緑色のアイツなのか?

いったいどんな味がするんだろうか? デイリーポータルZ屈指の食いしん坊として、これは参加せねばなるまい。
1980年生まれ埼玉育ち。東京の「やじろべえ」という会社で編集者、ライターをしています。ニューヨーク出身という冗談みたいな経歴の持ち主ですが、英語は全く話せません。

前の記事:江戸川区のスカイツリー「船堀タワー」の10の魅力

> 個人サイト Twitter (@noriyukienami)

ミドリムシカレーとは何ぞや

ちなみにカレーは筆者の大好物のひとつ。これまで様々なお店を食べ歩いてきた。だが、ミドリムシのカレーというのは初耳だ。想像もつかない。
カレー大好き!
カレー大好き!

一流商社の社員食堂へ

件のカレーが食べられるのは大手総合商社として知られる伊藤忠商事。こちらの社員食堂の新メニューとして8月からミドリムシ入りのカレーが登場するというのだ。
言わずと知れた七大商社の一角
言わずと知れた七大商社の一角
東京・青山の一等地にオフィスがドーン!
東京・青山の一等地にオフィスがドーン!
とりあえず記念撮影
とりあえず記念撮影
さすがは誰もが知る有名企業。立派なビルである。こんなところに就職したら親は泣いて喜ぶだろう。
一流商社に7分丈で乗りこむ
一流商社に7分丈で乗りこむ
試食会場は地下1Fの社員食堂
試食会場は地下1Fの社員食堂
高まる期待
高まる期待
申し遅れたが、ぼくを招待してくれたのは「ユーグレナ」という会社。ユーグレナはミドリムシを使った様々な食品を開発し、現在注目を集めているベンチャー企業だ。ちなみにユーグレナはミドリムシの学名である。
ミドリムシを独自の技術で粉末にしたもの。見た目的にはほぼ抹茶
ミドリムシを独自の技術で粉末にしたもの。見た目的にはほぼ抹茶

なぜミドリムシなのか?

では、なぜミドリムシなのか? じつはミドリムシは野菜・魚・肉に含まれる59種類の栄養素を備え、成人に必要なアミノ酸全てをバランスよく摂ることができる優れた栄養食品なのだという。その豊富な栄養価は、国内外の大学や研究機関などで古くから注目されてきた。

ユーグレナでは2005年に世界で初めて食用ミドリムシの野外大量培養に成功。以後、ミドリムシを使ったクッキーやサプリメント、お茶、コメなどを開発してきた。
こちらは「ユーグレナ(ミドリムシ)カンパン」
こちらは「ユーグレナ(ミドリムシ)カンパン」
優れた栄養価は非常食にぴったり
優れた栄養価は非常食にぴったり
そんなユーグレナの新作メニューがミドリムシを使った「みどりカレー」。この程、数年前からユーグレナの取り組みを支援する伊藤忠商事の社員食堂にて提供されることになったというわけだ。
早く食べたい気持ちをおさえて資料を読み込む
早く食べたい気持ちをおさえて資料を読み込む

試食の前にミドリムシについてお勉強

ところで当方、この日は朝から何も食べずにスタンバイしてきたため既に腹ペコである。早く食べたい。おかわりとかあるのかなあ。

だが、「働かざるもの食うべからず」ということで、まずはマジメに取材をしよう。
いったんカレーのことは忘れ、説明を真剣に聞く
いったんカレーのことは忘れ、説明を真剣に聞く
そうそう、マジメにね
そうそう、マジメにね
ん?
ん?
おっと、いけねえ
おっと、いけねえ
カレーが楽しみ過ぎて思わずカレーの絵を描いてしまったが、そうこうしているうちにスライドによるミドリムシの解説が始まった。
これがミドリムシ。そうそう、こんなだったよね
これがミドリムシ。そうそう、こんなだったよね
誤解されがちだがミドリムシは「虫」ではなく藻の仲間なのだ
誤解されがちだがミドリムシは「虫」ではなく藻の仲間なのだ

ミドリムシは虫じゃない

その呼称から「虫」の一種だと思われがちなミドリムシ。だがじつはワカメなどと同じ「藻」の仲間なのだという。しかし、青虫とミドリムシを混同し、食品として抵抗感を抱く人も少なくないようだ。その誤解をぜひとも解きたいとユーグレナの出雲社長は語る。ぼくもえなりかずきによく間違えられるので、その気持ちは分かる。
ミドリムシは沖縄の石垣島で培養されている。なんと1カ月で1匹が10億匹に増えるとか
ミドリムシは沖縄の石垣島で培養されている。なんと1カ月で1匹が10億匹に増えるとか
ミドリムシの魅力を語る出雲社長
ミドリムシの魅力を語る出雲社長
ちなみに伊藤忠商事の社員食堂は、途上国の食糧問題に取り組むNPO法人「TABLE FOR TWO」と提携していて、社員がみどりカレーを購入すると1食あたり20円がアフリカの子供の給食費として寄付される。ミドリムシで社員の健康を支えつつ、飢餓に苦しむ子供たちも救うという素晴らしいプロジェクトなのだ。

その共助の精神に感動するとともに、己の食いしん坊を恥じた。
感動した
感動した

いよいよ試食

するとほどなく「では試食会に移ります」のアナウンスが。先ほど己の卑しさを恥じたばかりだが、いざ食べられるとなるとやはりワクワクしてしまう。
さあ、食うぞ~
さあ、食うぞ~
待ちに待った試食タイム。なんせこっちは朝メシ抜き。少なくとも3杯はたいらげる構えである。そう思った矢先、信じられないアナウンスが。

「試食は小皿でお配りします」
なぬっ!!
なぬっ!!
…
うん、小さいね。想像の5倍小さいね。
しかし、肝心なのはそのお味。果たして
しかし、肝心なのはそのお味。果たして
ンマ~!
ンマ~!

社員になりたい

スパイスの効いたエスニック系のカレーである。ミドリムシの味はあまり感じられないが(そもそもミドリムシの味自体を知らないけど)、グリーンカレーとしてふつうにおいしい。これが毎日食べられる伊藤忠の社員がうらやましい。便所掃除でいいんで雇ってくれませんかね。
ごちそうさまでした
ごちそうさまでした
おかわりないですか?
おかわりないですか?
ちなみに普通のキーマカレーもおいしそうだった
ちなみに普通のキーマカレーもおいしそうだった

けっきょくミドリムシってどんな味なのか

カレーのおいしさに気を取られ、微細な味の分析を怠ってしまった。ミドリムシって結局どんな味がするんだろうか? ミドリムシの粉末を特別に舐めさせてもらった。
カレーに使われているミドリムシの粉末
カレーに使われているミドリムシの粉末
いただきます
いただきます
これだけの量でも栄養たっぷり
これだけの量でも栄養たっぷり

和食にも合いそう

さて、気になるそのお味だが、抹茶と昆布ダシを合わせたような感じ。旨みが凝縮されていてクセになる味だ。このままご飯にかけて、お茶漬けにして食べたらおいしいかもしれない。
クセになる味
クセになる味
おいしかったです
おいしかったです
予想に反し、色々な料理に合いそうな味わいだ。ユーグレナでは今後も様々なミドリムシグルメを開発していくというから、ファミレスなどでふつうに「ミドリムシパスタ」や「ミドリムシハンバーグ」をお目にかかる日が来るかもしれない。
冷やしグルメブームの次はミドリムシグルメブームが来る…かも
冷やしグルメブームの次はミドリムシグルメブームが来る…かも
みどりカレーと記念撮影
みどりカレーと記念撮影

恐るべきミドリムシのポテンシャル

驚くことにミドリムシは食品だけでなく、化粧品や家畜の肥料、さらにはバイオ燃料としても活用できるという。飛行機の燃料としても研究が進められていて、ゆくゆくはミドリムシがジェット機を飛ばす日が来るかもしれない。

って、どんだけ凄いんだミドリムシ。カッコイイぞ!
食べたいなあ…
食べたいなあ…
▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←
ひと段落(広告)

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ