特集 2017年1月18日

鳥っぽい日用品で張り子人形を作る

あけましておめでとうございます。
あけましておめでとうございます。
酉年なので、鳥の置物を作りたい。でも粘土細工が苦手だ。

しかし見回せば、鳥っぽい物体ならいくつかある。そうだ、これらを元にして張り子の鳥を作ろう。
1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

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郷土玩具に憧れて

年が明ける前後にこの企画を考え付いたが、松の内もとっくに明けた今、周囲で酉年酉年と騒ぐ者は皆無であった。しかし続ける。

以前から、張り子人形作りに憧れていた。シンプルな形にさまざまな色を楽しく塗って、かわいいものを作る工程に。なので、冒頭に書いたような多少無理のある流れで、張り子の鳥を作ってみることにしたわけである。
手持ちの郷土玩具の中にも、張り子細工のものがこれだけあった。いいよね張り子。
手持ちの郷土玩具の中にも、張り子細工のものがこれだけあった。いいよね張り子。
本来なら、粘土などで元の形を作って、それを型にして張り子作業をしていくが、今回は日用品である。以前から、鳥に見えてしょうがないものがいくつかあったので、まずは並べてみよう。
左から、メイク落とし・醤油差し・調味料ビン・糊。
左から、メイク落とし・醤油差し・調味料ビン・糊。
共通点は、「くちばしっぽい何かがあること」だ。それだけでも、見るたびに「あ、鳥」と思えていたのだから、張り子にすればより鳥に近づくだろう。うらやましい。私も鳥になりたい。

さて、「張り子の作り方」が書いてあるWebサイトをいろいろ読んで、自己流になるが早速作業にとりかかる。
サラダ油を塗って型離れをよくする。醤油差しに油を塗りたくる初めての経験である。
サラダ油を塗って型離れをよくする。醤油差しに油を塗りたくる初めての経験である。
新聞紙を細かくちぎるのが、地味に時間も手間もかかる。
新聞紙を細かくちぎるのが、地味に時間も手間もかかる。
ヤマト糊を水で薄め、新聞紙を何層かに貼り付けていく。人生の節々で現れる作業のひとつである。
ヤマト糊を水で薄め、新聞紙を何層かに貼り付けていく。人生の節々で現れる作業のひとつである。
この細かい部分にも、ちまちまと。大丈夫だろうかこの細さで張り子。
この細かい部分にも、ちまちまと。大丈夫だろうかこの細さで張り子。
新聞紙の次に半紙を貼って、乾燥させる。
新聞紙の次に半紙を貼って、乾燥させる。
本来なら数日かけて自然乾燥させたりして完全に水分を抜かねばならないが、時間もないのでドライヤーで。持ってみて乾いた感じになったので、次の作業に入る(後にこれがアダとなる)。
現代美術風、あるいはミイラ。
現代美術風、あるいはミイラ。
時間がないので、と書いたが、早くできあがりを見たかった、というのもある。真ん中で切開して、中から元型である日用品を取り出す作業だ。
中から本体を取り出すのは、ちょっと不思議な感覚だ。
中から本体を取り出すのは、ちょっと不思議な感覚だ。
「後にアダと」なったのは、まずここだ。外側は乾いていたが、型に接する部分の新聞紙の乾き具合がイマイチだったので、カッターで切っていくときに湿った新聞紙をひきずってしまう。

第2のアダはこのあとすぐ!
ある種のカタルシス。ピーナッツみたいに日用品が出ていった。
ある種のカタルシス。ピーナッツみたいに日用品が出ていった。
2つに分かれた型を、半紙で貼り合わせる。
2つに分かれた型を、半紙で貼り合わせる。
第2のアダは、切り離したときに湿っていた型がそれぞれ乾燥していくと、貼り合わせるときに微妙に形が変わって位置がずれてしまうことである。これは今後の課題にしたい。今後っていつだ。

さて貼り合わせたあとには下地の胡粉を塗ったりするが、今回はこのまま絵を乗せていくことにする。

「鳥に見える」とぼんやり考えていたわけだが、いざそこに顔や柄を乗せていくとなると、最初はいろいろ考えが広がってしまい、なかなか難しい。でも「これは…フクロウに見えるな」と鳥の種類まで見立てが進むと、後は割と楽である。
この調味料のCMでも、ビンを人形に見立ててますよね。かわいいんだこれが。
この調味料のCMでも、ビンを人形に見立ててますよね。かわいいんだこれが。
色塗りも、配色や柄の単純化などで難しい分、決まると楽しい。
色塗りも、配色や柄の単純化などで難しい分、決まると楽しい。
こんな細かい作業していると、張り子職人になった気がして楽しい。
こんな細かい作業していると、張り子職人になった気がして楽しい。
彩色の後、ニスを塗って、ニチヨウドリの完成である。
左から、メイクオトシフラミンゴ・チョウミフクロウ・ノリオオハシ・ショウユカワセミ。
左から、メイクオトシフラミンゴ・チョウミフクロウ・ノリオオハシ・ショウユカワセミ。
ジョジョのスタンドみたいに本体を添えて比較(どっちかといったら張り子のほうがスタンドだけど)。あるいは分身の術、というほうが正しいか。
ジョジョのスタンドみたいに本体を添えて比較(どっちかといったら張り子のほうがスタンドだけど)。あるいは分身の術、というほうが正しいか。
やはり胡粉なり、下地をしっかり施さないとボコボコのテクスチャになるが、これはこれで味ということでひとつ。でも自作のせいか、けっこう愛着が出てきた。

民芸・郷土玩具に憧れてきた身としては、その製作の真似事が出来ただけでもうれしい。

自分で元型から作るのは大変だけど、日用品という土台があれば後は想像力でなんとかなるので、それもまた面白かった。

軽く「鳥っぽい」と思っていた日用品を、実際の鳥に当てはめようとするとけっこう難しい場面に多々出くわした。くちばしや頭はまだいいが、体の部分はだいたい寸胴だ。そこにどうやって鳥らしい柄をつけていくか、考えるのはとても楽しかった。

来年は戌年。犬っぽい日用品って、あったかな…

告知

2月に京都で行われる「布博」、その中の「ブローチ博」に、乙幡の主宰する「妄想工作所」製のブローチを出展いたします(※本人は参りません)。
3月には東京でも出展いたします。
ぜひおいでませ。
布博 in 京都
http://textilefabrics.jp/
開催日時:2017年2月4日(土)、5日(日)
入場料:500円
会場:京都市勧業館みやこめっせ
京都市左京区岡崎成勝寺町9-1
東西線東山駅より徒歩8分
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