特集 2017年3月25日

中国の創作寿司は想像以上だった

三文魚(サーモン)大満足を「ビッグサーモン大会」と訳す キラリと光る翻訳センス
三文魚(サーモン)大満足を「ビッグサーモン大会」と訳す キラリと光る翻訳センス
中国にある寿司屋・日本料理屋は半分以上が日本人がかかわっていない店のように思う。

「それは本格的で懐かしい日本料理が食べられない」というデメリットはわかる。理解できる。

変な日本語が醸し出すうさん臭さを突き抜けた模倣の先にオリジナル寿司ができていることがある。

ある日突き抜けた寿司屋を見つけた。そこはオリジナル寿司をこれでもかと握っていた。

握っていたのか?
変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。

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こんな広告見たら行くしかない

ある日、ドーナッツ型の寿司の広告を見た。 創意(クリエイティブ)寿司ながら寿司への愛もアピール
ある日、ドーナッツ型の寿司の広告を見た。 創意(クリエイティブ)寿司ながら寿司への愛もアピール
行くしかないとビルの上階に行くエスカレーターにも クリエイティブ寿司がずらり。食べずにはいられない。
行くしかないとビルの上階に行くエスカレーターにも クリエイティブ寿司がずらり。食べずにはいられない。
その店は広東省にあるSushi Loveという店だ。ショッピングモールの中にあるこの店の店内はカフェのような雰囲気。でも寿司屋だから各テーブルは醤油さしが置かれている。おひとり様大歓迎だ。

店の雰囲気から新しい。そこで新しい寿司を作ろうとしている。
メニュー。刺身が乗ったピザまである。 1元≒16円だから回転寿司よりは気軽ではない。
メニュー。刺身が乗ったピザまである。 1元≒16円だから回転寿司よりは気軽ではない。
実は怖いモノ食べたさで何度も食べに行っている。僕はすっかりはまっていた。

しかもこの店、しばしば新メニューを用意するのだ。ドーナッツ寿司も、何回目か訪問したときの新メニューだ。

行けども行けどもメニューを食べつくせない。恐ろしい店だ。

そうしたメニューで客を寄せられて店が成り立つ。クリエイティブ寿司が見せた奇跡である。

いろいろ食べてみた

三文魚熱浪千層。4貫で40元。 上はサーモンだけどチーズをかけたり、中にマンゴーやアボガドが入ったり。
三文魚熱浪千層。4貫で40元。 上はサーモンだけどチーズをかけたり、中にマンゴーやアボガドが入ったり。
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蟹肉三魚彩虹巻。3貫で30元。 海苔の代わりにサーモンなんだけど、これはときどき中国では見かけるもの。サーモンの色が違ってちょっとがっかり。上には蟹肉や蟹子、さらには醤油を打ち消すマヨネーズを乗せた。
蟹肉三魚彩虹巻。3貫で30元。 海苔の代わりにサーモンなんだけど、これはときどき中国では見かけるもの。サーモンの色が違ってちょっとがっかり。上には蟹肉や蟹子、さらには醤油を打ち消すマヨネーズを乗せた。
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箸休めにサーモンの皮を贅沢に使った寿司。中国はサーモンの皮のつまみとか、よく食べているので中国人としてもきっとアリ。 個人的にはあまり日本では見かけないけど、トロトロにしてかば焼きのたれとマヨネーズで甘くした逸品。
箸休めにサーモンの皮を贅沢に使った寿司。中国はサーモンの皮のつまみとか、よく食べているので中国人としてもきっとアリ。 個人的にはあまり日本では見かけないけど、トロトロにしてかば焼きのたれとマヨネーズで甘くした逸品。
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ハート型の「三文魚塔塔(サーモンタルト)」。 日本のサーモンタルトとは一味違う。ハートの型にマヨネーズ味のサーモンとマンゴー、きゅうりを押し込んだ。触ると崩れるブロークンハート。銀シャリが欲しい。。。
ハート型の「三文魚塔塔(サーモンタルト)」。 日本のサーモンタルトとは一味違う。ハートの型にマヨネーズ味のサーモンとマンゴー、きゅうりを押し込んだ。触ると崩れるブロークンハート。銀シャリが欲しい。。。
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寿司ドーナッツ(32元)と、フレンチポテトタルト(26元3貫)
寿司ドーナッツ(32元)と、フレンチポテトタルト(26元3貫)
寿司ドーナッツ。 ネタは桜でんぶにサーモンにえび。写真通りだけど、酢飯でなく、あまり米が固まっていないので食べにくいしつまみにくいし、醤油につけにくい。握るって大事だなあ。
寿司ドーナッツ。 ネタは桜でんぶにサーモンにえび。写真通りだけど、酢飯でなく、あまり米が固まっていないので食べにくいしつまみにくいし、醤油につけにくい。握るって大事だなあ。
フレンチポテトタルト。 写真の通りポテチの上にサーモンやエビを乗せたものでポテチサイズだから一口サイズ。食べた先に口の中ではじけるプチプチコーラが入っていて口の中のハーモニーに油断した逸品。
フレンチポテトタルト。 写真の通りポテチの上にサーモンやエビを乗せたものでポテチサイズだから一口サイズ。食べた先に口の中ではじけるプチプチコーラが入っていて口の中のハーモニーに油断した逸品。
〆にサーモン寿司アイスクリーム(18元) 「アイスではないですよ」と店員さんに前置きされ、注文してみればコーンの中にサーモンとマンゴー混じりの銀シャリが入る。コーンとマンゴーと醤油による未体験の不協和味。寿司経験がなければありなのかも?
〆にサーモン寿司アイスクリーム(18元) 「アイスではないですよ」と店員さんに前置きされ、注文してみればコーンの中にサーモンとマンゴー混じりの銀シャリが入る。コーンとマンゴーと醤油による未体験の不協和味。寿司経験がなければありなのかも?
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寿司とは何かを考えた

「常識をぶち壊せ」と言う人もいるし、番組の料理コーナーでもオリジナリティを目指す料理人もいるけれどここまで常識が壊れると清々しい。

辞書で寿司の定義はあるけれど、食べて感じたのは

固まった酢飯はほしいよね

という思いだった。酢飯のある寿司に醤油をチョンとつけて食べてお茶飲んで。そこは個人的に思った。

感じ方は人それぞれ。「創意寿司」などで検索すれば中国に結構オリジナリティを目指した寿司屋がある。中国で敢えてアブノーマルな寿司を食べて感性を磨くのは粋な経験だ。
鯉ン寿司。
鯉ン寿司。
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