特集 2017年3月24日

開通前の高速道路を歩いたら伯父さん気分になった

先週開通した高速道路。開通前のイベントで歩いたらすごくおもしろかった、という話です。
先週開通した高速道路。開通前のイベントで歩いたらすごくおもしろかった、という話です。
先週、2017年3月18日に首都高神奈川7号横浜北線(K7)が開通した。これで横浜市北部から羽田空港へ車で行きやすくなる。

その1週間前の11日に「トンネルウォーク」と題して、開通直前の高速道路を歩くイベントが開催された。それに参加してきたので、その様子について書きたい。とにかくかっこよかったので。

7年前の2010年にまだまだ工事中だった荒々しい現場を見学したこともあり「あの子がこんなに立派になってねえ……」と感無量である。関係者でもないし、免許すら持ってないから利用する予定もないのに。
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。(動画インタビュー

前の記事:香港の団地はやっぱりすごい

> 個人サイト 住宅都市整理公団

とにかくまず高架の風景がかっこいい

「トンネルウォーク」とはいうものの、まず前半は高架を堪能だ。これがすごくかっこよかった。

とにかくどんな風景だったかご覧ください。
スタート場所は横浜市にある京急生麦駅からすこし行ったところ。「会場こちらでーす」という首都高の方々の案内に従って歩いて行くと、いきなりこんなかっこいい風景が!
スタート場所は横浜市にある京急生麦駅からすこし行ったところ。「会場こちらでーす」という首都高の方々の案内に従って歩いて行くと、いきなりこんなかっこいい風景が!
おお、と感動の声を上げつつ見回す。そこには魅力的なジャンクションが。その複雑な立体交差っぷりに「ジャンクション界の生麦事件」との呼び声も高い、生麦ジャンクションである。
おお、と感動の声を上げつつ見回す。そこには魅力的なジャンクションが。その複雑な立体交差っぷりに「ジャンクション界の生麦事件」との呼び声も高い、生麦ジャンクションである。
目隠しされた標識も開通前って感じで味わい深い。
目隠しされた標識も開通前って感じで味わい深い。
わくわくしながら歩くと、料金所に。「北線がキタ!」といういかにも首都高さんらしいキャッチコピーが表示されている。お役所や公共交通はどうしてこういうダジャレに頼るのだろうか。「あぶないゾウ」とか言ってる象のキャラクターが登場する、とか。
わくわくしながら歩くと、料金所に。「北線がキタ!」といういかにも首都高さんらしいキャッチコピーが表示されている。お役所や公共交通はどうしてこういうダジャレに頼るのだろうか。「あぶないゾウ」とか言ってる象のキャラクターが登場する、とか。
品川線の開通前にも同じ経験をしたが、料金所を歩いて通過、ってすごく不思議な気分。
品川線の開通前にも同じ経験をしたが、料金所を歩いて通過、ってすごく不思議な気分。
生麦JCTから西の京急と東海道線を越えて西に延びている「首都高速神奈川7号横浜北線」とある部分が今回歩いた箇所
高架にぐんぐん登っていく。歩くと分かるがかなりの坂道。自動車の登坂能力ってすごいなとあらためて思う。
高架にぐんぐん登っていく。歩くと分かるがかなりの坂道。自動車の登坂能力ってすごいなとあらためて思う。
橋脚に記された「横北」がいいな、と思った。
橋脚に記された「横北」がいいな、と思った。
それにしてもこの風景すてきだ。ダイナミック。高速で通り抜けちゃうなんてもったいない。月一ぐらいでこうやって歩くイベントやったらどうか。
それにしてもこの風景すてきだ。ダイナミック。高速で通り抜けちゃうなんてもったいない。月一ぐらいでこうやって歩くイベントやったらどうか。
登りきった高架のところから防音壁にかこまれる。この防音壁の風景もいいよねえ。向こうに「NICE」の看板が見えて、「うん、ナイスだよねこの囲われ感」って思った。
登りきった高架のところから防音壁にかこまれる。この防音壁の風景もいいよねえ。向こうに「NICE」の看板が見えて、「うん、ナイスだよねこの囲われ感」って思った。
ふりかえると生麦ジャンクションからの合流。
ふりかえると生麦ジャンクションからの合流。
あと、舗装がいかにも高規格道路って感じですてきだった。いわゆる「高機能舗装」だ。雨水をしみこませて排水構造物に流し、水たまりができにくく、騒音も小さく、というやつ。手触りも頼もしい。二度とこうやって撫でることもできないとはもったいない。
あと、舗装がいかにも高規格道路って感じですてきだった。いわゆる「高機能舗装」だ。雨水をしみこませて排水構造物に流し、水たまりができにくく、騒音も小さく、というやつ。手触りも頼もしい。二度とこうやって撫でることもできないとはもったいない。

生麦事件!

楽しさのあまり写真を並べたててしまった。また歩きたい、と思ってやまないが叶わぬ夢だ。この思い出は大切にしたい。

さて、高架を登りきった先におもしろいものがあった。
道路の真ん中になにやら茅の輪みたいなものがあるぞ。くぐるのか?
道路の真ん中になにやら茅の輪みたいなものがあるぞ。くぐるのか?
なにか書いてある。ちょうど3月11日だったので震災関連のものかと思ったら……
なにか書いてある。ちょうど3月11日だったので震災関連のものかと思ったら……
(入口にこういう看板があったのでそう思った)
(入口にこういう看板があったのでそう思った)
ところが、見てみたら「生麦事件」!
ところが、見てみたら「生麦事件」!
ここで生麦事件に出会うとは。高速道路と生麦事件というコントラストにぐっときた。

聞けば事件を記念する碑が敷地に建っていて、工事のために移設したという。それにともなった慰霊というわけだ。
移設されたその生麦事件碑もたずねてみた。こんなものがあるとは知らなかった。
移設されたその生麦事件碑もたずねてみた。こんなものがあるとは知らなかった。
経緯を記した看板。
経緯を記した看板。
道路建設とはすなわち用地取得とそれにともなうさまざまなこと、と言ってもいいと思うが、その中にまさか生麦事件が含まれるとは。

ただ、調べたところ、そもそも事件の発生現場は元の碑の位置ともまた違っていて、もっと東の方にその場所はあるという。この仮移設場所の方がそれに近い。
ちなみに、仮移設されている事件碑の面しているこの細い道は旧東海道。いずれ北西線が開通すると、ここから東名高速にスムーズにつながる。旧東海道に建つこの北線は、ある意味まさに東海道として機能することになる。旧東海道のアップデートだ。
ちなみに、仮移設されている事件碑の面しているこの細い道は旧東海道。いずれ北西線が開通すると、ここから東名高速にスムーズにつながる。旧東海道に建つこの北線は、ある意味まさに東海道として機能することになる。旧東海道のアップデートだ。
生麦事件は、江戸から鹿児島に戻る島津久光と、横浜から川崎大師に行こうとしていたイギリス人との間で起こった。

高架道路とは、目的・機能の違う交通が交わらないようにするためのものだ。高速道路と下道は、まさに島津一行と英国人の交通そのもの。

ある意味生麦事件とは「交通事故」といえるだろう。分離すべき交通が衝突してしまったのだ。

いま思ったけど「下に~下に~」っていうあれ、大名行列を「高架」にするためのかけ声だな。

ともあれ生麦事件の場所に建つ「立体交差」ってすごく象徴的だな、と思ったしだいだ。この北線自体を記念碑ととらえてもいいぐらいだ。

「生麦」の魅力的な響き

学校で習って今でも覚えている数少ない日本史キーワードのひとつが「生麦事件」で、それは「なまむぎ」っていう言葉の響きによるところが大きい。早口言葉にも起用されるぐらいだしな。

そして、最初のほうでうっかり「ジャンクション界の生麦事件」などとてきとうなことを書いたが、「団地界の生麦事件」が市営生麦住宅である。これもてきとうな発言である。
高架の上からちらりと見えた生麦住宅。バスの操車場と一体になっているかっこいい団地作品で、かねてよりお気に入りの一品だったが、こうして高い位置から見るのははじめて。うれしい。
高架の上からちらりと見えた生麦住宅。バスの操車場と一体になっているかっこいい団地作品で、かねてよりお気に入りの一品だったが、こうして高い位置から見るのははじめて。うれしい。
同じく高架から見えた「生麦フィーチャー」物件の数々。ざっと見えただけでも「ライオンズマンション生麦」「ライオンズマンション生麦第3」「ダイアパレス生麦第2」「ダイアパレス生麦第3」など生麦の大豊作である。
同じく高架から見えた「生麦フィーチャー」物件の数々。ざっと見えただけでも「ライオンズマンション生麦」「ライオンズマンション生麦第3」「ダイアパレス生麦第2」「ダイアパレス生麦第3」など生麦の大豊作である。
マンション界も生麦だらけだ。独特の魅力がある響きだからしょうがないと思う。ぼくがここらへんに物件を建てたとしても、やはり名前に「生麦」を入れるだろう。
「ライオンズマンション生麦南」のローマ字表示はもはや何かの呪文のようだった。「m」いくつあるんだ。
「ライオンズマンション生麦南」のローマ字表示はもはや何かの呪文のようだった。「m」いくつあるんだ。
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橋脚の基礎は「海の底」

そして「ちょっと出来過ぎでは」と思うのが、ここにはキリンビールの工場があるということ。

「生麦」の地名の由来には諸説あってはっきりしないらしいので、いっそ恵比寿のようにビール工場に由来する、という説を付け加えてはどうだろうか(ちなみにキリンビールがここにやってきたのは関東大震災のあと)。
高架からもちゃんとビール工場見える。かわいい。ついこのタンクにさそわれて、ウォーク終了後、敷地内にあるビアレストランに行ってしまいました。ゴボウ風味(!)のビールがおいしかったです。
高架からもちゃんとビール工場見える。かわいい。ついこのタンクにさそわれて、ウォーク終了後、敷地内にあるビアレストランに行ってしまいました。ゴボウ風味(!)のビールがおいしかったです。
実は、高架はキリンの敷地内を通っている。いまやまるで北線がこの工場のゲートのようだ。かっこいい。
実は、高架はキリンの敷地内を通っている。いまやまるで北線がこの工場のゲートのようだ。かっこいい。
これはだいたい同じ位置から撮った2012年の様子。まだ橋脚もなく、用地となったエリアに仮囲いがたてられている。
これはだいたい同じ位置から撮った2012年の様子。まだ橋脚もなく、用地となったエリアに仮囲いがたてられている。
そしていまやジャンキー(ジャンクション趣味の人のこと)にとって、キリンの工場は名スポットとなった。すばらしい。この光景を見ながら一杯やりたい。
そしていまやジャンキー(ジャンクション趣味の人のこと)にとって、キリンの工場は名スポットとなった。すばらしい。この光景を見ながら一杯やりたい。
2012年、まだまだ工事中だったときに首都高さんに取材させてもらったときの、国道15号線沿いの様子。
2012年、まだまだ工事中だったときに首都高さんに取材させてもらったときの、国道15号線沿いの様子。
そして当時、キリンビールの敷地内にはこんなものが!
そして当時、キリンビールの敷地内にはこんなものが!
これはなにかというと、橋脚の基礎をつくっている様子。すげー!
これはなにかというと、橋脚の基礎をつくっている様子。すげー!
その中ものぞかせてもらった。なんとこれ、密閉して加圧しているんだって!
その中ものぞかせてもらった。なんとこれ、密閉して加圧しているんだって!
これには当時とてもびっくりしたのを覚えている。地質や地下水などの問題から「圧気工法」と呼ばれるやりかたで基礎のための穴を掘っていたのだ。
農林水産省「土木工事等施工技術安全指針」「第24章圧気工法による工事」(PDF)より。当時の工事内容がこの図と全く同じとは限りませんが参考に。
農林水産省「土木工事等施工技術安全指針」「第24章圧気工法による工事」(PDF)より。当時の工事内容がこの図と全く同じとは限りませんが参考に。
まるで海底作業ではないか!

「潜水病になってしまうので、作業終えて出てくる時は徐々に気圧を下げていくんです」など、とても興味深くシビアな話をうかがって感動したものだ。
当時現場に掲げられていた図。丸いしるしはいずれも橋脚の基礎部分。それぞれに「海底」がおさめられている。
当時現場に掲げられていた図。丸いしるしはいずれも橋脚の基礎部分。それぞれに「海底」がおさめられている。
基礎ができあがるとこうなる。なんだかとても貴重なものに見える。いや、実際貴重なんですが。
基礎ができあがるとこうなる。なんだかとても貴重なものに見える。いや、実際貴重なんですが。
あの時見たのはちょうどこの橋脚の下かなー。
あの時見たのはちょうどこの橋脚の下かなー。
魅力的な立体交差は「海底」に支えられているのだな、と思い出したしだい。
魅力的な立体交差は「海底」に支えられているのだな、と思い出したしだい。
こうして見ると当時の光景が、まるで夢のよう。狭い用地の中で苦労してあれこれ構造上の工夫がなされた結果だと思うと、やっぱりこれって一種の記念碑だよな、と。
こうして見ると当時の光景が、まるで夢のよう。狭い用地の中で苦労してあれこれ構造上の工夫がなされた結果だと思うと、やっぱりこれって一種の記念碑だよな、と。

かつての原料・ビール出荷をトレース

用地を提供したということですっかり「今後、ビールはキリンにしよう」と思うぐらいキリンのファンになってしまった。

で、北線が通る前のキリンビールの敷地の様子を見てみようと以前の航空写真を調べて「おや?」と思ったことがある。
↑まずはふたたび現在の様子を地図で。
そしてこちらは上の現在の状態と同じ範囲の2007年の様子。工場の敷地北側が用地になったことがわかる(国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より・整理番号・CKT20072 / コース番号・C14 / 写真番号・20 / 撮影年月日・2007/04/27(平19))
そしてこちらは上の現在の状態と同じ範囲の2007年の様子。工場の敷地北側が用地になったことがわかる(国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より・整理番号・CKT20072 / コース番号・C14 / 写真番号・20 / 撮影年月日・2007/04/27(平19))
すぐ上の画像は10年前2007年の航空写真。なんと、後に高架ができる場所に、すでにやんわりと同じ道筋の跡が見えるではないか。

これはなんだ? と思って古地図を見てみたら、引き込み線の跡だった。
同じ範囲の戦後の地図。引き込み線の先の部分が北線とほぼ同じ。つまり、ぼくはかつてホップやビールが運ばれたルートの上空をトレースして歩いたことになる(『横濱時層地図』戦後転換期(昭和23-32年)より)
同じ範囲の戦後の地図。引き込み線の先の部分が北線とほぼ同じ。つまり、ぼくはかつてホップやビールが運ばれたルートの上空をトレースして歩いたことになる(『横濱時層地図』戦後転換期(昭和23-32年)より)
歴史は繰り返す。今後ここを車で走るときは「自分はいまかつての原料やビール出荷をトレースしている!」と思ってみてください。
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いいかげんトンネルに入ります

すっかり「トンネルウォーク」から話が逸れてしまった。というか、トンネルはまだか。
後少し上空まで覆ってしまえばここもトンネルだ、という感じの防音壁で覆われた、妙に居心地のいい空間。その先にいよいよリアル・トンネルが。
後少し上空まで覆ってしまえばここもトンネルだ、という感じの防音壁で覆われた、妙に居心地のいい空間。その先にいよいよリアル・トンネルが。
ふと、一部窓になってるので見てみたら、ちょうど鉄道を越える地点。左が京急。右がJR。記憶ではこの2つの間にうすーいマンションが建ってて、よくこんなところに建てたな! と面白く思ってた。残念ながら北線のせいでなくなっちゃたようだ。
ふと、一部窓になってるので見てみたら、ちょうど鉄道を越える地点。左が京急。右がJR。記憶ではこの2つの間にうすーいマンションが建ってて、よくこんなところに建てたな! と面白く思ってた。残念ながら北線のせいでなくなっちゃたようだ。
下から見ると、こんな。手前に見える魅力的な鉄橋は貨物線のもの。京急と東海道線はこれの向こう側。それにしても北線の裏面、セクシー。
下から見ると、こんな。手前に見える魅力的な鉄橋は貨物線のもの。京急と東海道線はこれの向こう側。それにしても北線の裏面、セクシー。
2012年のこの付近の様子。今見るとすごいダイナミックな光景。この荒々しさからセクシーが生まれたのだ。
2012年のこの付近の様子。今見るとすごいダイナミックな光景。この荒々しさからセクシーが生まれたのだ。
また脱線してしまった。以下からまじトンネルです。
いよいよトンネルへ。
いよいよトンネルへ。

地形、そしてH鋼の跡にぐっときた

ここで思い出していただきたいのは、ここが高架の上だということ。

高架がそのままトンネルになるって、どういうことだ。つまり、ここから地形が変わってるのだ。崖だ。
窓から見ると、このトンネルが崖にうがたれたものだということがわかる。
窓から見ると、このトンネルが崖にうがたれたものだということがわかる。
地形図で見るとこのとおり。高架がそのまま崖にどーんと!(国土地理院「基盤地図情報数値標高モデル」5mメッシュをカシミール3D スーパー地形セットで表示したものをキャプチャ・加筆加工)
地形図で見るとこのとおり。高架がそのまま崖にどーんと!(国土地理院「基盤地図情報数値標高モデル」5mメッシュカシミール3D スーパー地形セットで表示したものをキャプチャ・加筆加工)
2010年にこの崖については記事にしていて、その時はこんなだった。電車の車窓からこのダイナミックな光景を見た覚えのある人も多いのではないか。思い出すなあ。
2010年にこの崖については記事にしていて、その時はこんなだった。電車の車窓からこのダイナミックな光景を見た覚えのある人も多いのではないか。思い出すなあ。
その2年後、2012年にはこんな。コンクリートの巨大な箱状のものが見えるが、そのどんつきの壁に穴が開けられ、シールドマシンによって向こう側から掘られたトンネルが姿を現すのだ。
その2年後、2012年にはこんな。コンクリートの巨大な箱状のものが見えるが、そのどんつきの壁に穴が開けられ、シールドマシンによって向こう側から掘られたトンネルが姿を現すのだ。
そして今回、トンネル部に入るこの箇所。
そして今回、トンネル部に入るこの箇所。
よく見るとかじった跡みたいになってて、これはつまりさっきの「箱」のどんつき壁だ。ここでシールドマシンの掘った穴と接続した証だ。そのままかたちが残ってるの、すごくいい。
よく見るとかじった跡みたいになってて、これはつまりさっきの「箱」のどんつき壁だ。ここでシールドマシンの掘った穴と接続した証だ。そのままかたちが残ってるの、すごくいい。
ふり返ると、こんな。
ふり返ると、こんな。
2012年に同じようにふり返ったときは、こんなだった。
2012年に同じようにふり返ったときは、こんなだった。
あと「箱」が完成する前の、支えとなるこのH鋼たち。
あと「箱」が完成する前の、支えとなるこのH鋼たち。
今回、上を見上げたら、あのH鋼さんたちの跡がのこってるじゃないですか!
今回、上を見上げたら、あのH鋼さんたちの跡がのこってるじゃないですか!
ほら! 工事を支え、完成のときには切断されてしまう彼らのけなげさよ。その一部はコンクリートの中に残され、断面がこうやって顔をのぞかせる。キュート。自動車で走りながらだと見えないんだろうなー。ざんねんだなー。
ほら! 工事を支え、完成のときには切断されてしまう彼らのけなげさよ。その一部はコンクリートの中に残され、断面がこうやって顔をのぞかせる。キュート。自動車で走りながらだと見えないんだろうなー。ざんねんだなー。
かつて雨の中、吊っていたこの桁。
かつて雨の中、吊っていたこの桁。
この桁は、
この桁は、
たぶんここらへんの足もとに相当するはず。ふしぎな感覚。
たぶんここらへんの足もとに相当するはず。ふしぎな感覚。
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どんどんシュールになっていくトンネル内展示

引き続きなかなかトンネル内部に話が進みませんね。すみません。なんかいろいろ思い出して、個人的に熱いものがこみあげてきちゃったもので。

いよいよほんとうに、トンネルの中歩きます。
そんなわけで、さっきまで高架だったのに、いきなり地下。ドライアイスみたいだ。液体を経ないで一気に相転移。昇華だ。あるいは渋谷駅での銀座線気分。
そんなわけで、さっきまで高架だったのに、いきなり地下。ドライアイスみたいだ。液体を経ないで一気に相転移。昇華だ。あるいは渋谷駅での銀座線気分。
トンネル内はちょっとした展示スペースとなっていて、働く車や、
トンネル内はちょっとした展示スペースとなっていて、働く車や、
神奈川区のアピール。
神奈川区のアピール。
養生テープで「神奈川90」って書いてるのがよかった。一部はがれてるし。
養生テープで「神奈川90」って書いてるのがよかった。一部はがれてるし。
湾岸線のアピールでは工場夜景が見どころとされていて、時代は変わったなー、と思う。だれのせいでしょうね。
湾岸線のアピールでは工場夜景が見どころとされていて、時代は変わったなー、と思う。だれのせいでしょうね。
この「近代水道創設130年」あたりからすごく興味深くなってきたものの、同時に「北線開通と何の関係が?」という謎も深まってきた。でもおもしろかった。
この「近代水道創設130年」あたりからすごく興味深くなってきたものの、同時に「北線開通と何の関係が?」という謎も深まってきた。でもおもしろかった。
きわめつけはこの「明治維新150年カウントダウン」。鹿児島市のアピール。さきほどの生麦事件がらみでの出展か。わかるけど、よくわからないぞ。おもしろいけど。
きわめつけはこの「明治維新150年カウントダウン」。鹿児島市のアピール。さきほどの生麦事件がらみでの出展か。わかるけど、よくわからないぞ。おもしろいけど。
解説している方の衣装も気合いが入っている。真新しいトンネルに、島津の紋。シュール。
解説している方の衣装も気合いが入っている。真新しいトンネルに、島津の紋。シュール。
いきなり目に飛び込んでくる「賠償金の支払い」の文字。
いきなり目に飛び込んでくる「賠償金の支払い」の文字。
うちの家系は、ぼくの親の代まで両親とも鹿児島の生まれ育ちなので親近感を感じる一方、まさかトンネルウォークで島津アピールに出会うとは思わなかったのでめんくらった。
当然どこまでも歩くわけにはいかず、ほどよく疲れたあたりが折り返し地点。
当然どこまでも歩くわけにはいかず、ほどよく疲れたあたりが折り返し地点。
折り返し地点の向こうには当然人影がない。みなさんの撮影ポイントになっていた。このやんわりとしたカーブおよび勾配、すてき。
折り返し地点の向こうには当然人影がない。みなさんの撮影ポイントになっていた。このやんわりとしたカーブおよび勾配、すてき。

すべり台式避難にエキサイト

トンチの効いた展示ばかりではなく、高速道路見学としてごくまっとうな内容のものもある。もっとも楽しかったのはすべり台式緊急避難体験だ。
要所要所にこのような非常口の施設が。気になるのは「すべり台式」という表示。
要所要所にこのような非常口の施設が。気になるのは「すべり台式」という表示。
ボタンを押すとおもむろにすべり台が登場するらしい。すべりたい! と思っていたら、
ボタンを押すとおもむろにすべり台が登場するらしい。すべりたい! と思っていたら、
なんと体験できると言うではないですか! やるやる!
なんと体験できると言うではないですか! やるやる!
カーブを描くすべり台だ。緊急避難時でも遊び心をわすれないというわけだ(ちがいます)。
カーブを描くすべり台だ。緊急避難時でも遊び心をわすれないというわけだ(ちがいます)。
こちらは滑った後の避難通路。ああ、つまりシールドマシンが掘った円形のトンネル断面の下側の空間だから、すべり台が内側にカーブせざるを得ないというわけだ。遊び心じゃないんだな。
こちらは滑った後の避難通路。ああ、つまりシールドマシンが掘った円形のトンネル断面の下側の空間だから、すべり台が内側にカーブせざるを得ないというわけだ。遊び心じゃないんだな。
ぼく、興奮しすぎて、ものすごい勢いですべっちゃった。係の方々が「ちょっw」って言ってた。この日の最速記録をたたき出したようだ。
そして避難通路もかっこいい。ここが道路面の下だと思うと、これもまた不思議な気分。
そして避難通路もかっこいい。ここが道路面の下だと思うと、これもまた不思議な気分。
結局3時間ほど堪能してようやく帰路に就きました。もう歩けないんだよなー。名残惜しいなー。
結局3時間ほど堪能してようやく帰路に就きました。もう歩けないんだよなー。名残惜しいなー。

甥っ子自慢みたいになってすまなかった

昨年、妹に子どもが生まれた。かわいい甥っ子だ。すごくかわいいのだが、あまり甥っ子話をしないようにしている。

なぜなら、他人の子ども自慢ほどたいくつな話はないだろうから。しかも甥っ子だ。自分の子どもですらない。

なにが言いたいのかというと、2010年から工事を見てきたため、ついつい「北線すごいだろー!」って感じになってしまって、すまん、ということだ。

自分がつくったわけでもないのにねえ。

あと、人類学のものの本によると、多くの文化圏において、甥っ子に「悪い遊び」を教えるのは伯父の役目だそうです。よしまかせろ!
そういえばかつての現場事務所には猫が居着いてたが、あの子はどうなったろう。
そういえばかつての現場事務所には猫が居着いてたが、あの子はどうなったろう。
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