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フェティッシュの火曜日
 
いざというときの鉛筆調理法
これでいざというときも安心。

例えば洞窟探検に来たとき、食料をうっかり地上に忘れてきてしまうということはあるだろう。探検隊あるあるだ。
そんな時、手持ちの荷物の中でなんとかする方法を一つ覚えておけば、生還率もぐっと上がるというもの。今回はそんな生き延びるためのTipsをお伝えしたい。

きだてたく きだてたく(きだてたく)
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。
> 個人サイト イロブン
Twitter:tech_k


あらこんなところに鉛筆が
さて、洞窟に来てみたものの、うっかりカバンに食料を入れ忘れてきたとしよう。

困ったことだが、筆箱を忘れていなかったのは不幸中の幸いといえよう。実は文房具はいざというときに食べられるものが多いのだ。


さて、なにを食べようか。
おっ、大漁大漁。

20年ぐらい昔、冷蔵庫をのぞきながら「あらこんなところに牛肉が」と歌うCMがあったが、気分としてはそんな感じで、筆箱の中に鉛筆を発見した。

鉛筆は初心者でもコツさえつかめば調理が簡単で味も良く、おススメの食材なのだ。

鉛筆、その調理方法
調理と言ってみたが、実はそういうほどの手間もない。簡単な鉛筆の削り煮を紹介したい。

ポイントは2つ。切れ味の落ちた刃物で削ることと、材料の鉛筆を選ぶことだ。


ひたすらに削る

鉛筆は煮るのに時間がかかる。調理時間短縮のため、まずは鉛筆を削ろう。この削ったいわゆる削りくずの部分をいただく。

ここで最初のポイントだが、削るときはできるだけ古い刃物を使ってもらいたい。できれば懐かしのボンナイフ(またはミッキーナイフ)のようなものが良い。

古い刃物で鉛筆の木の繊維を荒めに断ち切ることで、後々の味の染みこみが早くなるのだ。

鍋にひたひたの水と削りくずだけ入れて火にかける。

さて、削りくずの中から芯の部分をできるだけ取り除いて(食べられなくはないが、少し苦味が出る)、ひたひたの水で煮ていく。

さて、2番目のポイントとして鉛筆を選ぶという話だが、美味しくいただくためには、できれば三菱ユニ、もしくはハイユニを使って欲しい。
ユニのあのえんじ色の塗料が、ここで煮込むことにより水に溶け出して、全体的に美味しそうな色合いに仕上がるのだ。

水色のステッドラーや緑色のトンボなどでも味に変わりはないのだが、やはり見た目で食欲をそそらない。

あとはこのまま煮ていくだけ。

調味料などは必要ない。
鉛筆はじっくり煮込むことによって甘みが出てくるのだ。

木材のセルロースが加熱分解されてグルコース(ブドウ糖)に変わるのである。
とにかく気長にじっくりと炊くこと。

あとはこのまま弱火でことことと2時間ほど煮れば、しゃきしゃきとした食感も楽しめる、鉛筆の削り煮の完成である。

鉛筆の削り煮、完成

煮汁を吸って膨らんだ、鉛筆の削り煮。

ちょっと意地になって洞窟内で調理と写真撮影を続けていたが、正直なところそろそろ洞窟内の寒さも身にこたえてきたので、日差しのあるうちに暖かい外界でいただくことにした。
うまく炊けているかなー。

鉛筆、美味い!

鉛筆の繊維のシャキシャキ感は残りつつ、塗料の煮汁を吸って柔らかく煮あがっている。
味も、塗料に含まれている塩分と木材の甘みが噛むたびにじゅわっと口の中に広がり、ご飯のおかずにもなりそうないい塩梅だ。できれば七味なんかをパラリとふるとたまらないんじゃないだろうか。

洞窟探検で筆箱しか手元にないとき、ぜひ試していただきたい。


鉛筆以外にも、消しゴムやシャーペンの芯、竹の定規などは調理しだいで非常に美味しい料理になる。
いざ手元に食材が無いというときでも、あわてずに筆箱の中を見回す余裕さえあれば楽しい探検ライフが送れるということを、忘れないで欲しい。

この記事はエイプリルフール企画のために作ったうその記事です

 

 
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