特集 2013年7月21日

シマウマ的納涼法で夏を乗り切りたい

出オチ感満載です。
出オチ感満載です。
梅雨が明け、本格的に夏が到来しました。
海に山にとレジャーも充実の季節ですが、私は暑さに弱いのでアイスを食べては屋内に籠る毎日を送っています。
暑さに負けない快適な日々を過ごしたい。でも、健康とエコロジーの両面を考慮して、冷房に頼りきるのは避けたい。
そう思っていた時、シマウマの話を聞いたのです。
シマウマは暑さに強いらしい、って皆さんご存知でしたか?
1980年北海道生まれ。
気が付くと甘いものばかり食べている偏った食生活を送っています。


前の記事:カステラアイスが美味しすぎる


シマウマの暑さ対策

風は気圧の変化によって発生する、という話を聞いたことがあるかと思います。
気圧が高いと空気の温度は低くなり、気圧が低くなると空気の温度は高くなります。空気には暖かいと上昇、冷たくなると下降するという性質があり、この空気の動きが風になるのです。
地上に点在する高気圧(下降気流)と低気圧(上昇気流)が風が発生させます。
地上に点在する高気圧(下降気流)と低気圧(上昇気流)が風が発生させます。
それと同じような現象が、シマウマの体でも起こっているというのです。
シマウマにはお馴染み黒と白の縞模様がありますが、光を吸収する黒と光を反射する白との間で温度差が生じ、そこから風が発生するのだそうです。その風のおかげで、シマウマはサバンナでも快適に過ごしているのだとか。
黒が低気圧、白が高気圧の働きをして風が発生するので涼しいらしいです。
黒が低気圧、白が高気圧の働きをして風が発生するので涼しいらしいです。
自家発電で扇風機回してるような感じでしょうか。
シマウマがそんなにエコロジーを体現している動物だとは知りませんでした。すごいぜシマウマ。
そんなシマウマの原理を日常生活に生かせば夏を乗り切ることができるのではないか、と実験してみることにしました。

実験1・黒と白の温度差はどの程度なのか。

まず疑問なのは、本当に黒と白でそこまで温度差が生じるのかということです。
そこで、考えたのがこちらです。
全身黒。「よく分かんないけどスタッフさんっぽい」と言われました。
全身黒。「よく分かんないけどスタッフさんっぽい」と言われました。
全身白。ステテコっぽい。
全身白。ステテコっぽい。
全身黒の場合と全身白の場合で、暑さの感じ方にどの程度差があるのか試してみたいと思います。
気温30℃、湿度65%(黒)
気温30℃、湿度65%(黒)
気温38℃、湿度35%(白)
気温38℃、湿度35%(白)
体温36.6℃(黒)
体温36.6℃(黒)
体温36.1℃(白)
体温36.1℃(白)
PSPを持参して(黒)
PSPを持参して(黒)
本読みながら(白)
本読みながら(白)
気候の条件が異なるので感じ方以前に暑さそのものが違うのではないかと思われるでしょうが、私にとってはどちらも暑くて地獄という点で一緒でした。
北国で育ったのもあって、私、本当に暑いのが苦手なんです。
自分撮りした写真のほとんどは目が死んでいます。
命名・『死にかけた森永卓郎』
命名・『死にかけた森永卓郎』(黒)
死んだ目ですが、読書は進みました。
死んだ目ですが、読書は進みました。(白)
敢えて違いを挙げるとすると、全身黒の場合は背中や太ももなどの比較的面積が広い部位に熱が集中して汗が滲み出て、まるでサウナのように暑く、全身白の時は腕や顔など布に覆われていない部分を日光が刺すように照り付けて暑く、自分が干物になったかのような気分が味わえるということでしょうか。
1Lを2時間くらいで飲み干した。
1Lを2時間くらいで飲み干した。(黒)
3時間くらい経ってもまだ残ってる。
3時間くらい経ってもまだ残ってる。(白)
体感的には黒の時の方が暑苦しく、水分補給もハイペースでした。白では暑さよりも眩しさ、日光に照り付けられる痛さが気になります。
ただ、色の差ではなく気候条件の違いだと言われると反論できないのが、この実験の弱いところです。
そして、白の時は本を読んでわりと時間をつぶしましたが、黒の時はPSPの充電が早々に切れて時間をつぶす手段が無くなり、手持無沙汰でとりあえず飲み物を口にしていた可能性も否めません。
仕方ないので、伸びかけの前髪アレンジを考えて時間をつぶしました。
仕方ないので、伸びかけの前髪アレンジを考えて時間をつぶしました。
アレンジの結果、こうなりました(わりとどうでもいい情報)。
アレンジの結果、こうなりました(わりとどうでもいい情報)。

実験2・オペレーション・ゼブラ実行。

黒くても白くても暑いので、本題であるシマウマの暑さ対策を実行してみたいと思います。
というわけで、こうなりました。
出オチ感満載。
出オチ感満載。
都合よく全身縞模様の服を持っていなかったため、ボーダー部分は手作りです。
黒のビニールテープを、
黒のビニールテープを、
適当な長さに切って貼るだけの簡単ハンドクラフト。
適当な長さに切って貼るだけの簡単ハンドクラフト。
やや模様がいびつになりましたが、それも野生動物の模様のナチュラルさに近いと言えるのではないでしょうか。
シマウマ理論が正しければ、これで単色の場合よりも暑さが和らぐはずです。
ボーダーにした途端、さわやかな風が!
ボーダーにした途端、さわやかな風が!
縞になった途端に風を感じたので「本当に風が発生した!」と一瞬喜びかけましたが、私だけでなく万人に等しく風が吹いただけでした。近くを通った小学生男子たちが「今一瞬涼しかったね」と喜んでいました。

おそらく皆さんの予想通りでしょうが、これで涼しくなったのかはよく分かりませんでした。
ただ、全身縞模様にすると人目が気になるようになり、暑さへの意識は相対的に減少します。そういった意味では、暑さが気にならなくなると言えるかもしれません。
人が通るたびに様子を窺ってしまう。人目>暑さ。
人が通るたびに様子を窺ってしまう。人目>暑さ。
ちなみに、今回の実験を通じて一番涼しさを感じたのは、貼り付けたビニールテープを剥がす瞬間です。
体に巻きついているテープを剥がして圧迫感から解放された時、そこにさわやかな風が起こるのを感じました。これは万人に対して吹いたのではなく、確かに私のまわりにだけ巻き起こった風でした。
一瞬の涼しさのために時間や労力を惜しまないという方は、是非一度お試しください。
べりっと剥がす瞬間、右腕の周りにさわやかな風が巻き起こります。
べりっと剥がす瞬間、右腕の周りにさわやかな風が巻き起こります。

実験のまとめ

・黒だと布に覆われた部分の熱が、白だと覆われていない部分に対する日差しが気になる。
・汗をかきやすいのは黒い方、水分補給の頻度が高いのも黒い方。
・暇つぶしが無いと手持無沙汰で水分補給しがち。
・全身ゼブラになると、暑さよりも人目に意識がいく。
・関係ないけど、黒いと虫が寄ってきやすい気がします。
足だけで7か所くらい刺されました。
足だけで7か所くらい刺されました。

実際のシマウマはどうなんだ。

人間の身ではシマウマ納涼法をうまく実現できませんでしたが、実際のシマウマはどうなのでしょう。
動物園でシマウマの様子を探ってみました。
運動場で特に運動していないシマウマ。
運動場で特に運動していないシマウマ。
シマウマ。
シマウマ。
同じ日のラクダ。
同じ日のラクダ。
ラクダがぐったり寝そべっていますが、シマウマはしっかりと立ち、時にウォーキングするほどの元気を見せていますから、確かに暑さに強いのかもしれません。
ただ、このラクダは人間の年で言えば100歳を超えるくらいの高齢で、暑さのせいではなく関節炎の影響で寝ていることが多いそうです。

展示エリアに備え付けられている「どうぶつものしりかん」で、シマウマの生態について聞いてみましたが。
「どうぶつものしりかん」
「どうぶつものしりかん」
キリンにガン見されながら聞いてみました。
キリンにガン見されながら聞いてみました。
シマウマの模様については、『木や草に紛れる保護色になっていて、ライオンやヒョウから身を隠す』ということしか分かりませんでした。
「どうぶつものしりかん」によると常に肉食動物から逃げたり隠れたりしている印象のシマウマも時には反撃の蹴りを食らわすこともあるそうで、草食系男子の意外な力強さにギャップ萌えを感じましたが、今知りたいのはそんなことではありません。
飼育員さんに質問してみると、このような回答が返ってきました。

「そのような研究を行っている機関もあるとは聞いていますが、実証されていないので実際に縞で体温調整を行っているのかは不明です。」
―実証されていないだけで、可能性としてはあるんでしょうか?
「研究中ですから可能性がないとは言い切れないでしょうが…。」

専門家が研究しても未だ実証できておらず、飼育員さんも明言を避けているようなテーマならば、まったくの門外漢である私で解明できないのも当然の結果です。
むしろ、私が解明してしまったら学会に激震が走ってしまうでしょうから、私の挑戦はここまでとさせていただき、「シマウマ納涼法で、涼しく過ごせる可能性もある」という曖昧な結論に留めたいと思います。
キリンがシマウマをガン見してました。
キリンがシマウマをガン見してました。

シマウマのシマにはいろんな謂れがあるようです

調べてみたところ、シマウマの縞模様には保護色説、防虫効果説、体温調整説など諸説あるようです。
もし本当に縞模様に涼しくなる効果があるならば、ヒートアイランド現象による熱帯化の影響著しい日本にとって有益だと思ったのですが、私ごときがそんな簡単に実証できるような問題ではありませんでした。
これより先は、専門家の研究の成果を待ちたいと思います。

手作りゼブラ服で外に出て思ったのですが、人目が気になる分相対的に暑さは気にならなくなりますが人目に付く前に早く立ち去りたいという意識も働くので、遊びに出掛ける際にはお勧めできません。
手作りゼブラ柄でシマウマの前で記念撮影。撮影後、早々に剥がしました。
手作りゼブラ柄でシマウマの前で記念撮影。撮影後、早々に剥がしました。
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