特集 2014年10月31日

「いろはすみかん」は香りと甘さと酸味の絶妙なバランスでできている

マイ・いろはすみかん、作りました。
マイ・いろはすみかん、作りました。
飲料水ブランド『い・ろ・は・す』から出ている『い・ろ・は・す みかん』が好きで、よく飲んでいます。
日頃甘いものばかり食べているので、せめて飲み物くらいは…と甘くないお茶やコーヒーを飲むことが多いのですが、いろはすみかんくらいの甘さならばそういった罪悪感を感じずに飲めるからです。

ところで、あの味ってみかんジュースと水で再現できそうですよね。
ということで、再現してみたいと思います。
1980年北海道生まれ。
気が付くと甘いものばかり食べている偏った食生活を送っています。


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みかんジュースを薄めたような味

いろはすみかんを飲んだ人の8割が抱く共通の感想は、「みかんジュースを薄めたような味」ではないでしょうか。

とりあえず、みかんジュースを飲んだコップに水入れて飲めばあんな味になるんじゃないかな?という希望的観測のもと、試してみました。
用意した材料はこちら。
用意した材料はこちら。
ジュースを飲んだ後
ジュースを飲んだ後
そこに水を注ぎます。
そこに水を注ぎます。
いや、全然違うわこれ。

いろはすみかんからは、薄いと言いつつ確実にみかんの香りや味わいが感じられるけれど、これにはほとんどみかんを感じません。ただ、「何かが入っていたコップに水入れちゃったのかな」という違和感はあります。
これはダメだな。
これはダメだな。
分かったこと:いろはすみかん、そこまで薄くない。

もっと真剣に取り組もう

「みかんジュースを適当に薄めればいいんじゃないの」といういい加減な態度を反省し、もっと本気で分量を求めていくことにしました。
計量カップとスポイトを追加。
計量カップとスポイトを追加。
50mlに計量した水にスポイトで一滴ずつみかんジュースを投入していき、どれくらいみかんを入れたらマイ・ベスト・いろはすになるのかを検証していこうと思います。
スポイトを使うと実験っぽさが漂う気がして好きです。
スポイトを使うと実験っぽさが漂う気がして好きです。
1滴から20滴まで投入したものがこちらになります。
どれもたいして変わらない。
どれもたいして変わらない。
左から、普通のいろはす、いろはすみかん、ジュース20滴。
左から、普通のいろはす、いろはすみかん、ジュース20滴。
20滴入れたものは、明らかに色が濁っているのが分かります。

2~3滴の時点で水の色が濁ってきて、10滴を超えたあたりでみかんの香りが漂うようになり、15滴になるとみかんジュースの酸味のような苦味のような味の違和感を遠くの方からうっすらと感じなくもありません。

ただ、みかんジュースっぽさはあってもみかん味は感じられず、みかんジュースの匂いがするだけで美味しくもない濁った水というだけで、いろはす感は一切ありません。
分かったこと:少量でも匂いは感じやすい

形から入ろう

いろはすみかんの謎は解けませんが、闇雲にやっていてもキリがないということは分かりました。

まずは形からでもいろはすに近付けるために、カロリーからアプローチしてみます。
100mlあたり17kcal。多いのか少ないのかよく分からない。
100mlあたり17kcal。多いのか少ないのかよく分からない。
水は当然0kcal。
水は当然0kcal。
ジュースは44kcal。
ジュースは44kcal。
ということは、ジュース1:水1.58の割合で薄めればカロリーだけはいろはすと同じになります。

カロリー至上主義の昨今、カロリーが一緒ならばもそれはもはや同じものだといっても過言ではないでしょう。

いや、それは過言だな。
ジュース50mlと
ジュース50mlと
水79ml。
水79ml。
本物のいろはすみかん(左)と、カロリーだけいろはすみかん(右)。
本物のいろはすみかん(左)と、カロリーだけいろはすみかん(右)。
単体で見ると「色の薄いジュース」にしか見えないのですが、本物のいろはすみかんと並べると、こんなに色が濃くて大丈夫なのかと不安になります。
テイスティング中。
テイスティング中。
案の定、全然違いました。

こうして飲んでみると、いろはすみかんは全然薄くないですね。みかんの香りと味がしっかりと出ています。

カロリーだけいろはすみかんの方は、みかんジュースっぽいけど味が薄いという点では本物と似たような感じですが、甘みがほとんど感じられません。

ジュースの美味しさって結局は甘さなんだということを今さらながら感じました。
分かったこと:みかんジュースっぽい味があっても、甘くないと美味しくない。

甘くしよう

薄めると甘さがなくなって美味しくないのですが、みかんっぽさは残ります。
じゃあ、このカロリーだけいろはすみかんに砂糖を入れれば、本物のいろはすみかんに近付くのではないでしょうか。
ただ、ここまで使ってきたポンジュースは薄めると甘さ以外の酸味や苦味が気になってしまうので、ジュースの種類を変えてみることにしました。

トロピカーナオレンジと、セブンイレブンの紙パックのオレンジジュースを同じ割合で薄めてみます。ジュースの種類だけでなく、果物の種類がみかんからオレンジに変わっていますが、細かいことは気にしないでください。
同じオレンジジュースでも、色が微妙に違います。
同じオレンジジュースでも、色が微妙に違います。
薄めると甘みがなくなって美味しくなくなるのは同じですが、ポンジュースに比べるとオレンジジュースの方が酸味や苦味がそれほど気になりませんでした。

この中では、紙パックのオレンジジュースが風味のマイルドさでいろはすみかんに近いように思うので、紙パックジュースをベースに作っていきます。
少量ずつ砂糖を加えていきます。
少量ずつ砂糖を加えていきます。
そしてテイスティング。
そしてテイスティング。
砂糖は小さじ1杯ずつ入れていき、その都度少しずつ味を確認してみたのですが、砂糖が加わると甘くなるだけじゃないんですね。

人間の舌が不思議なのか私の舌がバカなのか、甘くなると、砂糖の味だけではなく薄まっていたみかんの風味も強く感じられるようになるんです。

脳が「みかんっぽい飲み物の甘みが強くなった=みかん成分が増えた」と錯覚しているんでしょうか。
分かったこと:甘みが強くなると、果物っぽさも強くなる。
砂糖を加えてみかん風味が強くなったら、ジュースと水の割合を少し変える。
甘みが薄くなるのでまた砂糖を入れる。
そしてまたジュースと水の割合を見直す。

頭の悪いマッドサイエンティストの実験ってこんな感じだろうか、と思える試行錯誤を繰り返した結果、何となくいろはすみかんっぽい調合が出来上がりました。
頭の悪いマッドサイエンティストの実験現場。
頭の悪いマッドサイエンティストの実験現場。
全体で150mlのいろはすみかんっぽいものを作る場合の分量は、
・水(いろはすを使ったけど、多分何でもいい) 130ml
・オレンジジュース(紙パックのやつ) 20ml
・砂糖(私はグラニュー糖を使いました) 大さじ1杯
です。
作り方は、材料を混ぜるだけです。
オレンジジュース20ml(目分量でいいと思います)
オレンジジュース20ml(目分量でいいと思います)
グラニュー糖大さじ1。なければ上白糖でもいいと思います。
グラニュー糖大さじ1。なければ上白糖でもいいと思います。
砂糖の量はお好みでもう少し増やしてもいいかもしれません。
でも、甘くすると果物の風味も増すと書きましたが、甘くしすぎると果物っぽさよりも砂糖の甘さの方が際立つので、大さじ1~1.5くらいの量が限度かと思います。
上白糖よりもグラニュー糖の方が、いろはすのすっきりした甘さに近いかなと思いますが、これも好みですね。

いろはすみかんが飲みたいけど、家に水とオレンジジュースと砂糖しかない!
そんな時に、是非お試しいただければ幸いです。

もうひとつの、いろはすみかんっぽいもの

いろはすみかんっぽいものを作ろうとした場合、ジュースを水で割る以外に「砂糖水にオレンジ風味を付ける」という選択肢もあります。

オレンジエッセンスさえ手に入れば、ジュースよりも簡単にいろはすみかんっぽいものが作れるのではないでしょうか。
頭の悪いマッドサイエンティストふたたび。
頭の悪いマッドサイエンティストふたたび。
と思いましたが、意外と手間がかかりました。
砂糖の分量も難しい。
砂糖の分量も難しい。
ジュースを使わない分砂糖は多めがいいだろうと思い、100mlあたり大さじ1杯の砂糖を入れてみたところ、かなり甘かったです。

ジュースには甘さ以外にも酸味や苦味、みかんの香りといった風味がありましたが、砂糖水にはそれがないので、甘さがダイレクトに伝わるのかもしれません。
分かったこと:薄めたジュースに砂糖を入れたものと砂糖水は、甘さは変わらない。
甘さが無くても違うし、甘すぎても違う。
オレンジエッセンスが無いとただの砂糖水だけど、入れすぎると薬っぽい。
甘いだけだと、みかんっぽい匂いがしてもあまりみかんっぽさを感じない。

そんな試行錯誤の末、全体で150mlのいろはすみかんっぽいものを作る場合の調合を完成させました。
・水(いろはすでもなんでもいいです) 150ml
・砂糖(これは上白糖がいいと思います) 大さじ1杯
・オレンジエッセンス 2~3滴
・レモン汁(なかったらお酢でもいいです) 小さじ半分
砂糖は、グラニュー糖だとすっきりしすぎて甘さが物足りないので、上白糖がお勧めです。

オレンジエッセンスはメーカーによって香りの強さなど違ってくるかもしれませんので、適当に調整してください。物珍しくて調子に乗って入れすぎると、薬くさくてまずくなります。
ポイントは、ポッカレモン小さじ半分。
ポイントは、ポッカレモン小さじ半分。
砂糖水といろはすみかんを飲み比べると、いろはすみかんには甘さ以外にみかんっぽい酸味もあるのが感じられます。
酸味だけならお酢でもいいのですが、ちょっと匂いが気になるので、出来ればレモン汁をご用意ください。

いろはすみかんが飲みたい、でも家には水と砂糖とオレンジエッセンスとレモン汁(あるいはお酢)しかない。
そんな時に、是非お試しください。

あと、これは試さなくて結構ですが、このレシピから砂糖を抜いたものを飲んでみたら、水に20滴くらいみかんジュースを入れたものと同じ味がしました。
分かったこと:オレンジエッセンスとお酢で、薄めすぎたジュース味を再現できる。
その場合レモン汁ではなくお酢を使う方がより近付く気がしますが、心底役に立たない情報ですみません。

メーカーの開発した飲み物はよく考えられている

みかんジュースを水で薄めればいろはすみかんになるだろう。
そんな甘い目論みは、もろくも崩れ去りました。
メーカーが作って販売されているものは、適当っぽく見えても味のバランスをちゃんと考えてるんだなぁと実感しました。
これからは自分で作れるなんて思いあがらずに、初めから買って飲みます。

そして、こんなにいろはすいろはす言っていますが、これはコラボ記事でもなければステマでもありません。
いろはすのペットボトルに入れたら、それっぽく見えてきました。
いろはすのペットボトルに入れたら、それっぽく見えてきました。
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