特集 2014年10月22日

発芽玄米から出てるのは芽なのか根なのか問題

玄米です。白米より安いのも魅力。
玄米です。白米より安いのも魅力。
最近、米は玄米を食べている。特に理由やキッカケがあったわけじゃないのだが、なんとなく健康に良さそうだしそんなにたくさん食べられないので(妙に満腹感がある)ダイエットにいいかなと思って、という軽い理由である。

でも玄米そのままというのはあまりに食べにくい(固いんですよね)ので発芽玄米にして食べていた。で、ふと気になったのだ。
あばよ涙、よろしく勇気、こんにちは松本です。

1976年千葉県鴨川市(内浦)生まれ。システムエンジニアなどやってましたが、2010年にライター兼アプリ作家として自由業化。iPhoneアプリはDIY GPS、速攻乗換案内、立体録音部、Here.info、雨かしら?などを開発しました。著書は「チェーン店B級グルメ メニュー別ガチンコ食べ比べ」「30日間マクドナルド生活」の2冊。買ってくだされ。(動画インタビュー)

前の記事:うまい棒食パン巻き、レンチン柿ピー ~孤独なレシピ第3回

> 個人サイト keiziweb DIY GPS 速攻乗換案内

玄米は水に漬けると芽(?)が出てきます

玄米は米が生きているので、水に3,4日漬けておくと胚芽の部分から芽らしきなにかが出てくる。

この状態になると栄養がどうとか酵素がどうとかで、体にいいのだそうだ。栄養について詳しい話は興味がないので知らないし調べる気もないが、発芽玄米は柔らかくて食べやすいので発芽させてから食べている。
なにかがピョコンと飛び出してくる。これが発芽玄米だ。
なにかがピョコンと飛び出してくる。これが発芽玄米だ。
毎日2回くらい水を替えて、あとは放っておけば酸っぱい匂いの二酸化炭素を吐き出しながら発芽してくる。この様子がなぜか判らないがたまらなく可愛い。

水を吸ってパンパンになった米から飛び出す芽。愛おしくなるフォルムじゃないか。

なんていうか、まりもやサボテンに抱く感情に似ている。植物なんだけど動物的な可愛さがあるのだ。文字通り『萌え』である。
思わず絵を描いてしまう程度に萌えである。
思わず絵を描いてしまう程度に萌えである。
細かい事を言えば、玄米ならすべて発芽するわけではないらしい。高温乾燥幾で乾燥させた玄米は熱で死んでしまうので発芽しないそうだ。が、僕が試した2種類はきちんと発芽した。

もし発芽玄米に失敗したら、玄米が死んでるので違うところで買った方がいいだろう(本当に発芽しない玄米があるのかは判らないが)。

これ、育てたらどうなるんだろう?って思った

毎日水を替え、成長を観察しながら数日過ごすのだ。情が移っても仕方あるまい、というか情が移って当然である。

しかし芽が出たならば炊かねばならない。それが発芽玄米の宿命である。そのように人類と共存してきたのだ。

しかしだ。この生きている米をそのまま育てたらどうなるんだろう?と思うのも当然であろう。

一部をもっと育ててみる事にした。
これで1週間くらいの発芽玄米である。普通なら3日前に炊いている状態だ。
これで1週間くらいの発芽玄米である。普通なら3日前に炊いている状態だ。
水に漬けて1週間くらい。水温によっても発育は変わる。30℃~35℃くらいが一番よく育つし衛生的にも心配が少ない。

ピョコン、からニョキ、くらいに成長しているのがお分かりいただけるだろうか。ああ、もう可愛くて仕方ない。
ほら、可愛いでしょうが!
ほら、可愛いでしょうが!
この辺で思ったのだ。「あれ、これ、発芽っていうか根じゃね?芽には見えなくね?むしろ発根玄米なんじゃね?」と。

続きは次のページへ。
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もしも根だったらおおごとだ

もし発芽玄米から出ているのが芽ではなく根だとしたら、発芽玄米というネーミングを根底から覆す大事である。

発芽玄米メーカー(発芽玄米はスーパーでも売ってます)はパッケージをすべて作り直し、発芽玄米について書いている本やWebサイト、すべてを書き換えなければならない。

大変だ。

真偽を確かめるために更に育てた。
1ページ目の写真から2日後。初日から9日目の玄米である。え?!という伸びっぷりだ。
1ページ目の写真から2日後。初日から9日目の玄米である。え?!という伸びっぷりだ。
いつもは深い鍋で発芽させているのだが、浅めのタッパに入れてベランダに出しておいたら一気に成長した。たった2日でえらい伸びようである。

第2次性徴の伸びに近い。更に次の日。
立派に育ちました。
立派に育ちました。
芽だか根だか判らないが、とにかくなにかがグイグイ育っている。もやしの様だ。

目が良かったり、発色がいいモニターで見ている方はもう結果にお気づきだろうが、もうしばらくお付合いいただきたい。
取り出してみるとこんな感じ。長いなにかの横から短いなにかも出てきた。これも、根なのか芽なのか不明。
取り出してみるとこんな感じ。長いなにかの横から短いなにかも出てきた。これも、根なのか芽なのか不明。
更に1日後、玄米ちゃんはこうなった。
もう結果はおわかりだろう。
もう結果はおわかりだろう。
肉眼では全体的に白く見えたのだが、写真に撮ったら緑色に見える部分があるのだ。

もしかしなくてもそう、これは……次のページへ。
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結果発表の前に、炊いてみる

我ながら引っ張り過ぎってのは自覚してるが、自覚しつつも更に引っ張る。

前のページまでで育ててきた発芽玄米ちゃんだが、じつは4合分の玄米から選りすぐった発芽エリートであり、特に育っているものを選抜した。

普通の玄米はだいたいこんな成長具合である。
普通の発芽具合。10日くらいでもこの程度だ。
普通の発芽具合。10日くらいでもこの程度だ。
ぴょこんと出た芽が可愛さを残している。このくらいの時期が一番可愛いかも知れない。生きてるんだなぁって実感がある育ち具合である。

これを炊いちゃう。最近の炊飯器は玄米モードなんてのがちゃんとあるので、セットして待ってれば炊きあがるのだ。便利。
発芽させすぎ玄米のご飯。ニョロニョロと出てるのが芽か根である。少し水が多かったかも知れない。
発芽させすぎ玄米のご飯。ニョロニョロと出てるのが芽か根である。少し水が多かったかも知れない。
味は、白米より粗野、でも甘味があって穀物食べてる!という感覚がある。少なくても満足感が高い。これに慣れると白米が異様に贅沢な物に感じられるようになる。
味は、白米より粗野、でも甘味があって穀物食べてる!という感覚がある。少なくても満足感が高い。これに慣れると白米が異様に贅沢な物に感じられるようになる。

一方、エリートの発芽具合である

発芽させすぎ玄米を美味しくいただいた一方で、エリート達の成長具合はどうか?

こんな有様ですよ。
まごう事なき、芽。
まごう事なき、芽。
長々引っ張ってきたが発芽玄米から出ているのは間違いなく芽であり、成長して緑色になってきた。根ではなかったのだ。

発芽玄米を扱う皆さん、おめでとうございます。これは芽です。
芽だ。
芽だ。
そして更に2日。ますます草っぽさは増していく。
このまま田んぼに撒いたら米を収穫できるんじゃないだろうか。
このまま田んぼに撒いたら米を収穫できるんじゃないだろうか。
もう誰がなんと言おうと芽だし、根はどこに行った?って感じだし、これを根と言い張る度胸は僕にはない。
ついに芽が2枚の葉っぱになった。もう立派に稲である。
ついに芽が2枚の葉っぱになった。もう立派に稲である。
そろそろお別れの時である。ここまで草になってしまった発芽玄米を食べるに忍びなく、プランターの土に埋めた。

それから2週間後、プランターには立派に育った稲の姿があったのだ。
明るくてカラーの部分が稲。
明るくてカラーの部分が稲。
玄米って育てれば稲になるのだ。考えてみれば籾から籾殻を取っただけの状態が玄米であるからして、種としての機能はそのまま生きているのだ。土に植えれば芽を出すのは道理である。
全てではないが根付いて育っている。玄米の生命力ってすごい。
全てではないが根付いて育っている。玄米の生命力ってすごい。

僕の説は間違っていたが満足だ

もしも発芽玄米から出てるのが根だったら発見じゃね?有名になっちゃうんじゃね?という下心で調査したのだが、見事に芽であり、間違いなく発芽玄米は発芽玄米だった。

それは若干悔しいのだが、これからも可愛い発芽玄米ちゃんを愛でながら食べていきたいと思います。発芽玄米生活、なかなかおすすめですよ。白米は贅沢すぎる。ありゃ米のトロだ。

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