特集 2014年10月28日

メガネだらけの国際メガネ展

メガネの祭典、国際メガネ展。
メガネの祭典、国際メガネ展。
業界展示会が好きだ。あの「ストイックで専門的な雰囲気」がたまらない。
先日は『総合洗浄技術展』という、工業用洗浄機械の技術展を見てきた。
あまりにも専門的すぎてさっぱり内容が分からなかったが、それはそれで面白いのだ。

で、そんな展示会がよく開かれている東京ビッグサイトのイベントスケジュールに、気になる展示会が載っていた。

『国際メガネ展』

そんなイベント、あるのか。
メガネ装着歴30年のメガネ人としては、ぜひ見ておきたい。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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ビッグサイトがメガネまみれに

ビッグサイトの前まで来て驚いた。

展示会の開催表示看板が、国際アパレル展や国際シューズ展、国際アクセサリー展よりも国際メガネ展の表示がはるかに大きいのだ。

すごいぞ、メガネ展。
こんなにデカデカと「メガネ」って書いてあるの、面白い。
こんなにデカデカと「メガネ」って書いてあるの、面白い。
「アジア圏で最大のメガネ関連の商談会」ということで、さすが会場内に入るともうとにかく辺り一面がメガネ。どこを見てもメガネ。

ビッグサイトのホール全体がメガネ屋になったような光景である。
みんながとにかくメガネ見てる。
みんながとにかくメガネ見てる。
ブースの仕切りもメガネ。
ブースの仕切りもメガネ。
このイベントは全国のメガネ店やメガネ関係者の商品仕入れのために展示会なので当たり前と言えば当たり前だが、スーツ姿のビジネスマンが真剣にメガネをあれこれチェックしているのが面白い。

最新メガネいろいろ

メガネ展の良い所は、普通のメガネ店には並んでいないような最新のメガネや変なメガネをあれこれ見られるところだ。
フィンランドのかっこいい木製メガネ。
フィンランドのかっこいい木製メガネ。
これは、フィンランドのKRAA KRAA というメガネブランドが出展していたウッドフレームのメガネ。

今年の優秀なメガネを選ぶ「アイウェア・オブザ・イヤー」の機能・技術部門でグランプリを獲っていた。
かけるだけで高まるロハス感。「隙あらばログハウス建てたがる人」っぽい。
かけるだけで高まるロハス感。「隙あらばログハウス建てたがる人」っぽい。
木製でヒンジがないので、折りたためない。

さらに顔の幅に合わせて広げたりという調整もできない。

なぜなら基本的にオーダーメガネだから。最初から自分の顔に合わせて作ってもらうのである。
これがメガネの素材見本。印刷用の紙見本みたいでグッとくる。
これがメガネの素材見本。印刷用の紙見本みたいでグッとくる。
ちなみに作ってもらう時は、本物の板の見本から素材を選べる。

ウォルナットなど数種類の木材から好みを選んで、切り出してメガネにしてもらうのだ。

高級フレームもすごい

なんか宝飾店かという雰囲気のブースがあったので覗いてみたら、本当にメガネだかジュエリーだかわからないゴージャスなのが並んでいた。
INONというブランド。基本的に18金製フレーム。
INONというブランド。基本的に18金製フレーム。
さっきは木製だったが、ここは金。ゴールドである。
カメオメガネ。意味は良く分からないが豪華なのは伝わる。
カメオメガネ。意味は良く分からないが豪華なのは伝わる。
18金のフレームに横顔のカメオつき。なんというか、まぁ、すごい。
これをつけると、横顔の目元にさらに横顔があるという入れ子構造になる。

高級メガネも試着してみたかったのだが、万が一何かあったら大変なのと、この写真を撮ってる横でメーカーの人が「万が一何かあったらいつでもお前を取り押さえるぞ」的な姿勢で待機していたので挑戦できなかった。

あとから検索したら、金のフレームはシンプルなやつでも最低でも30万円してた。
とりあえずやっとくか、ぐらいの軽い気持ちで挑戦しなくて良かったと思う。
これはエメラルドつき。
これはエメラルドつき。
エメラルドとかダイヤとかちりばめたフレームになると、もはや価格が見当も付かない。
本当に挑戦しなくて良かった。
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鼻パッドのないメガネがすごかった

機能性メガネとしては、ブリッヂコーポレーションのNEOJINというフレームがすごかった。
ブレてるのは社長さん。ブース内で常に動き続けてるから撮った写真全部ブレてた。
ブレてるのは社長さん。ブース内で常に動き続けてるから撮った写真全部ブレてた。
このNEOJIN、画期的なことにメガネの鼻パッドが無いのだ。

メガネをつけている人は理解してもらえると思うが、メガネの鼻パッドは結構ストレスだ。
ためしにメガネをつけたまま鼻パッドを鼻から浮かすと、すごいスッとする。
レンズの重量の結構な部分を鼻骨の一点で受け止めているので、肩こりのように鼻もこったりする。
あるはずのものが無いと、なんか不思議。
あるはずのものが無いと、なんか不思議。
で、そのレンズの重さを鼻でなくどこで受け止めるのか。頬骨である。

眼鏡のツルの途中からパッドが伸びており、これを頬骨の上に乗せることでレンズを支えているのだ。
意図せずして薄笑いになるぐらいラク。このメガネ絶対欲しい。
意図せずして薄笑いになるぐらいラク。このメガネ絶対欲しい。
試しにかけた瞬間、「おおおおおお」と思わず声が出るぐらい快適。
鼻に重量がかからないだけでこんなに違うのか、というぐらいメガネが軽く感じるのだ。
むしろ鼻の上が頼りなくて不安に思うぐらいである。
頬骨パッド、こんな感じ。かけた時の違和感はすぐ慣れる。
頬骨パッド、こんな感じ。かけた時の違和感はすぐ慣れる。
この頬骨パッドだと頬骨の部分に締めつけ感とかあるかなと思ったが、これはすぐに気にならなくなった。
とにかく「メガネのストレスって基本的に鼻だったんだな」と気付かされる快適さ加減である。

あと、僕はまつげが長めなので、まばたきするたびにまつげがレンズに当たって汚れることがある。
このメガネなら、頬骨パッドを少し動かすだけで、レンズの高さは変えないまま、まつげに当たらないようレンズと目の距離を調整できる。

やばい。僕、多分このメガネ買うと思う。

おもしろメガネも豊作だ

逆に、たぶん買わないと思うけど、でもグッとくる変なメガネも会場内にいっぱいあった。
普通のメガネよりもむしろこっちの方が多いぐらい。
ちょっと視線を動かすとそこに変なメガネが。
ちょっと視線を動かすとそこに変なメガネが。
メガネ展で見つけた変なメガネコレクション2014、ご覧いただきたい。
メガネからまつげが溢れてる的なやつ。
メガネからまつげが溢れてる的なやつ。
竹製のメガネ。これはこれでかっこいい。
竹製のメガネ。これはこれでかっこいい。
メガネ指輪と、おそろいのメガネ。
メガネ指輪と、おそろいのメガネ。
鳥の羽っぽいメガネ。ヒーローっぽくてかっこいいい。
鳥の羽っぽいメガネ。ヒーローっぽくてかっこいいい。
ぐるぐるメガネ立体版。
ぐるぐるメガネ立体版。
昭和の燃えるスポ魂メガネ。
昭和の燃えるスポ魂メガネ。
レンズの上をイモムシが這ってて、最後は羽化して蝶になるメガネ。
レンズの上をイモムシが這ってて、最後は羽化して蝶になるメガネ。
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サングラスもいっぱいある

『メガネ展』なので、サングラスももちろん取扱商品である。
日除けつきサングラス。
日除けつきサングラス。
すごい硬くて長いまつげの人みたいだ。
すごい硬くて長いまつげの人みたいだ。
便利だなと思ったのは、加藤八・舞企画という福井県鯖江市(メガネの一大産地)のブランドが出していた、自分のメガネに装着して使うタイプのサングラス。
加藤八という名前からはイメージしにくいおしゃれブース。
加藤八という名前からはイメージしにくいおしゃれブース。
メガネの上から被せてクリップではさむタイプのクリップオンサングラスというのは以前からあったが、加藤八のサングラスは磁石式。

なんとメガネレンズの端に磁石を埋め込み、そこに同じく磁石が埋め込まれたサングラスのレンズをカチッとはめるのだ。
レンズの両端に見える小さな点が磁石。
レンズの両端に見える小さな点が磁石。
磁力でカチッと装着。
磁力でカチッと装着。
クリップが無いのでフレームの見た目も変わらないし、重量も軽い。

このメーカーに自分が普段から使っているメガネを預けると、レンズに磁石を埋め込む改造をした上で、フレームの形に合わせた磁石入りサングラスレンズをつけてくれるとのこと。

あの会社が実はサングラスメーカーだった

ところで、見覚えのあるロゴのついたブースがサングラスを展示していた。
ポラロイドがなぜサングラスなのか。
ポラロイドがなぜサングラスなのか。
Polaloidといえば、あのポラロイドカメラのポラロイドだろう。

へー、あのインスタントカメラのメーカーがサングラスも出しているのか、と驚きながら中を見ていたら、ちょっとびっくりするような展示表示があった。
ポラロイドは最初はサングラスメーカーだった!
ポラロイドは最初はサングラスメーカーだった!
なんと、ポラロイドの創始者、エドウィン・ランドは、学生の頃に発明した偏光レンズでサングラスや空軍用のゴーグルを作っていたのだ。

カメラは、その偏光レンズの技術を応用して後から作ったものだそうだ。

ちなみに、世界最初の映画用3Dメガネもポラロイド製だったらしい。へー。
創業当時(1937年頃)のポラロイドサングラス。
創業当時(1937年頃)のポラロイドサングラス。
ポラロイドカメラの方は経営破綻してしまったが、サングラスはまだブランドとして残って新製品を出し続けているのだ。へー。

メガネ関連商品もいろいろ

会場内には、メガネ・サングラスの関連商品もいろいろと展示されていた。
メガネのヒンジ用ネジにまで新技術が。
メガネのヒンジ用ネジにまで新技術が。
しかし『眼鏡』という誌名はそのまんますぎないか。
しかし『眼鏡』という誌名はそのまんますぎないか。
会場の隅では『眼鏡』と『Private eyes』というメガネ業界誌が無料配布されていた。
どちらもバックナンバーが無料配布されていたので数冊もらってきた。

『眼鏡』の方は「こういう条件のお客さんにはどういう度数のレンズを作るべきか」というケーススタディ連載があったりとかなり業界寄りの堅いめ。

『Private eyes』誌は「サングラスをかけて釣りやサイクリングに行く体験記」など、かなり柔らかい感じ。
業界紙もそういう棲み分けをしているんだなあ。

特殊メガネのあれこれ

ちょっと特殊な用途のメガネとしては、女性が化粧で眉を描くときの専用メガネもあった。
アイブロウメガネ。そんな需要もあるのか。
アイブロウメガネ。そんな需要もあるのか。
メガネをかけた状態で、レンズの上のテンプレートを使って眉毛をグリグリ描くのだそうだ。
こんな感じで使います。
こんな感じで使います。
眉用のテンプレートをわざわざ手で持ちながら描かなくても、メガネと一体化していれば装着できて簡単便利、ということか。

ここのブースはずっと女性のお客さんが集まっていた。僕は眉を描いたことがないので便利さが実感できないが、女性には「おお、これ買うわ」的な商品なのかもしれない。
これもある意味メガネブランド。
これもある意味メガネブランド。
特殊メガネと言えば、メガネ屋さんや眼科でお馴染みのアレも展示されていた。
視力を測定するときに使う『検眼枠』というヤツである。
検眼枠、改めてよく見るとすごくテクノロジカルでカッコイイ。
検眼枠、改めてよく見るとすごくテクノロジカルでカッコイイ。
目盛がびっしり刻まれているのとか、人の顔に合わせるために可動部がヤケに多いのとか。
複数枚のレンズを挟む用の金属ホルダーのシャープな感じ、でもその全部を支えるためにフレームがゴツい感じ。

いい。全部いい。
これはとあるブランドの特注品。こういう色もまたいいなー。
これはとあるブランドの特注品。こういう色もまたいいなー。
ちなみに上の写真は某有名メガネブランドが自社のショップ用に特注した検眼枠だが、現在はメガネマニアのコレクションになっているとか。
メガネマニアもやっぱり欲しいんだな、検眼枠。気持ちは良く分かるぞ。

あまりにも検眼枠がカッコイイので、メーカーのハセガワ・ビコーさんにその場で取材をお願いしたところ、「デイリーポータルZさん、何年か前にうちに取材にいらっしゃいましたよ」と言われてしまった。
帰って検索したら、確かに石川さんが6年前にすでに記事にしている。→『眼鏡屋の裏方にあるあのかっこい眼鏡
くそ、あのメガネ野郎。先越しやがって。

検眼枠に関しては悔しい思いをしたが、それ以外はかっこいいのとか面白いのとか、メガネが満腹になるほど見られて楽しかった。

国際メガネ展、来年も見に行こう。
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